素敵な器を使った朝ごはんコラム、9月担当は「うつわと暮らしの道具 日々花[Hibika]」田原あきこさん

器店主の朝ごはん
2020.09.05

鳥取県米子市で、「うつわと暮らしの道具 日々花[Hibika]」というお店をしております、田原あきこと申します。
2020年9月の「器店主の朝ごはん」を担当させていただくことになりました。

簡単な食事でも、うつわづかいで楽しい食卓になることをお伝えできたらいいなと思っています。
1か月間どうぞよろしくお願いいたします。

日々花は、作家もののうつわや工芸品、暮らしの道具、天然素材の服や小物などを扱う小さなお店です。
シンプルで美しく、上質で長く使えるもの。
手にするたびに愛着が増し、使えなくなってもまたそれを買いたいと思うようなもの。
日々の暮らしの中で心に小さな花を添えるような、そんなお品をお届けしたい、という思いを店名にしました。
(ちなみに娘と1文字違いで、妹のような位置づけでもあります。)

もともと私は福井の出身で、建築を学んだ学生時代とその後数年は関東に。
夫の転勤でたまたま辿り着いた鳥取県は、親戚も友達も一人もいないぐらい縁のない土地でした。

米子は、日本海と湖、山々に囲まれた自然豊かなまち。
まちのそこかしこから見える美しい大山、新鮮なお魚や野菜がいつでも手に入り、
渋滞もほとんどなく、人々はフレンドリー。
すっかり米子が気に入ってしまい、家を建てて定住することになったのです。

うつわへの興味がぐんと深まったのは、
引越業者さんが食器の入ったダンボールを落としてしまったことがきっかけです。
半分ぐらいの食器が割れてしまい、本当にショックでしたが、
そこからうつわ探しにのめり込む日々がはじまりました。

ところが、オンラインショップで「これだ!」と思ううつわに巡り合っても、
実際に届いてみるとイメージ通りでないこともしばしば…
そうして県外へうつわを買いに行くことも増える中で、
「米子にも好みのうつわ屋さんがあったらなぁ…」という思いがずっと心の中にありました。

そんな中、「あ、今日が人生の折り返し地点だ」と小さな焦りとともに40歳の誕生日を迎え、
ほどなく同い年の方の訃報が…
一度きりの人生、「あれもこれもしたかったのに…」と思いながら死ぬのはつらいな、と。
死の淵で「やりたいことをやれた」と言える人生にしたい!と強く思ったのです。

それまでは販売の仕事をしたことすらなかった私ですが、
ある冬の夜、お風呂の中で「うつわ屋さんやろう」という思いが舞い降りてきました。
そこからは何かに背中を押されるようにトントン拍子でお店を開業することになり、
今年8年目を迎えました。


お店は米子高島屋のすぐ近く。
全国の作家さんのうつわや、木工、レザークラフト、天然素材のお洋服や
手仕事のかごに小物、ちょっとした調理道具やお取り寄せの美味しいものなど、
お店の少ない地方だからこそ幅広いアイテムをセレクトしています。
どんな方にも何かしら「おもしろいものを見つけた」「買いたいものがあった」と
感じていただけるようなお店づくりを心がけています。

もうひとつ大事にしているのは、使ってみて良かったものしか扱わないということ。
はじめての作家さんのうつわは、かならず一度購入して使い心地を試します。
(なのでわが家のうつわは全部バラバラ!)
そして作り手さんご本人にお会いしたり、お話しする機会をできるだけ作るようにしています。
お人柄を知れるとより愛着がわくというもの。
趣味の合う友へ「これよかったから使ってみて」とおすすめするような気持ちでお店を運営しています。

この連載も、まだ見ぬ友への手紙のつもりで、私らしくお伝えしてみたいと思います。
4回の連載どうぞお付き合いくださいね。

→「うつわと暮らしの道具 日々花[Hibika]」の記事はこちらから

→その他の『器店主の朝ごはん』はこちらから

うつわと暮らしの道具 日々花[Hibika]

鳥取県米子市角盤町1-71
TEL:0859-30-4666
Email:utsuwahibika@gmail.com
営業時間:平日11:00~17:00、土日祝12:00~16:30
定休日:不定休(Instagramをご覧ください)
https://hibika.theshop.jp/
Instagram:@hibika_yonago

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ