内田彩仍さんvol.4 幸せな心持ちのための、もやもやのほぐし方
日々暮らす中で、ささやかな幸せを見つけることが楽しみのひとつだという内田彩仍さん。その何気ない幸せに気づくには、自分の心の持ちようが大切、と思いを一冊にまとめたのが、新刊『幸せな心持ち』です。おかげさまで多くの方にお手に取っていただき、無事重版も決まりました!
そこで今週は4日間に渡り、本の中から1話ずつをご紹介しています。最終日のテーマは「怒りのほぐし方」。いつも穏やかな印象の内田さんですが、時にはもやもやすることもあるそうです。さて、そんな気持ちには、どのように向き合っているのでしょうか?
←vol.3はこちらから
庭仕事に集中することで忘れられる
余計なことを考えていると、枯れた葉を切っているつもりが、新芽まで取ってしまうことも。庭は精神統一の場でもあり、もやもやとした気持ちをすっきり払ってくれる場でもあります。
近頃、回復力が弱っているのか、怒りや心のもやもやが、消えにくくなった気がします。「私はいったい何に怒っているのだろう」と原因を探ってみると、そのうちの半分は、自分に向けたもの。仕事の優先順位を間違えたり、打ち合わせでの言葉選びが気になったり。どうして上手くできないのかという自己嫌悪と共に、もやもやした気持ちが膨らんでしまうのです。そして、あとの半分は、身近にいる夫や、ニュースで見聞きした事柄に対して。最近は暗い話ばかりだから、心の安定のためにも、ニュース番組はほとんど見なくなりました。
夫に向ける怒りは、考えてみると、本当に些細なものばかり。コロナ禍で一緒に過ごす時間が多くなったことで、家族のありがたみを実感している半面、これもしてくれるはず、あれもしてくれるはずと勝手に期待してしまい、怒りを膨らませている気がします。たぶん、夫に向けてというより、自分に対して苛立っているのだと思います。
こんな自分を「ダメだなあ」と思いながら、心が疲弊しないうちに、できるだけ早く解消できるよう、まずはそこから意識を逸らすようにしています。料理をしたり、好きな映画を観ながらアイロンをかけたり。なかでも一番いいのが、庭仕事。枯れた葉を切り取る時も、集中していないと、せっかく出てきた新芽まで摘んでしまうから、無心で作業。そのうちに、心も頭もすっきりしてきて、イライラしていたことが、なんだか馬鹿らしく思えてくるのです。
そして、もうひとつの怒りのほぐし方が、朝、起きたら「今日一日、どうやって幸せでいよう」と考えること。怒りとは逆の方向に思いを巡らすと、気持ちが緩み、そこから少しずつ離れられる気がします。もやもやの捉え方は自分の心持ち次第だと思うから、怒りのループに入らないように先手を打とうと思うのです。
怒りの元は、冷静に考えてみると、たわいないことばかり。そんなことをいつまでも引きずっていると、毎日を心地よく過ごすことはできないから、受け流したり、切り替えたり、消し去ったりするための手段を、きちんと用意しておくことが大事。そう言いつつも、まだまだ器用にはできない今日この頃です。
photo:大森今日子
【お知らせ】
内田彩仍さんの暮らしの動画を公開中です
朝食の準備や、クリスマス飾りをしつらえている風景を動画で見られます。新刊とあわせてお楽しみください。
Profile
内田彩仍
福岡県に夫と愛猫と暮らす。丁寧な暮らしぶり、センスある着こなしが雑誌などで人気を集める。主な著書に『いとおしむ暮らし』『家時間』『幸せな心持ち』(主婦と生活社)などがある。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。