心震える器と出会い、44歳でお店をオープン vol.2  「サビタ」主宰 吉田真弓さん

暮らしのおへそ
2016.07.06

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vol.1はこちらから

それから20年後。まずは、安藤さんに会いに岐阜の「ギャルリ百草」へ。器の取り扱いをお願いすると、「どんな店か見てからにしたい」との答え。

「まだお店なんて影も形もなかったから困りましたね」と笑う吉田さん。

 その少し前から東京恵比寿の「アンティークスたみぜ」を知り、古いものが好きになっていたそうです。古物好きの安藤さんにその話しをすると、『じゃあ、それを見せて』とのこと。コツコツ集めていたものを送ってみたら、「これなら」と器を取り扱いが決まりました。今まで見て、心に蓄えていたものが繋がったとき、思いが叶ったというわけです。

 こうして、最初は安藤さんの器のみを取り扱うショップをオープン。その後、取り扱い作家さんが増え、5年前に札幌郊外の住宅地に移転しました。

 こんな風に吉田さんの今までの歩みは、いつも直感頼り。「これが好き!」と思ったら、計算や計画なんてナシでとにかく走り出します。

「私の行動の基準は、『できるか』ではなく『やりたいか』どうかなんです」と聞いて、なるほどと納得しました。

 ご自宅の玄関には、アンディ・ウォーホルの絵の下に、伸びやかなフォルムの壺が飾られていました。

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「本物かどうかはわかりません。でも、これを見つけたとき、ああ美しい!と思ったんです。私にはそれで十分。毎日この壺を見て、『ああ、いいなあ〜』と思えればそれでいいんです」。

 何かに出会ったとき、私たちはつい評価や価値を知りたくなります。でも「これがいい」と拾い上げる理由はひとりよがりでいい……。

 実は接客が苦手だという吉田さん。なのに、自分で見つけたものの素晴らしさを語る言葉は、力強く、愛情に満ちていました。何かを成し遂げる力は、上手くやるための術ではなく、深く思うエネルギーから生まれるよう。「sabita」を訪ねると、心が磨かれる気がするのは、そんな秘めたる想いに共鳴するからなのかもしれません。

 

『暮らしのおへそ』vol.21 より  text:一田憲子 photo:枦木功

Profile

吉田真弓

Yoshida Mayumi

東京のスタイリスト専門学校で学んだ後、北海道に戻り、アーティストでありデザイナーとしても活躍するご主人吉田茂さんと結婚。44歳の時に陶芸家、安藤雅信さんの器をメインに取り扱うギャラリー「sabita」をオープン。2010年に札幌市郊外、円山公園近くに移転。カフェも併設した。

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