「Anywhere Out of the World」の巻きスカート
今日のひとしな
2020.05.04
~ 「岡の」より vol.4 ~
「Anywhere Out of the World(エニーウエアアウトオブザワールド)」の前田良司さんの服は、広げてみるとまるで現代アートのよう。なんとドレープの部分に約4メートルの布を使っています。
美しいラインが特徴。憧れのバレリーナのような雰囲気がそこはかとなく漂うエレガントさ……。ギャザーを寄せたスカートの陰影がとても美しいのです。たっぷりの布を使いながら、なぜ、かさばらないのか。お腹まわりとお尻まわりがほっそりと見えるのには秘密があります。
それは、ギャザーを寄せる位置。ウエストから少し下げているのです。こうしてお腹の下にギャザーをたっぷりと作ることで、ウエストがすっきり見えます。極細の糸で高密度に織られた布だからこそ、もたつかず、ごわつかない。広がり過ぎず、すとん、と自然に体のラインに沿う。
巻きスカートといえば、風が吹けばひらひらと裾のめくれが気になるものですが、こちらは合わせ部分がとても深いので、そんな心配はいりません。そしてありがたいことに、自分のウエストに合わせてサイズはいくらでも調節できます。ウエストの紐をリボン結びにするのも可愛らしい。
前田さんの服で、私が最初に手にしたのはプリーツたっぷりのシャツ。質のよい布地と高い職人技の両方がないと出来ない服です。こちらがそのインディゴ染めのシャツ。
プリーツ、ギャザーと私が気になるものが前田さんの服には多くて、目移りしてしまいます。もともと前田さんは、「ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)」や日本を代表するブランドの素材やテクスチャーを数多く担当してきた方。素材に精通し、素材を生かしたデザインが得意な方です。デザイナーであり職人の目を持つ前田さんの服作りには、服を楽しむことへの信頼感と身につけることの誇りのようなものを感じます。
甘い服を好まない、でもエレガントなものを求める女性によく似合います。ユニセックスなデザインが多いのも特徴で、姿勢のよい男性が着たら、きっと華やかだろうな、と思います。
ブランドの名前は『この世界の外ならどこへでも』。フランスの詩人ボードレールの詩の一編から。外の世界への憧れ、救い。切実に。憧れを持ってきたい服です。
「Anywhere Out of the World」巻きスカート
サイズ 長さ86×幅399㎝ 19,800円(税込)
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