鮮やかな色彩で、緻密な織りが美しいマフラッシュというキリム

今日のひとしな
2021.10.27

~ 「エイトデイズ」より vol.27 ~

シャーセバン族を代表する織物「マフラッシュ」のご紹介です。

マフラシシュとは、かさばる大型の布団や毛布などの寝具などを収納する立方体の袋物です。トルコではベシックと呼ばれますが、イラン北西部アゼルバイジャン州のシャーセバン族が多く織ることで知られています。こちらは箱型の底部分を切って両サイド部分を繋ぎ、敷物や掛け布として使えるように加工されています。

大型で重量も増えるため、ほとんどが絨毯ではなくキリムやジジムで織られています。シャーセバン族は文様がはっきり表現できるスマック織を多く使いますが、今回のマフラシシュ表皮は綴織りです。シャーセバンらしい鮮やかな色彩で、緻密な織りが美しいキリムです。収納としても使われますが、両サイド共に装飾されているのでテント内を美しく飾ります。日本ではあまり目にすることがない織り物ですが、海外ではマフラッシュだけを集めた本も出版されるほどの人気だそうです。

また天然染料の素晴らしさを知ることができる1枚で、織目の丁寧さとともに現物を是非見てもらいたいです。

このような大型の袋を運ぶのはラクダがメインで、ひとこぶラクダの両側にバランス良く積んで移動します。標高の高い地域を遊牧するので、トライバルラグの輸入元「tribe」榊さんはその美意識を「宇宙的」と表現されていました。確かに独特のセンスを感じます。この写真は1980年代に撮られたものですが、かなり大切に使い込まれたマフラッシュが写っています。遠くからでも一目でシャーセバン族であることが分かるように、という意味もあるそうです。部族の誇りを感じる「ひとしな」ですね。

120x110cm 19世紀

 

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