【花と暮らしの12か月】『心をととのえる処方箋』は人から人への贈り物
栃木・那須に暮らすクリエイターRARI YOSHIOさんによるマンスリー連載「JALDIN BLANCの庭から ~花と暮らしの12か月~」では、新刊『心をととのえる処方箋——12か月のFlower days』をきっかけに、日々の花と暮らしのことを新たに書き下ろしていただいています。

『心をととのえる処方箋』が発売されてから、半年近くが経ちました。
今年1月の発売以来、さまざまな場所で展示を開催させていただき、多くの方と直接お会いする機会に恵まれました。
展示会場では、お一人おひとりと言葉を交わしながら、本にサインを書き、その手に一冊ずつお渡ししています。
本は、同じものをお届けしているはずなのに、その一冊に映し出される物語は、人の数だけあることを、この半年で何度も教えていただきました。

「今の私に必要な一冊でした」そう話してくださる方もいれば、「写真を眺めているだけで涙が出ました」と静かに微笑まれる方もいます。
ご家族への贈り物として選んでくださる方、大切な友人を思い浮かべながら手に取ってくださる方もいらっしゃいました。
その姿を見ていると、本は「読むもの」である前に、人から人へ想いを届ける、小さな贈り物なのかもしれないと思うのです。

お話会は
人と自分に向き合う時間

会場によっては、お話し会も開かせていただきました。
実は、私はあまり細かく内容を決めていません。
その日の空気、その場所に流れる時間、集まってくださった方々の表情を感じながら「今日は何をお話ししよう」と心を澄ませます。
だから、不思議なくらい毎回違う時間になります。
植物の話になる日もあれば、庭が教えてくれたことをお話しする日もあります。

ある日は、自分自身の人生を見つめ直したことや、新しい暮らしを始めるまでのお話になりました。
話し終えたあと、「今日のお話は、まるで私に向けて話してくださったようでした」と声をかけていただくことがあります。
でも、それはきっと私が誰か一人に向かって話しているのではなく、その場にいる皆さんと一緒に、その時間を育てているからなのだと思います。
時代の空気が
少しずつ変化している

この半年、多くの方とお会いするなかで、ひとつ強く感じるようになったことがあります。
それは、「時代の空気が少しずつ変わり始めている」ことです。
以前は、「どうすればうまく生きられるのか」「どうすれば人に認めてもらえるのか」という問いを抱えている方が多かったように思います。
けれど今は、「私は本当はどう生きたいのだろう」「私らしい暮らしとは何だろう」と、自分自身へ問いかける方が増えているように感じます。

年齢も、職業も関係ありません。
子育てを終えた方も、仕事の転機を迎えた方も、長年続けてきた暮らしを見直そうとしている方も、それぞれの人生の歩みの中で、「本当の自分」に静かに目を向け始めています。
それは、とても大きな時代の変化なのかもしれません。
自分の人生を
もう一度自分の手で育み直す

私自身も、この一年で大きく暮らしが変わりました。
長年暮らした家を離れ、新しい場所で生活を始め、自分の人生をもう一度、自分の手で育て直しています。
だからこそ、展示で皆さんと交わすのは、私にとっても特別な時間です。
本を届けているようでいて、実は私のほうが、たくさんの勇気や気づきを受け取っています。
植物は、季節が巡れば芽吹き、花を咲かせ、葉を落とします。
その姿を見ていると、「変わること」は決して特別なことではなく、自然な営みなのだと教えられます。
人もきっと同じなのでしょう。
人生には立ち止まる季節があり、迷う季節があり、そして新しい芽が伸び始める季節があります。
今、多くの方が、その小さな芽吹きの入り口に立っているような気がしています。
展示を終えて帰るたびに思います。
本当に届けたかったのは、本そのものではなく、「あなたの人生は、あなた自身の手で育てていい」という、小さな希望だったのかもしれません。
これからも、写真と言葉を通して、誰かが自分の心へ帰るきっかけとなるような時間を
静かに育てていけたらと思っています。
「JALDIN BLANCの庭から
~花と暮らしの12か月~」は
月の初めの日曜にお届けする連載です
日々の感覚を整えるための、ささやかなヒントとしての「おしゃれ」や「暮らし」を、那須の四季とともにお届け。ゆっくり一年をかけて、毎月更新していきます。
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最新刊
『心をととのえる処方箋——12か月のFlower days』

12か月の草花の移ろいとともに、星のリズムや大地とつながる「アーシング」など、現代人が忘れがちな自然との調和を綴ったライフスタイル・エッセイ。著者自らが手がけた写真、イラスト、デザイン、そして言葉が響き合い、読むだけで深い安らぎをもたらす「心の処方箋」となる一冊です。
著:RARI YOSHIO
定価:1870円
【展覧会情報】
RARI YOSHIO exhibition
『心をととのえる処方箋__12か月のFlower days』
会場|森岡書店(東京都中央区銀座1-28-15 鈴木ビル1F)
会期|7月14日(火)~7月19日(月)
13~19時
【トークイベント】
日程|2026年7月14日(火)
時間|19:00~20:30(開場18:30~)
参加費|2,500円(税込)
会場|東京都中小企業会館 9階講堂(東京都中央区銀座2-10-18)
登壇|RARI YOSHIO、近藤義展(植物翻訳家、TOKIIRO代表)、森岡督行(森岡書店)
お申し込み|https://x.gd/zJ902
Profile
RARI YOSHIO
アートデザインクリエイターとして、イラストや雑貨制作、ショッププランニングなど「JARDIN BLANC」の屋号で幅広く活動。2007年、栃木・那須に移住し、庭のある暮らしを通して、自然と人の感覚を結び直す表現を行っている。デザイン、イラストレーション、文章を横断しながら、日々の中にある小さな美しさや、心と身体のリズムを整える視点を大切にしてきた。四季の移ろいに寄り添いながら、自然とともにある暮らしの在り方や、感覚をひらくためのささやかな工夫を、作品と言葉を通して静かに伝えている。
Instagram:@rariyoshio
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