糸から紡ぎ出される繊細さ 松田紗和さんのマクラメレースアクセサリー

今日のひとしな
2021.05.31

~「文月」「道具屋nobori」よりvol.31 ~

「文月」最後の連載になる本日にご紹介するのは、‟糸から生まれるアクセサリー”。

手で糸を結び合わせるというシンプルな作業でさまざまな模様や形を表現できる素朴な手仕事「マクラメレース」。ため息がでるほど、緻密に繊細に編まれた松田紗和さんの美しい作品を手にしたとき、「文月」初めての個展をぜひお願いしたいと思いました。

クラシックレースのひとつとして出会い、つぶつぶのしゃこ結びに夢中になったのが制作を始められたきっかけという松田さん。

「糸だけでどこまで自由に形や模様が作れるか、という個人的な挑戦から出発しますが、完成したものは、アクセサリーとして、つける人におもしろいと思ってもらえる形になるように心がけています」

日々の生活の中で目にする自然やモチーフからインスパイアされたデザインは、見れば見るほど美しく、マクラメの持つ多彩な表情に目も心も魅了されます。伝統的なクラシックの技法を、自由におおらかに使いこなし、今の生活に馴染むよう、新鮮かつモダンな雰囲気に編み上げられたアクセサリーたち。

糸と糸が重なり合うというシンプルな結びとは想像つかないほど、緻密で寸分の狂いもない芸術に相応しい手仕事からは、マクラメレースの世界の奥深さを感じます。

そんな、見たことがない風合いのアクセサリーは、上品にもかかわらず素朴で軽やか。主にナチュラルな色のコットン糸を使用しているため、合わせるお洋服を選ばず、さまざまなシーンでコーディネートを楽しめます。

今回の個展では大変贅沢なことに、「文月」がセレクトしたボタンをブレスレットに付けていただきました。

夢のようなコラボ(というには、おこがましいですが)作品が届いた時は、スタッフと一緒に年甲斐もなく声をあげて喜びました(笑)。

情勢を考慮して個展の開催を悩んだこともありましたが、お客さまが手に取りながら喜んでくださる姿を目にして、今だからこそ、心踊る作品を身に纏う喜びが求められているのだと実感しました。

初めての個展企画にふさわしい、忘れられない作品となりました。


今回、光栄にもこのような連載のお話をいただだいたことは、松田さんをはじめ、「文月」「道具屋nobori」に大切な作品や商品を預けてくださる方々の想いやモノに秘められた価値を再認識させていただく貴重な機会となりました。

改めて、ひとつひとつの商品と向き合うことで見えてくる、多彩な表情や可能性は、ものが溢れる時代だからこそ「豊かであること」の意味に気付かせてくれるような気がします。これからも背伸びすることはせず、決して当たり前ではない豊かさを、ゆっくりと丁寧に届けていけたら……と思っています。

一か月に渡り、お付き合いいただきありがとうございました。
また蔵前の街で皆さまにお会いできるのを楽しみにしています。

text: スジノ(文月)

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文月/道具屋nobori

「文月」
住所:東京都台東区寿3-7-1
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜日
https://fuzukikuramae.stores.jp/
instagram:@fuzuki.kuramae

 

「道具屋nobori」
住所:東京都台東区寿2-9-17
営業時間:11:00~18:00
https://fromafar.stores.jp/
instagram:@douguya_nobori

 

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