ちょっとしたスペースや壁飾りなどに取り入れたいトライバルラグ

今日のひとしな
2021.10.30

~ 「エイトデイズ」より vol.30 ~

今日はバッグフェイスやトルバなどの小さめのモノを3点ほど紹介いたします。

まず最初はトルクメン・ヨムート族のトルバです。

長い間トルクメン族は婚礼の際に花嫁がラクダに乗って嫁ぐ、という伝統がありました。ラクダの背に幾重にも細長い袋ものをぶら下げ、中には持参品をたくさん詰めて集まった親戚や知り合いに見せびらかしながら行進します。こちらはその際に使われるトルバという細長い袋ものの表皮です。トルクメンらしい織りで、光沢もあります。小さめのサイズなので、敷物としてだけでなくテーブルやチェスト等の上に置いてもいいと思います。


トルクメンの絨毯は各支族によってメインの文様が異なりますが、今回の袋表皮はヨムート族のケプセと呼ばれる独特なギョルが二つ並んで表現されています。

トルクメン・ヨムート族 トルクメニスタン西部 トルバ表皮 パイル 羊毛 88x34cm 19世紀終わり

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続いてはバルーチ族のサドルバッグです。

バルーチ族も婚礼用の持参品として様々な毛織物を織りますが、大型のサドルバッグは嫁入りには欠かせない道具の一つです。このサドルバッグにはバルーチらしさが満載で、濃い色を組み合わせたシックな色彩に生成りの白を配置するセンス、止め口の綴織上下の紋織など、様々な織技法が組み合わされています。中央に配置された八芒星は特に彼らが好むモチーフですが、魔除けとお守りを併せ持つ幸運のシンボルとして、特に大切なものを入れて運ぶサドルバッグに織り込まれます。比較的新しいものなのでコンディションは良いです。



バルーチ族 ヘラート周辺 アフガニスタン西部  サドルバッグ表パイル 裏平織 羊毛 66x68cm 20世紀中頃

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イラン北東部のホラサーン地方のクルド族も大型のジュワルと呼ばれる袋物を織ります。そのほとんどは縫い取り織り(ジジム)です。

主に小麦などの穀物を収納する袋と言われていますが、タテ方向に入り口があるので同じジュワルでもトルクメンとは違う形状です。クルド族らしい大胆でメリハリのある色彩と緻密な縫い取り織が特徴ですが、60x100cm程度のサイズがほとんどです。今回のジュワルはかなり古いもので、裏面が外されていますが表面の色彩と縫い取りにもる文様はしっかりと残っています。色彩文様ともにクルド族らしいジュワルです。サイズ的には玄関マットとしてちょうどいいくらいですが、キリムですので壁にかけても素敵です。


クルド族 ホラサーン地方 イラン北東部 ジュワル表皮(大型収納)ジジム(縫い取り織)95×77cm 19世紀

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以上、どれもアイデア次第でいろいろな使い道がありそうです。

今回でトライバルラグは終了です。最初に予定していたもの全部はご紹介出来なかったのですが、価格帯なども少し気にしながら全体像が分かるように心がけたつもりです。「古いものの方が高い」という骨董品としての側面があるため、手を出しづらいと感じる方も多いでしょう。買いやすい新しい年代のものの中から選ぶ、、、という楽しみ方も良いと思います。こういう時代ですのでオンライン購入ももちろんアリだと思いますが、近隣で展示会などがあれば実際に見て触ってみることも大切です。部族についてや、その織物の背景等の説明を受けながら沢山のラグやキリムを見ていくと、だんだん自分の好みなどもわかってくると思いますよ。

 

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