遊牧民の必需品、バルーチ族のサドルバッグ

今日のひとしな
2021.10.07

~ 「エイトデイズ」より vol.7 ~

袋物は遊牧民にとって欠かせない道具の一つです。移動の際には家財道具を入れたり、食物の保存や保管、そして衣類や生活用品の収納など、たくさんの目的で「いれ物=袋物」が織られています。前回はクッション替わりにもなる収納袋「バーリシト」を紹介いたしましたが、今回はホールジン(鞍掛袋=サドルバック)と呼ばれる移動の際の荷物入れです。主にロバなどの動物の背に掛けて使われるため、ドンキーバックと呼ばれることもあります。人が乗る鞍と収納を兼ねた振り分型の袋物です。(トルコ語ではヘイベ)

今回ご紹介するのは、アフガニスタン西部のアドラスカン〜ファラー州のバルーチ族もしくはアイマク系のジャムシーディ族あたりのサドルバッグです。

このサドルバックには、様々な技法が織り込まれていて、表面はパイル、裏面は縞模様の平織、中央部の袋の閉じ口部分には綴織(キリム)という多様な織が使われています。裏面のジジム織のアクセントもモチーフもあまりないタイプで、バルーチらしくないサドルバッグです。


面もさることながら裏面の味わいのある縞模様と一部だけに織り込まれた縫い取りの十字モチーフに織り手のセンスを感じます。使い込まれた羊毛の艶も特徴の一つです。


正方形の小さいラグは、ネットショップなどではミニラグなどと呼ばれ売られているようですが、本来はこのようなバッグ類を分解したものなのです。

表パイル織り 裏キリム平織り 羊毛 100x48cm 19世紀末

 

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