歩くことは思考の時間 vol.2 小島 聖さん

暮らしのおへそ
2019.05.07

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山に登りはじめた頃は、
頂上に立ちたいという欲がありました。
でも、雨が降る日もあれば、体調が悪いときもある。
それを残念に思うか、それでもいいじゃないと思えるかで、
楽しさは変わってきます。

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同じものを食べると
人と人はつながれる

小島さんが今年3月に上梓した初のエッセイ『野生のベリージャム』(青幻社)には、小島さんが山歩きをしながら食べたご飯のエピソードがたくさん登場します。ネパールではダルバート(豆カレー)を指を使って食べたり家庭料理を習ったり、モンブランの山頂では麓の街で買ってザックに忍ばせておいたモンブランを頬張り、アラスカでは野生のベリーを一心不乱に摘んでは口に運び……。

「私にとって食も大切なテーマです。同じ釜の飯を食う、とよく言いますが、一緒にテーブルを囲んでご飯を食べるって、すごく大切だなと。山歩きのときは、食材は限られているし、決して豪華とはいえない食事ですが、同じものを食べると、たとえ会話が少なくても、人と人はつながれるものなんだなあと思いました」

山に登りはじめた頃は、頂上に立ちたいという欲があり、標高の高い山ばかりを選んで登っていたそうです。

「でも自然と関わってくると、どうしても頂上を目指せないときもあります。雨が降る日もあれば、体調が悪いときもある。それを残念に思うか、それでもいいじゃないかと思えるかで、楽しさは変わってきます。自我を押し通そうとしても、自然相手ではどうにもならない。あきらめることも大事なんだと学びました。それがわかると、あ、雨の日って緑がきれいだなとか、いい匂いだなとか、氷河も雨や曇りの日のほうがくっきり見えて美しいなとか、自分の気のもちようで、いくらでも世界は美しく見えてくる」

 

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『野生のベリージャム』(青幻社) ネパール、スイス、フランス、ジョン・ミューア・トレイル、アラスカ。「単なるガイドには終わらせたくない」と”山と食と私”について綴ったエッセイ。

 

→vol.3につづきます

「暮らしのおへそ Vol.26」より
photo:在本彌生 text:和田紀子

 

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Profile

小島 聖

Hijiri Kojima

東京都生まれ。1989年に女優デビュー。1999年、映画「あつもの」で第54回毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。コンスタントに映像作品や話題の演出家の舞台にも多数出演。国内にとどまらず、海外の山にも登るのが好き。料理やアウトドアに関するライフスタイルでも注目されている。
http://blog.honeyee.com/hkojima/

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