内田彩仍さん「家時間」vol.3 定番の服を決めて

「家時間」特集
2020.12.06

少し前に、長年住み慣れたマンションから、小さな一軒家に移り住んだ内田彩仍さん。住まいが変わり、家にいる時間が長くなったことで、ずっと大事にしていた「心地よく暮らす」ということに改めてじっくり向き合いながら見つめ直したのだそう。そんな日々を綴った本『家時間』から、今週、毎日1話ずつご紹介します。3日目の今日は、普段着についてのお話です。

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やさしい印象に見えそうな生成りのニットで
クルーネックの生成りのニットに黒い麻のスカートを合わせて。顔映りが明るくなるからか、穏やかな気持ちに戻れます。

五年ほど前から家に居る時間がぐんと増えました。はじめの頃は一日中部屋着で過ごしていたのですが、そうしていると気持ちまでが緩んでくるのです。そんな時に気持ちの切り替えができたらと、日中どんな服を着ていたらくつろげるのだろうと、あれこれ試してみました。そしてたどり着いたのが、薄手のスカートと七分袖のニットの組み合わせ。この服装だと、スカートの裾を広げて座れば、猫が足元を駆けまわっても怪我をしにくく、袖が短めのニットは、家事をする時に袖口が濡れることなく作業がしやすいのです。

朝、この服に着替えたらエプロンつけて、日中は家事や仕事を。一段落したら、アクセサリーやストールなどの小物をプラスして、近所の店まで買い物に出かけます。夕方になったらまたエプロンをつけて、庭の手入れをしてから夜の家事をこなし、寒くなってきたらレギンスやカーディガンをプラスして、冷えないようにしています。そのようなルーティーンで普段の暮らしを続けてきたことで、この装いが家時間の定番になりました。

日々、同じような着こなしなので、もしかしたらまわりの方から見たら、代わり映えがしないと思われているかもしれません。でも、それでいいと思うのです。私が見てきた素敵な女性の方々は、皆さんご自身の雰囲気や、見た目のシルエットに決まりごとがあるなと、いつも感じているからです。私もこの定番服なら、肩肘張らずにいられることを実感したので、おしゃれは自分のためにするものだから、自分の尺度で決めようと思います。

五十代になってから、好きな服より似合う服を選ぶようになりました。中でも紺や黒の服は、小柄な私でもシャープに見える気がして、取り入れることが多くなりました。ここ数年で自分や家族の今後のことなどを決断する機会が増えて、大人として後悔しない答えが出せるようにという、決意の表れなのかもしれません。

ただごくまれに、朝、やさしい気持ちになれなくて、夫の「今日は天気がいいね」という言葉に「そう?」と少しトゲのある返事をしてしまうことがあります。そんな日に手に取るのは、白や生成りの服。鏡に映る自分の姿がほんのりやさしく見える気がするからか、服にあと押しされて気持ちの回復も早くなるようです。


黒いニットで気分も大人らしく
後ろボタンで七分袖の黒いニットは、つぎはぎやの生成りの麻のスカートと。この組み合わせが一番好きでよく着ています。

→vol.4に続きます

『家時間』より
photo:大森今日子

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Profile

内田彩仍

Ayano Uchida

福岡県在住。夫、愛猫と暮らす。ていねいな暮らしぶりや素敵な着こなしが注目を集める。主な著書に『いとおしむ暮らし』『家時間』(ともに主婦と生活社刊)などがある。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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