第38回 【ドバイ編】現地の人々の食事を探して、探して…ようやく見つけた!ドバイのローカルレストランの「鶏肉のケバブ」

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2023.03.10

こんにちは、料理家の栗山真由美です。

インスタグラムなどをフォローしていただいている方はご存知かと思いますが、2月はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに滞在していました。1〜3月あたりがトップシーズンで、気候天候もよく過ごしやすい。アクティブに動けそうなチャンスと思い、長めに滞在しました。
今回はヨーロッパから離れ、ドバイ(その他中東含む)の食まわり体験をお伝えします。

今回の気温は15〜30℃を推移していたので、さまざまな体験ができました。ハイライトは砂漠ツアー。ラクダ乗り体験は大人気でした。


ドバイは、約20年前から急速に発展した特殊な都市。UAE国内、他の中東を含めても類を見ません。新しく近代的、都会的なイメージの一方で、リアルな生活がなかなか見えてきません。
私はどこへ旅しても、いちばん興味を持つのが現地の普通の人々の食事と暮らし。それに触れるのが、今まででいちばん難しい都市だったと思います。

しかしながら、市民全員が起業家やお金持ちとは思えない。ホテルやお店で働く人は一般市民に見えますし、近隣国からの出稼ぎも多いと聞いています。どこかにリアルな生活があるはずです。

ひょんなことから、“Al Ustad Special Kebab”というローカルレストランの情報を得ました。イラン料理のレストランで、店名にも入っているように、ケバブが看板メニューのお店です。やっぱりドバイ(UAE)の料理ではないのか…落胆もありつつも、観光客向けにアレンジされてないのがポイント。眺望のよい高層ビルの中でもありません。


ケバブは、中東各国の定番料理。こちらはイラン式になりますが、イランからの移民から始まり、地元に根づき、今は観光客にも人気になったという流れだから、立派に地元の味といっていいと思います。今では世界中の有名人が訪れるお店のようでした。

料理は4種類のケバブと、それらの盛り合せメニューで構成されていました。写真はJoujeh Kababという、最も定番で人気のある鶏肉のケバブです。黄色い色は、サフランから。想像ではパンチのある味かと思っていましたが、上品な香りとやさしい味つけで食べやすく、おいしかったです。


添えられているLavash breadという平たいパンは、西アジアから中東まで広範囲に食されています。材料は粉と塩と水だけとシンプルで、一般的にはアルメニアが発祥の地とされていますが、イラン発祥を唱える学者もいるそう。


ケバブの前に運ばれてきたのが、野菜の盛り合せとヨーグルト。日本式に言うと、お通しでしょうか。ケバブと一緒に食べても、先に食べてもいいよとのことでした。

とても気に入ったJoujeh Kabab。イランでの立ち位置は、普段の食事、パーティ、ピクニック、少し改まった結婚式・お葬式などあらゆるシーンに登場する、おなじみのメニューだそう。理由は手軽で難しくなく、非常に便利と聞き、作ってみたくなりました。ベルギーに戻ってからトライ。写真の材料も、複雑ではないですよね?


ポイントは、たっぷりの玉ねぎからうまみを引き出すこと。下ごしらえをしたら、材料を全て混ぜて、3時間〜ひと晩マリネしておきます。
残念だったのは材料の違い。日本の玉ねぎなら、水分が多く、他の材料と混ぜた時にうまみを含む水分がにじみ出てきます。同時に玉ねぎがしんなりとして、鶏肉に寄り添うようになじみます。ベルギーの玉ねぎは、水分が少なくかため。同じように作っても効果は違ってきますね。


あとは焼くだけです。本来は金串に刺して、炭火やグリルで焼き上げる料理です。が、私はグリルパンを使いました。オーブンでも作れます。


イランでは、Lavash breadかサフランライスを添えるのが定番だそうで、お店でも選べました。私が再現する時はライスだな…と思っていましたが、ケバブにもサフランを使います。味がかぶることに気づき、同じく中東でもよく食べられているレンズ豆ライスを作って添えました。色は地味ですけれど、相性バッチリでしたよ。


ドバイでお土産を探しても、他国産が多く、その意味でもローカルを探していました。現地の食に関連するもの…それはスーパーで見つけられました。例えば、オリーブオイル、ハチミツ、トマトペーストなど。
もちろん、今回作ったケバブにも、写真のUAE産オリーブオイルを使いました。

*写真の無断転載はご遠慮ください*

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Profile

栗山真由美

MAYUMI KURIYAMA

料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/ 
Instagram: mamicastanha

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