縁起のいい“氷甘酒”で暑気払い 甘酒「天野屋」

大人の江戸あるき
2019.07.17

●江戸の総鎮守・神田明神に守られた甘酒屋


天下祭りで知られる神田神社(神田明神)は、天平2(720)年に創建という江戸きっての古社。太田道灌や北条家はもちろん幕府が開かれると、今の大手門あたりから江戸城の表鬼門であるこの地へと遷座されて、江戸の総鎮守として徳川家から市民まで篤く崇敬されてきました。

 

s-1a天野屋の氷甘酒は、6月10日~10月10日まで。

 

今でも参拝客が詰めかける神田明神ですが、参詣帰りに立ち寄りたい名物店があります。江戸は弘化3(1846)年に創業した甘酒の「天野屋」です。創業のころ、糀(こうじ)商いをしていた天野屋ですが、糀でつくった甘酒が評判となり茶店を開きます。神田・お茶の水あたりは、関東ローム層のおかげで、昔はとてもよい湧き水がでたとか。おいしい湧き水で糀を醸した天野屋の甘酒は、「明神甘酒」として江戸のひとたちに愛されてきました。

 

s-2a参詣客でいつも賑わう神田明神の鳥居下にある「天野屋」。「甘酒茶屋」は年代ものの狸がお出迎え♡

 

●天然の土室が生む、柔らかな口あたりと優しい甘味


江戸のころは、お茶の水・神田界隈には糀屋が多かったとか。「このあたりの地下は、土室(むろ)が長く伸びていてね。どの店も土室で糀をつくっていました。今はビルやマンションに変わってしまい土室を取り壊したところがほとんど。うちでは、創業から変わらず土室をつかって糀や甘酒をつくっています」と、女将の天野史子さん。糀や甘酒の製造を手掛ける6代目店主とともに店を切り盛りしています。

 

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アンティークな小物や鉄道模型などが飾られていて、ノスタルジックな雰囲気で落ち着く店内。

 

地下6メートルの天然土室でつくられた糀と米のみを材料として、じっくり時間をかけて発酵させます。こまめに温度管理や発酵の具合を調整して、とろりとした柔らかな口あたりと優しい甘みの甘酒へと仕上げていきます。糀の甘酒は、飲む点滴と言われるほど栄養価が高いことでも有名。「赤ちゃんの離乳食や入院患者のおやつとして使われることも。老若男女を問わない栄養ドリンクですね」

 

s-4a参詣土産としても人気な甘酒。そのまま飲めるストレートタイプ/1,000円(4個入り)、昔ながらの濃厚甘酒/780円。「割って飲む濃厚な甘酒は、ジャムのようにヨーグルトに混ぜて食べるのはおすすめ」と女将さん。

 

●ひんやりすっきり栄養たっぷり氷甘酒で暑気払い


冬のものだと思われがちな甘酒ですが、もともと暑さを乗り切るための夏の飲み物。江戸市民も、暑気払いにと甘酒を飲んでいました。天野屋では、一年中温かい甘酒も冷たい甘酒もお品書きにありますが、夏限定の「氷甘酒」は真夏日にぴったりの一品。甘酒シロップを注いだグラスにシャキシャキ氷が乗った氷甘酒は、外の暑さを忘れてしまう爽快感です。カラダによい甘味というギルトフリー感も嬉しい。

 

s-5a火入れして冷やした甘酒シロップに氷をのせていただく「氷甘酒」/500円。自家製くず餅などの甘味も評判。

 

天野屋では、「明神甘酒」のほかに「江戸味噌」や「久方味噌」、「芝崎納豆」など、こだわりの糀をつかった発酵食品も手掛けています。江戸っ子にならって、甘酒や発酵食品を摂り入れて、令和初の猛暑を乗り切りたいものです。

 

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お味噌や漬物など、“酒のつまみ”や“ご飯の友”も充実。魅力的な発酵ラインナップがずらり!

 

s-7a福々しい鶴の子大豆でつくられた「芝崎納豆」/350円。納豆好きさんにはおすすめ。薄揚げに味をつけた納豆を詰めて軽く炙ると、ビールのツマミにぴったり。


*商品すべて税抜、2019年7月現在のものです。

text&photo:森 有貴子

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天野屋

東京都千代田区外神田2-18-15
TEL:03-3251-7911
営業時間 10:00~18:00(月~土曜)、10:00~17:00(祝日)
休日 日曜日(4月~12月第1週)、海の日、8月10日~17日
http://www.amanoya.jp/

Profile

森有貴子

Yukiko Mori

編集・執筆業。江戸の老舗をめぐり、道具と現代の暮らしをつないだ『江戸な日用品』を出版、『別冊太陽 銀座をつくるひと。』で日本橋の老舗について執筆(ともに平凡社)。落語、相撲、歌舞伎、寺社仏閣&老舗巡りなど江戸文化と旅が好き。江戸好きが高じて、江戸の暦行事や老舗についてネットラジオで語る番組を2年ほど担当。その時どきで興味がある、ひと・こと・もの、を追求中。江戸的でもないですが、instagram morissy_edo も。

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