第29回 ベルギーの春〜初夏が旬の野菜といえばこれ!ホワイトアスパラガスを使った料理あれこれ

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2022.07.06

こんにちは、料理家の栗山真由美です。
ベルギーを代表する野菜のひとつに、ホワイトアスパラガスがあります。旬は4〜6月とされています。ホワイトアスパラガスは昨年のエッセイでも取り上げたので、今年はインスタグラムにアップするだけにするつもりでした。ところが、偶然にもオランダに住む友人から、地元でのホワイトアスパラガスマーケットに誘われ、新たな発見がありました。そんなわけで、もう一度テーマにさせていただきます。


フランス産とベルギー産は想像できていたのですが、オランダ!? でも、昨年紹介した定番中の定番、Asperges à la Flamande(ホワイトアスパラのフランダース風)のフランダースって、オランダも含まれますもんね。実際、アントワープなどベルギー北部からいちばん近い外国でもありますし、当然といえば当然かもと思いつつ、向かったのはオランダ南東部のドイツ国境にも近いArcen(アルセン)。


街のあちこちにテントが立ち、ホワイトアスパラガスを中心にさまざまなマーケットが開かれます。中心部のステージでは、ブラスバンドの演奏もありました。

終了時間の17時が近づき、店じまいの雰囲気も感じる頃、ホワイトアスパラガス農家さんのレクチャーに出くわしました。作り方から収穫方法まで、実践を交えて教えてくれます。知識としてはわかっていましたが、全く知らないふりをして教えてもらい、特製のナイフでカットし、そのアスパラを持ち帰りました。


さてその夜、ホワイトアスパラガス料理で有名なレストラン“Zum Mühlenhof”に連れて行ってもらいました。国境を越えたドイツにあるのですが、車だとArcenから10分程度の場所です。レストランのあるHochstraßeという街もまた、ホワイトアスパラガスの街でした。つまり、国境を挟んだこのエリアが産地ということですね。


そこではスープなど、ホワイトアスパラガスを使った単品メニューもありましたが、おすすめの食べ方というと、冒頭の写真にあるようなゆでたものを、ホーランデーズソースかバターソースをかけていただくというもの。それぞれメインとなるメニューを選んで、季節のつけ合わせとしていただく感じでしょうか。案外シンプル、でも大量(冒頭の写真は2人前です)でした。

それでは以下、今年トライしたアスパラ料理をご紹介します。まず、今年いちばんハマって私的に大ヒットだったのが、ホワイトアスパラの昆布締めです。日本から持ってきた大切な昆布は使い切ってしまったのですが、アントワープの中華街でも手に入ります。


シンプルな料理こそよい素材を!というポリシーは変わってませんが、逆にバンバン惜しみなく使えていいかもしれません。日本酒がないので、白ワインで表面を拭いて、ゆでたホワイトアスパラガスをサンド。時間によって味のしみ具合が変わってきます。そのままはもちろん、すし飯にも合うので、創作寿司もおすすめです。


昆布締めを思いついたのは、ホワイトアスパラガスの色と上品な味わいが、鯛に似ていると思ったから。私は鯛の昆布締めが大好きで、日本にいた頃はよく作っていました。それで、ホワイトアスパラガスの昆布締めもおいしいのではないか?そうに違いない・・と試したら、ドンピシャでした。

同じく、鯛の昆布締めを使った鯛茶漬けを真似て、丼にしてみました。ごまだれは鯛の時と一緒。ただ、お茶漬けにするほどのうまみはないので、丼にしました。わさびとの相性もよいです。


ホワイトアスパラガスは、ナッツ類と相性がよいと思います。和風の和えものには、くるみがベストマッチ。ごま和えもよく作ります。また、常備しているスペイン風のナッツソースもとっても合います。


簡単なイタリアンアレンジも。バルサミコ酢を煮詰めて甘みを凝縮させ、お皿に敷きます。ゆでたホワイトアスパラガスをのせ、刻んだアンチョビをのせ、オリーブオイルと黒こしょうをひとふりするだけ。みずみずしいアスパラと甘めのソース、アンチョビだけで味が決まります。


耐熱の器にアスパラをのせ、モッツアレラチーズをのせて、さっとオーブンで加熱します。チーズがとろけてきたら取り出し、ポルトガルの調味料「マッサ・デ・ピメンタォン」をトッピング。こちらもジューシーな味わいです。


スープやパスタ、定番のAsperges à la Flamandeは、前回ともダブるので割愛しました。それでも今回は写真多めです。
その他よく作ってたものは、だしびたし。貴重なホワイトアスパラガスを無限に食べられてしまうので、おいしいけれど危険です。

最後に、ホワイトアスパラガスは根元を押して、水分がすぐににじんでくるのが新鮮で良品。万が一、よくないものを買ってしまった場合の対処法をArcenの友人に教わりました。
すぐに水を張った平らな器に入れ、上からふきんでカバーし、水で覆うようにすること。料理する直前までこの状態をキープすることで、改善されるとのことです。私はアスパラへの負担が少ないように、ふきんより軽い手拭いを使いました。ご参考になさってみてください。

 

*写真の無断転載はご遠慮ください*

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Profile

栗山真由美

MAYUMI KURIYAMA

料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ 
Instagram: mamicastanha

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