【金子敦子さん連載】vol.５ 高尾山にのぼろう！【前編】

金子敦子さんとともにお届けする連載、「大人のソトアソビ。」。これまでは金子さんが登ってみたい山に出かけていましたが、今回は趣向を変え、初心に返って、金子さんが山に登り始めたきっかけや初めて登った山の話をお伺いすることに。

金子さんが山に登ろうと思ったのは、何がきっかけだったんですか？
「きっかけは、10年前の東日本大震災です。いつどうなるかわからないから、やりたいことはすぐやろう！ と思ったとき、富士山登山が頭に浮かびました。それで、すぐアウトドアショップ『モンベル』に行ったんです」

さすが、思い立ったらすぐ行動！　の金子さん。体を動かすのは昔から好きだったんですよね？
「とんでもない！　もともと運動は苦手で、体力もないほう。学生時代のマラソンも嫌いだったし、ずっと『山なんて登れるわけない！』と思っていました」

え〜それはびっくり……！　日ごろからウォーキングやバレエをされているから、てっきり運動がお好きなんだと思っていましたが、そうではなかったんですね。

「『モンベル』で登山グッズを見ていて、『登山って何を用意すればいいの？』と思ったとき、ふと目にとまったのが、漫画家・鈴木ともこさんの本『山登りはじめました　めざせ！富士山編』（角川メディアファクトリー刊）。山登りを初めてまもない鈴木さんが、目標の富士山に登る前に高尾山や塔ノ岳など、いくつかの山を登る様子やその楽しさが描かれているのですが、読むうちにワクワクして。鈴木さんも学生時代は運動音痴で、私と同様、体力も根性もなかったと書いてあって、それなら私でも登れるかも！ と勇気づけられました」

さっそく「モンベル」でザックを、その後、東京・神保町にある登山用品店「さかいやスポーツ」で登山靴も購入。よく「登山に何より大事な装備は靴」と聞きますが、靴はどうやって選びましたか？
「いろいろな本を読んで山のことを調べるうちに、富士山より北アルプスに憧れるようになって。ドイツのシューズメーカー『マインドル』の靴は、スタッフの方に『北アルプスにも行ける靴が欲しいんです』と伝えて選んでいただいたもの。たくさん試して、何度も(店内に設置されている）坂を登り降りして、これに決めました。重くて硬い、本格的な登山靴で、今でも愛用しています。ちなみにザックは今、夫がふだん使っていますよ」

金子さんが買ったばかりのザックと登山靴で向かったのは、本にも載っていた高尾山。（上の写真はそのときのもの）主な尾根より南側にある「稲荷山コース」です。頂上まで約90分と歩行時間はそれほど長くありませんが、中腹までは急な上り坂で、初心者にはややハード。初めての登山はいかがでしたか？
「登り慣れない私にとって90分の登りは正直きつくて、頂上についたときはバテバテでしたが、山の空気、鳥のさえずり、風の音、木漏れ日……すべてが気持ちよくて！　心からリフレッシュできたし、山登りをしている自分が好きだな〜と思えたんです」

「意外と体力あるんだ！」と自信がついたうえ、すっかりその楽しさにはまり、再び高尾山へ。
「登る間はつらいと感じることもあるけれど、頂上につくと、みんなおだやかないい顔でくつろいでる。山っていいな〜！　登山って最高！　と思って。夏はソフトクリーム、秋は山頂から少し歩いたところにある茶屋「細田屋」のなめこ汁も楽しみながら、計10回ほど、体力づくりのためにジム感覚で通いました。登るたびに自信がついて、さらに楽しくなりましたね」

その甲斐あって、“バカ尾根”と呼ばれる、丹沢表尾根の最高峰、塔ノ岳の大倉尾根もクリアできたそう。バカ尾根、私も一度登ったことがありますが、かなりハードですよね……。
「高尾山とは歩行距離も高度感も別格なので、本当にきつかったですが、何とか登りきることができました。とてもうれしくて、頂上で思わず買った山バッジは宝物です」

後編では、金子さんの山登りの“原点”、高尾山に登ります！

→後編に続きます

text：増田綾子

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