毎朝10分間片づける ― 沢野ひとしさん Vol.2
引き出しのいちばん上はからっぽに、
本棚もぎゅうぎゅうにしないですき間を。
うまく片づかないなら家じゅうの引き出しを点検すべし、と沢野さん。
「引き出しは収納場所にあらず。ごっそり詰まった引き出しは、ほとんどいらないモノ」ときっぱり。
引き出しは1段ずつ引っ張り出して中身をチェック。捨てられないものは段ボールの「とりあえず箱」に入れていく。ホコリをかぶった海外土産、重複した文房具、不揃いのカトラリー……。「いつか使うかも」は迷わずポイッ。「あれば便利」も思いきってポイッ。最後に残した「とりあえず箱」の選別は捨てるモードにギアをチェンジ、エイッと処分し片づけ完了。机のいちばん上の引き出しは、気になる新聞記事などを入れておく「知性の箱」としていつもからっぽに。5段目はずっと大事にしたい手紙などの「思い出の箱」。
仕事柄、美術書や写真集が増えてしまうのが悩みの種。本棚からあふれ出すと、古本屋に持ち込むか、知人にあげてしまうといいます。本棚の一部にスペースをあけると仕事の効率がぐんと上がる、と知り合いに聞いて以来、本棚に30センチのスペースをあけ、仕事で使う資料や読みかけの本などのひとまずの置き場に。この空間が便利で役立っているそう。
本棚にぎゅうぎゅうに詰め込んだまま、本の存在を忘れているなら、潔く決別すべきなのかもしれません。
「本もCDも、食事と同じような生ものである。その作品、その音楽に興味が薄れてきたら、そこから人は離れ、新しいものを発見、発掘してゆくものだ。その好奇心が人の気持ちを再生させる。だから処分することを恐れないでほしい。」(『ジジイの片づけ』より)
片づけというと、モノを整理し並べることだけと考えがちですが、どうやら沢野さんにとっては、片づけて「あき」をつくることで、好奇心を刺激し、新しいものへの興味を誘い、心を新陳代謝させることのよう。
photo:沢野ひとし
『家事のしくみを、整える』より
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Profile
沢野ひとし
イラストレーター、エッセイスト、絵本作家。『本の雑誌』では創刊時から表紙イラストを担当。著書に『人生のことはすべて山に学んだ』(角川文庫)、『真夏の刺身弁当』(産業編集センター)など。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。