第35回 2年ぶりに開催されているアントワープのクリスマスマーケットと、それにまつわる食べ物について
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
12月、それはこのエッセイのスタート月でもあります。今回から3年目に突入です。皆さんにより楽しんでいただけるよう、続けていけたらと思っています。引き続き、よろしくお願いします。
さて、待ちに待ったクリスマスマーケットが2年ぶりに開催されています。極寒ですが、アントワープが最も美しい季節でもあります。今回は、クリスマスとマーケットにまつわる食べ物をご紹介します。
街のシンボル的な建物Stadsfeestzaalは、ショッピングモールでありながら、歴史的建物を使っているため、美しさでも目立つ存在です。中央のホールには毎年クリスマスツリーが飾られますが、今年はひときわ大きく、派手に感じます。
さて、クリスマスマーケットに繰り出しましょう。皆さんがイメージされるクリスマスマーケットの飲み物って、何になりますか? ヨーロッパではホットワインとホットチョコレートが定番です。南部以外のヨーロッパでは、体が芯から冷えますので、これらのドリンクで暖を取ります。私が初めてアントワープに訪れたのは、10年以上前のクリスマスの時期。ホットワインに救われた思い出があります。
オランダ語では、Glühwein(グリューワイン)といい、赤ワインにスパイスやフルーツなどを混ぜて温めたもの。私が移住してきた頃は、半量のサイズもあったのですが、今年はこのサイズ1択。1杯7ユーロで、コップ(プラスチックなのに?)を返せば2ユーロ返金されて、5ユーロになるというシステムでした。
こちらは、ステーン広場のマーケット。衣類、小物、食べ物とさまざまなお店が並ぶ中、興味が引かれたお店がありました。
ADVOKAATのお店。大小さまざまな瓶が並んでいます。聞いたことも、見覚えもあるけれど、何だっけ?とお店を覗くと、試食を勧められ、食べてみたら記憶が蘇りました。頭は自信がないけれど、舌の記憶って裏切らないものですよね。
ADVOKAAT(アドヴォカート)は、黄色い濃厚なクリーム状のリキュール。オランダ産が有名ですが、ベルギーでも作られています。原料は卵黄、ブランデー、砂糖、スピリッツとバニラになります。アルコール度数は15度以上と高めですが、甘いので口当たりはよく、そのまま、あるいはデザートに用いることが多い。
ちなみにADVOKAATはオランダ語で「弁護士」の意味です。ADVOKAATを飲むと饒舌になることを示唆しています。
余談ですが、この写真、DE KLOK社のADVOKAATは賞味期限なし(ほんと?)とやわらかな味わいが認められ、世界一に選ばれたそうです。
ADVOKAATは、食前・食後酒として用いられることもあります。あるカフェでランチの後、カプチーノをオーダーしたら、付いてきた黄色の液体の入った小さなグラス。これこそが、ADVOKAATでした。
今年は長年改装工事をしていた市庁舎もリオープンし、覆いが外されました。美しいイルミネーションが映えています。
アントワープのクリスマスマーケットは、主に3か所に分散しています。市庁舎の前の広場、グローテマルクト、大聖堂を挟んだグルーンプラーツ、そしてスヘルデ川沿いのステーン広場と続きます。
ステーン広場に向かう道には、光のアーチがかけられています。そこから臨む大聖堂の美しさ、神々しさ!
最後に、最近出合ったケーキBroodpuddingを紹介します。伝統的なベルギーのケーキの1つで、ある時近所のベーカリーで爆買いしてる女の子を見た夫がつられて買ってきました。
期待せずに食べたところ、おいしかった。残ったパンや牛乳、レーズン、そしてスパイスを加えて簡単にできるものみたい。チョコレートのコーティングはこのベーカリーのアレンジのようですが、いつか作ってみたいと思いました。イギリスのクリスマスプディングに似てる!と思った私は、クリスマスとの関連を想像したのだけれど、それも来年への宿題ね。
こちら季節ごとのウインドーディスプレイが楽しい、Philip's biscuitsのクリスマスを最後の写真に。載せきれない写真は、インスタグラムで公開しています。よかったら、フォローしてくださいね。
今年も1年ありがとうございました。
みなさまにとって、よいクリスマスになりますように。
そして、よいお年をお迎えください。
Merry Christmas and A Happy New Year!
Mayumi
*写真の無断転載はご遠慮ください*
【栗山さんのベルギーおいしいもの通信㉞【番外編】香箱ガニ、回転寿司、しょうゆ、麹、昆布ガリ…帰国中の富山で出会ったおいしいご褒美たち】はこちら
Profile
栗山真由美
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/
Instagram: mamicastanha
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。