～「berkarte」より vol.23 ～

誰とも同じにならないもの。

古き良きアンティーク、ヴィンテージってお好きですか？

ひとつの品物が、次の世代の手に渡って、また大切に使われていく……。

そう時を経て、‟出来上がってきたもの”がアンティークの品。それから、今では作られていない形や素材の品。当時の機械や道具で作られてきた価値ある品がヴィンテージです。ただ古いもの、という価値観ではなく、経年変化で得た色味や表情には、独特の雰囲気があって……。ファッションや生活の中で独自に楽しむことができる、唯一無二のものです。

普通に今も使えるものは、そこまで多くはありません。状態によって使用できなかったりすることも多々。希少だからこそ、より魅力に感じるのです。

いろんな品の中でも、“時計”は尚更数が少ないもの。なんといっても小さな小さな精密機械ですからね。一見、きれいな状態でも、中の機械が壊れていて使い物にならないことは多い世界。だからこそ、見た目と中身が整ったものに出会えると、より特別な感動が得られるのです。

1940's TISSOT　ladys cut glass 16mm cal.709 手巻き

年に５本から10本ほどのアンティークウォッチを探していますが、このTOSSOT（ティソ）は、そんな中で整った状態のうちのひとつです。

ティソは、1853年創業という歴史の深い、スイスの老舗時計メーカー。スイス国旗をロゴマークに取り入れることを許されている、数少ない伝統的な時計ブランドのひとつですね。ベーシックなモデルが現行でたくさん出ていますが、古いモデルの中に、価値の高い素敵な品に出会ったりします。

レディースモデルの中で、このカットガラスの風防を施したモデルを私はよく手にとります。光が差し込んだ時の綺麗な輝きと、光がカットガラスを通して写す文字盤の表情変化が、なんだか見ていて楽しいのです。

可愛い小さな丸いケースを囲む、湾曲した四角のケースがとても女性らしいデザイン。細すぎない凛々しくも思えるバーインデックス、黒のダイヤルは全体を締めているようで、とてもバランスの良い逸品だと思います。

現行の時計にはない、アンティーク時計の特別な魅力。長い時を経てもまた動き続ける、小さなケースに詰まった機械。凄いですよね

シンプルなスタイリングの中、ひとつだけ唯一無二の個性を足算すること。ぜひ楽しんで欲しいと思います。

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