遅く起きた休日は朝昼兼用の極上パスタ

器店主の朝ごはん
2018.11.18

「ろばの家」福江洋子さんvol.3


「ママろばさん『器店主の朝ごはん』読みましたよ~」とお客さまに声をかけられて、嬉しい反面ちょっと気恥ずかしいというか、バツが悪いというか、何とも複雑な気分になってしまいました。だって、お店で朝ごはんを食べていることがバレてしまうということですからね。

なぜそれが恥ずかしいことかって? 自分の店なんだからいいじゃないかって? それは、「ろばの家」にいらっしゃったことがある方ならおわかりになるかと思うのですが、うちのお店には、バックヤードというものがないのです。ちょっと隠れられるような場所がないだけでなく、通りに面した側と入口側の2面がまるまる、天井までの全面ガラス張り。お店で何か食べていると、お客さまに見つかってしまうどころか、通りすがりの見知らぬ人々から、口に入れているものまで丸見えなのです。

朝ごはんも昼ごはんも、お店で食べる時は人のいない時を見計らって、なんとなくコソコソ食べなければなりません。コソコソ……というわりには、お店のストーブに土鍋をかけてスープを温めていたり、テーブルにカセットコンロを出してフライパンを火にかけていたり、調理風景はまあ随分堂々としたものですが。たまに売り物だと思って土鍋の蓋を開けてしまうお客様もいて「それは私たちの朝ごはんなんです」とあわててお伝えすることもあります。常連さんだと「あら、美味しそう。今日のご飯は何?」などと話もはずみますが、初めていらした方には、相当変なお店だと思われているかもしれません。

そんなわけで、わが家で人目を気にせず、時間にも追われず、夫のパパろばと二人でゆっくり食べられる食事というのは、何にも代えられない貴重なものです。土日はお店があり朝寝坊できませんが、定休日の月曜か火曜、出張など予定のない日は絶好のチャンス。いったんチビろばたちを小学校に送り出してから再びベッドに戻り、一週間分の睡眠不足を解消する日もあります。一人だけ早く起きてチビたちの朝ごはんを用意しなければならないのは大抵わたくしママろばで、そのお詫びというわけでもないでしょうが、休日にはいつもパパろばが食事を作ってくれます。

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ボンゴレ・ロッソ(アサリのトマトソースのリングイネ)
白磁たわみ鉢:境知子さん

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そんな、遅く起きた休日の朝昼兼用メニューには、パスタが頻繁に登場します。お店でイタリアの輸入食材も扱っているので、パスタを食べる時にもつい撮影をしたくなってしまいますが、パスタだけは出来立てを食べないわけにはいきません。ここにこうして載せているパスタ料理の写真は、実は撮影用によけておいたおかわり分。お店で撮影する場合でもちょっと多めに作っておいて、まずはアツアツの美味しい状態をしっかり味わい、お腹を満たしてから撮影に入るのです。お皿のプロモーションのためでもあり、食材のご紹介にもつながるので、いつもこんな感じでお料理プラス食材、というふうに一緒に撮影してしまいます。

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コッリーナのトマトの裏ごしピューレ

パパろばが作ってくれるパスタは、その場でささっと出来るシンプルなものばかり。よく登場するのは、これこそシンプルの極み、というべきパスタ・アル・ポモドーロ=トマトソースのパスタです。このピューレが恐ろしく濃厚かつフレッシュで煮詰める必要が全くないので、本当にすぐできます。そこに唐辛子を加えたアッラビアータや、アサリを加えたボンゴレ・ロッソも定番中の定番。アサリのパスタというと、どうしてもトマトの入らないボンゴレ・ビアンコのイメージが強いようですが、わたくし個人的にはボンゴレとくれば断然ロッソです。あの、アサリの出汁を吸ったトマトソースの濃厚な旨味は、一度知ってしまうと、もうトマトソースでしか満足できなくなります。

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カチョ・エ・ペペ
8寸プレート:大江憲一さん

チーズとコショウだけで味を付ける、これまたシンプルなカチョ・エ・ペペというパスタもよく作ってくれます。究極にシンプルな材料で作るので実はけっこう難しく、本当に美味しく作るにはなかなかに腕がいります。譲れない点としては粉チーズなどでなく塊のパルミジャーノをおろして使うこと(本式にはペコリーノ・ロマーノを使いますが)、茹で汁とチーズをよく乳化させること、そして美味しいコショウをたっぷり使うこと、でしょうか。カチョ・エ・ペペはローマ近郊の伝統料理なので、ローマの老舗トラットリアのレシピをHPでもご紹介しています。気になる方は参考にしてくださいね。このパスタを作るには絶対にはずせない“マリチャ”というイタリアの胡椒屋さんの紹介をしている記事の中で、そのレシピが見つかるはずです。

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ジャガイモを加えたカチョ・エ・ペペ
七寸三島皿:高田谷将宏さん

お腹の減り具合で、このカチョ・エ・ペペをアレンジして麺と一緒に茹でたジャガイモを加えたり、同じく麺と一緒に菜の花など季節の青野菜をたっぷり加えたバージョンもいいですよ。

だんだん、どこがどう朝ごはんの内容なのだかわからなくなってきました。朝昼兼用でこんなにしっかり炭水化物を食べてしまうと、すっかり満足して一日が終わったような気分になってしまいます。あわよくばワインでも一杯飲みたいところですが、そうすると本当に何もする気力が起きなくなってしまうので、炭酸水などで我慢。ああ、早く子供たちが自立して、正々堂々とお昼からゆっくりワインと食事を楽しめる身分になりたいなあ。お腹もいっぱいで、さっき起きてきたばっかりなのにまたちょっと眠くなったりして、少しすればチビろばたちも小学校から帰ってきてしまうし、「結局また何もしないで一日を過ごしてしまった」と反省して貴重な休日が消えてゆく……。そして気がつけば来週でこの連載も終わり。このまま朝ごはんらしい朝ごはんをご紹介しないまま終了してしまうかもしれないと、若干焦ってきました。来週も、どうぞよろしくお願い致します。

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ろばの家

茨城県つくば市天久保2-11-1 コーポりぶる1F
TEL:050-3512-0605
営業時間:9:00~18:00(展示会中は12:00~18:00)
定休日:月・火曜(イベントなどで変更になる場合があるので、インスタグラムなどで確認のうえご来店ください)
http://robanoie.com
オンラインショップ https://68house.stores.jp
Instagram「@robanoie」 

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