アツアツをテーブルで愉しむ朝ごはん

器店主の朝ごはん
2024.04.20

「THE SHOP 十二ヵ月」柿沼ひとみさんvol.3


こんにちは。愛知県名古屋市「THE SHOP 十二ヵ月」の柿沼です。
3回目は、大好きな簡単美味しい朝ごはんのお話しです。

その日の気分やメニューに合わせて、具たくさんスープをよく作る我が家。冷蔵庫の中を覗いたら、残り野菜の顔ぶれでスープの味を決めます。とにかく野菜は種類を多く、たっぷりと。これ一つでお腹も栄養バランスも満たしてくれるように。朝は、それに大好きなパンがあったらご機嫌です。


この日のメニューは、たっぷり野菜とベーコンのミルクスープ、ベーグル、ヨーグルトにフルーツとハニーデュー。
野菜は小さく刻めば調理時間が早いので、かつてはお弁当に頻繁に作っていました。今は、夕飯後についでに調理しておいて、朝は楽をしています。今日のパンは、そのスープと一緒に娘に持たせていた、隣り駅のMaru Bagelさんのお気に入りのベーグルで。


汁ものは鉄の鍋で作って、アツアツをテーブルへ運ぶスタイルが多いです。「作る」から「食べる」までのライブ感が好きなのですよね。その人のお腹具合でおかわりしてね、というのも良い感じです。


■及源鋳造 / クックトップ

この南部鉄器のお鍋は、10年ほど前に岩手県奥州市の及源鋳造さんで一目惚れをし、ただでさえ鍋の多い我が家に連れて帰ったモノです。美しいシンプルなシルエットに、開閉できる蒸気の吹き出し口がチャーミング。40年ほど作り続けられているというから驚きです。


デザインは、南部鉄器と出会って60年とおっしゃる金属工芸家の広瀬愼さんによるもの。当時の伝統的な鉄器の世界に、どれ程の新しい風を吹き込み、愉しさをもたらしたことでしょう。
使っては、厚い鋳物ならではの熱を蓄えて全体に火を通す力に納得します。そして、及源鋳造さんの、進化を続ける一方で江戸時代から続く焼型や製法を守るなど、本当に真摯なものづくりの姿勢にも心惹かれています。
時代に左右されず普遍的な存在感をもつモノを使い続けたい私は、今でもこの鍋を手にするごとにわくわくしているのです。

鉄器は家庭に1つは有ったりしますが、意外と取り扱い方を知らない方が多いみたいですね。お鍋もフライパンも、熱いお湯だけで汚れを浮かせて、シュロ束子やささらで洗うのみです。錆びてしまって…というお話も聞きますが、必要以上に固いもので擦っていないでしょうか。知れば何てことない、シンプルな洗い方ですね。


■水谷和音 / しのぎスープマグ

たっぷりと「食べる」スープにぴったりな、大きいマグ。釉薬の色で美味しそうに見えるスープも違いますから、色違いで揃えたくなる器です。

慌ただしい朝は、厚みのある磁器につい手が伸びます。丈夫でレンジ加熱にも向いている素材。ついでにラップが付けば嬉しいですね。日常のための器には、安心感を与えてくれるというのも大切な要件ではないでしょうか。


■中村智子 / グレー リムプレート21cm

とてもシンプルだけれど、素敵なニュアンスを持っているグレーの器。どんな器との相性も良くて、初めて中村さんに出会った時に、このグレーでのアイテム展開を強くお願いしたことを覚えています。

作陶されている愛媛県の砥部町は、器ファンにはよく知られた窯業地。砥部焼は「夫婦喧嘩で投げても割れない」という話が伝わるほど、厚くて丈夫な磁器なのが特徴ですね。この作風から砥部焼を意識することは殆どないのですが、安心というよい伝統は継承されているなと感じます。


■渡辺均矢 / 楕円豆鉢

渡辺さんとは25年以上のお付き合いになりますが、ずっと変わりなく制作し続けられてきたのが、この「象嵌染色幾何文」のシリーズ。

どのアイテムも定番というカタチにこだわり、15 種類は有るかなという文様の多さで楽しませてくれます。(多過ぎて、作家も把握していないらしいのですが。笑)見て好きになり、使って集めたくなる、リピーターさんが多い渡辺さんの器。ご家族で2代3代に渡ってファンを継がれている気持ちもわかります。


■内田鋼一 / 鉄錆隅切盆

陶芸家としての活躍にとどまらず、造形作家としての才も表に出してくれるようになった初期の頃に入手した鉄盆です。

内田さんの作品は、十二ヵ月を始める前から少しずつ集めてきました。実は同級生世代なのですが、常にこの世代の一番先を歩き、時代をつくってくれている人だと思っています。古美術収集家、書家、プロデューサー、今ではたくさんの顔をもちますが、近年は社会に何を還し残すのかを考えられているよう。次は何を見せてくれるのか、まだまだ目が離せません。


■原口潔 / アルミお玉
■icura / れんげスプーン、ヨーグルトスプーン

原口さんの作品としては数少ないアルミの打ち出し。
テーブルにお鍋を運ぶならば、お玉も一緒に並ぶも器や道具たちと馴染めるものを。鈍く光る槌目が、手しごとたちによく似合います。

我が家で最もよく登場する、2つの木のカトラリー。
特にれんげスプーンは、スープもカレーもチャーハンも、オールマイティーな活躍ぶりです。木は温度が伝わりにくいので、熱いもの冷たいものでも優しく口に運べて心地よいですね。

 

→「THE SHOP 十二ヵ月」の記事はこちらから
→その他の『器店主の朝ごはん』はこちらから

THE SHOP 十二ヵ月

愛知県名古屋市中区上前津1-3-2-1F
TEL:052-321-1717
営業時間:10:00-18:00
定休日:火曜 (年末年始・お盆・連休は変則の場合あり)
Official site:https://www.jyunikagetsu.com
Online shop:https://online.jyunikagetsu.com
Instagram:@jyunikagetsu

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ