応量器を使った朝ごはん
「ぽたぽたポタリー」市野彩乃さんvol.4
こんにちは。福井県福井市のうつわ屋“ぽたぽたポタリー”です。
2024年2月の朝ごはんコラム4回目、最後の朝ごはんとなりました。
これまでの朝ごはんは、“魚を食べたい日の焼き鯖ちらし寿司”、“前日の蕎麦のゆで汁を使ったそば粥”、“サラダをもりもり食べたい日のコブサラダ”と、我が家の朝ごはんの中では普段よりも少し張り切った日や気分転換をしたいときに作るメニューでした。
本日作ったのは、定番のメニューを漆器に盛り付けた朝ごはんです。
メニューは
・胚芽ご飯
・わかめと薄あげのお味噌汁
・梅干し
・きゅうりの浅漬け
・鯖の味噌煮
・だし巻き卵
(気合いが空回りしてだし巻き卵失敗しました…お恥ずかしい…笑)
今日は前日に煮ておいた鯖があったのでお魚にしましたが、普段だと起きてパーッと準備ができる納豆や冷奴を出すことが多いです。
お味噌汁は簡単にできる味噌玉派です。味噌にだしパックと乾燥わかめ、乾燥きのこ、乾燥野菜など、乾燥した具材を混ぜ込んで冷蔵庫で保存して、食べたいときに使う分を取ってお湯で割るだけなのでとても簡単です。味噌玉を知って人生の10%くらいは得したなと思うほど朝が楽になりました。
朝ごはんを入れている漆器は、福井県で越前漆器を制作されている“くろめ工房”さんの応量器(おうりょうき)です。
私どもが住んでいる福井県には、1244年に道元禅師によって開かれた禅の修行道場である“大本山永平寺”があり、修行僧である雲水さんが厳しい修行の日々を送っています。
その日々の修行の中で、食事の時間に使っているのが応量器と呼ばれる漆器です。
応量器は入れ子状に作られた5枚の容器で構成される食器で、ご飯、汁物、主菜、副菜、香の物を入れるようになっています。一品一品の量に応じて使うことから応量器という名前が付けられており、5枚全部を使う必要はなくご飯とお味噌汁、お漬物の3枚で使っても良いと言われています。
応量器の魅力はこの形にもあり、このようにサイズ違いの器なので、
重ねるとひとつの器の中に全てが収まるようにできています。
漆を塗り重ねていてもこのように擦れることなくピタッと収まるのは、木地を作る職人さんと漆を塗る職人さんの腕の良さなのだろうと見れば見るほど惚れ惚れします。
丈夫で割れや欠けに強い。万が一欠けても修理ができる。漆の抗菌効果で安心。という漆器のメリットに加えて、応量器は入れ子状で収納性が良く場所を取らないという良さがあります。
応量器はこれひとつあればいい、唯一無二の器。と言われており、最後に手にする一生ものの器とも呼ばれています。
色々な器の組み合わせを楽しんでほしいなぁと思っているうつわ屋の立場としては少し寂しいのですが、ここ数年でくろめ工房さんの応量器が欲しいとのお声をいただく機会が多かったので職人さんに相談して作っていただきました。
くろめ工房さんというと、なんといってもこの外塗りのザラザラとした手触りの漆です。艶消しのマットな質感の漆は、見た目のかっこよさはもちろん、手に取ったときにツルっと滑りにくい滑り止め効果があるため、お子様やお年を召した方、手指のこわばりなどで力を入れにくい方にも安心して使っていただけます。
https://pota-pota.com/kurome.html
本日は、定番のメニューを特別な漆器に入れた日の朝ごはんでした。
四回に渡る我が家の朝ごはんコラム、お読みいただきありがとうございました。
人様に失礼のないように言葉を文章にして伝えるのはとても難しくて、これでいいのかと不安に思うことの連続でしたが、忙しない日々の中でふと立ち止まって自分の今の状況や気持ちを考えることができて、とてもいい機会をいただけたのだと思いました。
器が好きという気持ち一本で始めたお店も5年を超え、やっぱり今もなお器が好きで好きでたまらないんだと気付くことができて嬉しいです。
この度はありがとうございました。
福井にご旅行にいらした際はぜひ当店にもお立ち寄りくださいね。
寒い日が続いておりますので体調を崩されませんよう、くれぐれもご自愛ください。
いつの日かお会いできることを楽しみにしております。
ぽたぽたポタリー
市野 彩乃
福井県福井市新田塚2丁目24-10テラスハウスS-2
TEL:0776-97-8096
営業時間:11:00-17:30
定休日:水曜・木曜
https://pota-pota.com/
Instagram:@pota_pottery
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