【DAY_4】新刊『明日、ちょっといい私に出会えたら』撮影舞台裏 ~冬~
島根の人気セレクトショップ「Daja(ダジャ)」ディレクター・板倉直子さんの新刊『明日、ちょっといい私に出会えたら』の7日間特集。今回特別に、本に載せたかったけれどページの都合上断念した写真や、季節ごとの撮影中の様子を、板倉さんがご紹介してくださいます。今日は「冬」編。雪の中、頑張って撮影した裏話をお楽しみください~。
こんにちは、「Daja」の板倉直子です。新刊『明日、ちょっといい私に出会えたら』はお楽しみいただけましたでしょうか? 今日は撮影舞台裏の様子をお届けしたいと思います。どうぞお付き合いくださいね。
新刊の表紙は、白シャツを着た写真。
実は以前出版した著書『大人のためのかしこい衣服計画』『頑張らないおしゃれ』も、表紙では白シャツを着ているんです。私にとってその時その時のおしゃれのバロメーターになっている“白シャツ”。この3冊を通して、白シャツの着こなしの変遷を見ていただくのも面白いと思います。
新刊の裏表紙は、雪景色の中で。
今回の本では、行動が制限される中で、その時々に見つけた楽しみとおしゃれ、そして巡りゆく季節を味わいながら感じたこと、立ち止り足元を見つめて気が付いた小さなことなどを綴っています。冬・春・夏・秋の四季を通して、私の住む山陰地方の美しい自然を追いかけながら、一年かけて少しずつ撮影を進めていきました。
「冬」
記念すべき最初の撮影は「冬」、一年前の雪景色です。
雪に覆われたこの景色は、松江市から車で一時間ほどのところにある島根県奥出雲町。実家の畑から裏山に続く場所です。台所の勝手口を開けると、目の前にこの風景が広がります。扉を開けるたび、移りゆく季節の色合いを切り取ったような美しい眺めは、物心ついた時からずっと見てきた私の原風景でもあります。
奥出雲の美しい雪景色をぜひ本に収めたいと願っていましたが、雪が降るタイミングを読むのは難しく、撮影が近づくと毎日のように実家の母に連絡を取っては「雪は降った? 積もった?」と確認していました。
この日、と決めて、向かった日の積雪は40~50センチ。到着したらどのポジションで撮るかを、実際に何か所か移動して確認します。
が、しかし、膝上まで積もった新雪は、ちょっと歩くだけでこんな感じに! 撮影場所の確認のために雪かきをしてしまうとせっかくの白一色の雪景色が台無しに。なので、罰ゲームかのように(笑)、新雪の中をどんどん進んでいきます。子供の頃の雪遊びを思い出し、撮影スタッフ一同キャーキャー言いながら楽しい撮影となりました。
ここで撮る、という場所を決めたら私が立ちやすいように皆で雪かき。立ち位置より後ろに雪を置くのが綺麗に撮影するためのコツです。スタッフ・エスミさんに地面を綺麗に均してもらい、いよいよ撮影開始です。
撮り始めると、さっきまで吹雪いていた鉛色の空に光が差し込み、青空が広がってきました。あまりのタイミングのよさに、この時ばかりは普段の行いが良かったかも? と思いながら神様ご先祖様に「ありがとうございます!」と心で感謝の気持ちを唱えていました。
太陽の光の中で美しく舞い落ちる雪。この写真は、一瞬の晴れ間に撮れた奇跡的な一枚です。
ひとたび日が差すと、空の色や景色は別世界のようにキラキラと輝き出します。
でも天候はあっという間に変わり、みるみるうちに激しく粉雪が舞ってきました。降り方が落ち着くまでしばし撮影のタイミング待ち。
そんな時、頭の上でザワッと音がしました! その瞬間、木に積もった雪がバサッと落ちてきたのです! 一瞬にして雪まみれになったのも撮影の楽しい思い出です。
カメラマンの伊東昌信さんは、まるでマタギのように自然の中に溶け込みながら、厳しくも美しい冬景色を見事に切り取ってくれました。
明日は、撮影の舞台裏「春」編をお届けします。どうぞお楽しみに!
『明日、ちょっといい私に出会えたら』より
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photo:伊東昌信
Profile
板倉直子
島根県松江市のセレクトショップ「ダジャ」のディレクター。『大人になったら、着たい服』でトラッドを基本にした私服コーディネートが紹介されると、マニッシュな中に大人の女性らしさがあると大評判に。日々の着こなしや暮らしぶりを紹介したインスタグラムも人気。現在は、ファッションブランド「ハンドルームウィメンズ」のディレクションも手がける。著書に『大人のための かしこい衣服計画』『頑張らないおしゃれ』(ともに主婦と生活社)がある。
Instagram @itakuranaoko
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