香菜子さん、中国茶と読書で穏やかに過ごす午後【後編】連載vol.52
【前編】では、香菜子さんにおいしい中国茶を淹れていただきながら、本を起点にした香菜子さんの親孝行話をお聞きすることができました。今日の【後編】ではその流れで、最近読んだ本を見せていただくことに。
「これまで、本は新しい発見や情報をもたらしてくれるものだと捉えていました。でも歳を重ねるごとに感じるようになったのは、本は自分とじっくり向き合うためのツールになるということ。だからこそ、これからも偏ることなく様々なジャンルのものに触れていきたいなあと思っています」
読書はいまの自分を
見直すいい機会
こちらの『大和なでしこ 整体読本』は、自分の体と暮らしを見つめ直したいときに手に取る本。
「体が整っていれば、本来持っている力によってちゃんと健やかでいられる、という当たり前のことに、毎回立ち戻らせてくれるんです。特にハッとさせられたのは、ハイヒールを履くとお腹に力が入るから、自然と姿勢が整うという話。年々、着こなしにラクさを求めるようになってきていますが(笑)、時にはきちんとした服と靴を身に着け、背筋をピンと伸ばして出かけることも大事だなと思います」
最近、書店の文庫コーナーで見つけたという西加奈子さんの小説『きりこについて』は、香菜子さんの心を軽くしてくれた一冊。
「自分を無理に変えなくても、ありのままでいいんだということを再認識させてもらいました。子どもの頃は、選ぶものや考え方が人と違うことに引け目を感じていましたが、大人になって、世の中にはこんなにも多くの選択肢や受け入れてくれる場所があることを知れたのは、こういった本たちとの出会いがきっかけだったような気がします」
「吉本ばななさんの小説やエッセイは、若い頃から折に触れて読んできました。20代に読んで感じたこと、30代に読んで感じたこと……そのどれもが心と頭に残っていて、いま読み直すことで、それぞれとの答え合わせをしているような感覚があります。先日久しぶりに『キッチン』を読み返したのですが、いまだからこその気づきがたくさん! 最近読んだ『「違うこと」をしないこと』という本には、『なんか違う』という直観を見つめる大切さが書かれていて、いまの私にグサッとくる言葉のオンパレードでした」
また、本棚には素敵な海外インテリアの写真集もズラリ。
「のんびり眺めて楽しむ用ではなくて、すべて、がっつり研究用です(笑)。いま住んでいる部屋をリノベーションしたときも、かなり役立ってくれました。その後もページをめくりながら、次はどんな家に住もうかなあ、こんな玄関アプローチにしたいなあ……と、妄想は止まりません」
書き始めて改めて大事さを実感した
エンディングノート
最後に、「これは本というよりはノートなのですが……」と見せてくれたのがこちら。自分や家のことを書き留め、家族に伝えるための『「もしも」に備える整理ノート』です。
「書き始めてみると、自分しか知らない情報がけっこうたくさんあるなと気づいたんです。いざというとき家族が困らないように、スマホの中だけに入っていた情報を少しずつノートに書き写しています。あとは、保険会社の担当の方の名刺を挟んでおけば、なんとかしてくれそうで安心かなあと(笑)」
中国茶、そして本やエンディングノートをお供に、香菜子さんの午後のゆったり時間は、密度濃いめに過ぎていくのでした……。
Profile
香菜子
モデル、イラストレーターとして活躍する傍ら、ホテル備品をイメージしたプロダクトブランド「ホテルヴィルヘルムス」を主宰。パンツしかはいていない謎のキャラクター「おぱんつ君」の生みの親。
Instagram「@kanako.lotaproduct」「@opantsukun_lota」
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