使い込んだ後の‟質感”まで愉しんでほしい 当店の‟バケットハット”
~「LIFETIME」より vol.2 ~
接客トークで「新品が一番ダサイ状態」という言葉をよく使います。大半は新品を売っているのに(笑)。
当店のセレクトやわたしが作るものは、使い込んだ後の質感をとても大切にしています。審美眼といえば偉そうですが、50年間、面倒臭く生きて来た経験則に従って。そして、お客様にとって新品にはまだ何の思い入れも入っていないという意味を重ねて、「新品が一番ダサイ状態」と表しています。
(ベージュとオフブラックの 2 色)
本日の「今日のひとしな」は、「WORKS & LABO.(ワークスアンドラボ)」の‟ROADIE(バケットハット)”。マルチスタイルで変幻自在に形を作ってかぶれるバケットハット。
サンプル制作から二年、被っては洗濯を繰り返すうちに、黒がスミクロを経てチャコールグレーとなり(写真手前)、まるでヴィンテージ生地のような色味・質感になってきました。
こうやって新品と並べると、一目瞭然ですね。アタリの具合や質感、微妙な赤みが出ている感じなど、実物はもっと良い具合です。
このヴィンテージ感のあるバックツイルという生地は、ネップといって、繊維が絡み合ってできた節(糸のかたまり)も一緒に織り上げているので、シワクチャになっても、退色によるムラが出ても”汚い”イメージにはなりにくくて大好きなんです。
とはいえ、経年変化すれば何でも良いのかといえばそうでもなく、変化させない技術も大好物だからややこしいセレクトの店になってしまいます。「経年変化」を大切にしている真意は、
マルチスタイルで変幻自在に形を作ってかぶれるバケットハット。商品名になっているローディーとは音楽用語で、コンサートの時にミュージシャンの楽器の運搬やセッティングなど裏方業務全般を行う人のこと。
映画(ロードムービー)「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」の、心優しい登場人物(ローデイー的な脇役)が被っていた帽子をヒントに、ジャズピアニストのセロニアス・モンクへの憧れを加味した文化系アプローチで生まれた形。映画音楽はいろんな面で教科書です。
(友人の Studio Ausgang 着用。彼ら夫妻も映画/音楽好き)
最後にブランドのことを簡単に。
「WORKS & LABO.(ワークス&ラボ)」は2008年にはじめた、当店のオリジナルブランド。日本の職人による伝統と技術や、選び抜かれたこだわりの素材を活かしたもの作り(=WORKS)に取り組み、正統的・伝統的な園芸文化に対して二次的な側面を担う「園芸サブカルチャー」を追求(=LABO.)しています。さまざまなジャンルのクリエーターと交流を深め、業界を超えて「植物のある暮らし」の魅力を提案する農園芸レーベルです。
(Studio Ausgang 撮影)
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電話:075-415-7250
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営業時間:13:00~17:00
定休日:水曜、日曜
HP : https://lifetime-g.com/
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