旅の定番、ビレッジレザーのコインパース

今日のひとしな
2017.08.07

~ musubi(むすび)より vol.7 ~

いろんな国に行って、いろんな人に会って、いろんなものを見てみたい。日本を離れ海外で仕事をしていた父の休暇中のこと、彼宛ての電話をとった小学生の私は、知らない国の言葉を耳にしてそんな風に思った。それを仕事の中でできたらいいなぁとぼんやり思い描いて大人になり、いろんな国の、いろんな手が、いろんなものを生み出す場に出向いて何かを見つけたり、作ってもらったりすることが仕事になった。

出発前の夜に、大きなスーツケースをひっぱり出して旅支度をする。服は着慣れたものがいい。靴は履き慣れたものがいい。かさばらず、使い勝手よく、そしてどこか「いつもの」が感じられるものが手元にある、というのがいい。

07ビレッジレザーのコインパース_01

旅を重ねる度に定番ができていくのだけれど、毎回忘れず欠かさず鞄に放り込むのは、この小さなコインパース。

07ビレッジレザーのコインパース_03

コインやピアス、常備薬、滞在先のホテルのカードキーをはじめ、仕事で出かけるときは取引先の名刺、手掛けている商品のスワッチなど、普段の暮らしとは違う面々が一堂に会するのが旅の途中。折り畳まれた3つの空間に、その時々で必要なものを仕舞う。

何度も一緒に海を渡って、いろんな風景の中で、唯一無二の風合いと存在に変わった。

07ビレッジレザーのコインパース_02

ネパールのヒマラヤの村で作られている水牛の革、通称「ビレッジレザー」で作られたコインパース。昔ながらの方法で、山の植物のタンニンでなめされている。温度を計ったりはしないし、材料も目分量だから毎回出来上がる革は表情が違う。色が濃かったり、薄かったり、柔らかかったり、固かったり、汚れがついていたり、傷があったり、全部違う顔。

07ビレッジレザーのコインパース_04

通常、日本で流通する革の基準に照らし合わせたら、全部「なし!」とはねられそう。でも、それを全部ひっくるめてやっぱり「いいなぁ」と思う革なのだ。自分で選んだひとつは、他のどれとも似ていない。そんなところも魅力なのかもしれない。

私はある時、旅先で最初のひとつを失くして以来、次のひとつが選べずにもう何年も経っている。さて、そろそろ次に出会ってもいい頃かもしれません。

 

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musubi(むすび)

普段の暮らしに、ささやかだけれど美しく、しっかり寄り添ってくれる日用品や雑貨をセレクトしたお店。「今日のひとしな」の執筆は、店主の坂本眞紀さん。

 

東京都国立市富士見台1-8-37
TEL:042-575-0084
営業時間:12:00~18:00
定休日:日、月曜
WEB:http://www.musubiwork.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/musubiwork/
instagram:https://www.instagram.com/musubi_work/

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