初夏の出勤前の朝食

器店主の朝ごはん
2017.06.04

「神楽坂 暮らす。」はるやまひろたかさん vol.1

 

はじめまして。「神楽坂 暮らす。」店主のはるやまひろたかと申します。

東京・神楽坂の上の方にある小さなスペースで日本の器とその他諸々の手仕事を商っています。このたび、4回連載という形で、朝ごはんと器使いについてお話することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 

photo & text : はるやまひろたか

 

器屋とは言っても料理のプロではないので、普段さほど凝った食事を作るわけではありません(料理は好きですが)。

実は今回のお話をいただいた折にも若干戸惑い、編集のOさんに「ただのおじさんの朝食を人前に晒してもよろしいのでしょうか?」とお伺いを立てたところ、それでOKというお返事をいただきましたので、この原稿を書いている次第です。

 出勤前に所用があるときは、行きつけの喫茶店のモーニングセットで済ませてしまうこともあるので、家で朝食を摂るのは、週のうち4~5回程度ではないかと思います。

一日のはじまりである朝の食事をしっかり摂ることは、食生活の基本中の基本。けれど、外で働いていると時間に追われてしまい、現実は理想になかなか追いついてゆかないものです。実際、僕の朝食もかなり簡素。それでも、年齢のこともあり(もう中年ですからね)、以前と比べると、栄養バランスにはほんの少しだけ気を使うようになってきました。

前置きが長くなってしまいましたが、第一回目は普通に出勤する平日の朝食です。

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器屋としては微妙な内容かもしれませんが、正直に申告します。この日の献立は、パン、スクランブルエッグ、ハム、ラタトゥイユ、コーヒー。

調理というほどの調理はほとんどせず、火を使ったのは、卵を焼いたのと、コーヒー用のお湯を沸かしただけ。ラタトゥイユは前の晩の残りだし、準備時間10分程度の本当に簡単な朝食です。

 

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オーソドックスな器使いしかしていないので、期待していた方は拍子抜けしてしまったかもしれません。

僕は、適材適所という言葉は器にも当てはまるものだと考えています。

熱々のコーヒーであれば熱をやさしく伝えてくれる土ものの器に注ぎたいし、冷たいままで食べたいラタトゥイユはその色と温度を際立たせるガラス器を使ってみる。スクランブルエッグのようなシンプルなものは縁取りがきれいなお皿に盛り、素朴なパンは木目が美しいメープルのお皿に。

頭の体操のようでもありますが、これはそんなに難しく考えることではなく、寒い日には長袖を着て、暑い日には半袖を着る、というような感覚と一緒なのかなあと思います。

その感覚がつかみにくい場合は、一度先入観を取り払って、「使いたい器」ではなく「使うべき器」は何なのかということをシンプルに考えてみるのがよいかもしれません。無理に作家名や産地名などの変数を含んだ難しい方程式を解こうとせず、形状やサイズなどの定数を元に足し算や引き算を解く要領で、あくまでもシンプルに。

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僕はマグマニアなので、いろいろな作り手のものを持っていますが、この朝はお気に入りの益子のマグを選びました。

土ものの器は、使い込むごとに表情が変わってゆくのが特徴。うつろいゆくその表情自体が自身の生活の記憶なので、自然と愛着が湧いてきて、さらにお気に入り度数がアップしてゆくような気がします。

日本の器使いの特色の一つとして挙げられるのは、家族の中で、お箸や飯碗の所有者がそれぞれ決まっていること。

いまやマグも、そういう対象になってきているのではないでしょうか。最近は「マイマグ」と呼べるような器を持つ人が増えていると思います。食生活が洋風になっても、我々の意識の中には、和の食卓における不変のセオリーが知らず知らずのうちに根付いているのかもしれませんね。

 

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よく、良い器を選ぶコツはなんですか?という質問を受けます。

上でも触れた通り、器と言うのは端的に言えば、使う人の食生活=日々の暮らしとともにあるものだと言えます。

人の暮らし方は十人十色、物の感じ方もそれぞれ違っていて当然です。そう考えると、自分自身の手の感覚(持った時の馴染み具合)や心の感覚(見た目の第一印象)に正直になる、ということ以外、コツと言えるものはないのかもしれません。

まずは、足し算引き算の要領で、必要な器を少しずつ集めてゆく。そうすると、その過程でモノを選ぶ精度が高まってゆきます。良い器というものに客観的な意味での正解はありません。急がずに少しだけ時間をかけて「ワタシだけの正解」を見つけるのも、器選びの醍醐味ではないでしょうか。

今回の連載では、僕個人の朝食についてつらつらと書き連ねてゆく予定です。それがみなさんの器使いの何らかの参考になればうれしいし、そうではなく、僕の大雑把さ(大らかさ?笑)を反面教師にして、ご自身の朝食や普段の食卓を見つめ直すよすがにしていただくのもよいのではないかと思っています。

では、また次回お会いしましょう!

 

使った器

・コウノストモヤさんの八角木皿

・鈴木稔さんのマグ

・阿部慎太朗さんのニット紋プレート

・坂田裕昭さんのガラスボウル

・アンティークのフォーク

 

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器と工藝 コハルアン(旧:神楽坂 暮らす。)
東京都新宿区矢来町68 アーバンステージ矢来101

TEL&FAX:03-3235-7758

営業時間:12:00-19:00(日曜/祝日は12:00-18:00)

定休日:毎週月曜/火曜(祝日の場合は営業)

最寄駅:東京メトロ東西線・神楽坂駅から2番出口から徒歩約2分、都営地下鉄大江戸線・牛込神楽坂駅A1出口から徒歩約8分

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