小さなアトリエから生まれる服【atelier Rough atour(アトリエ ラフ・アトゥール)】
素材の調達からデザイン、縫製、販売も自ら手がけ、愛情込めて服を作る──。そんなブランドが少しずつ増えています。地方の小さなアトリエで生まれる服には、作り手が大切に紡いだ物語がありました。
繰り返し着て、長くつきあいたい日常着
デザイナー・細野友視さんがめざすのは、毎日でも気負わず着られる作業着のような服。見えない部分の縫い目にもこだわって、脱いだときの美しさも大切にしています。
心躍る、きれい色のチュニックシャツ
前開きのチュニックシャツは7 〜8 年作り続けている定番アイテム。今年の新色は春らしい華やかなピンク色。ロング丈なので、ボタンを開けてはおりにもなる便利な一枚。
自分の“好き”を確認しながらデザインを
自宅敷地内のアトリエ。年に3回ほどオープンアトリエも行う。手作りの棚には糸を。壁には好きな写真やDMを貼って。
思いが詰まったタグや道具を糧に
ブランド開始当時のタグは初心を思い出す存在。「白い紙をコーヒーで染め、薄葉紙を重ねて……とひとつひとつ手作りしていました」
よく使う裁ちバサミや木槌、ホコリとりブラシなどは壁に。ご両親から譲り受けた道具も。
シンプルでも美しいシルエット
ヨークの下に肩幅いっぱいギャザーを入れた、新作のリネンワンピース。Vネックで首元はスッキリ、ロング丈なので大人っぽく着られる一枚。
昨年から作り始めたシルクパンツ。生地の光沢面を内側にして、ウエストと裾を折り返してアクセントに。
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ご両親が縫製業を営み、学生時代からファッションが好きだったという細野さん。結婚・出産後「家でできる仕事がしたい」と小物づくりを開始。2008年に「アトリエ ラフ・アトゥール」として本格的に服を作り始めます。
「使うのは着ていて気持ちいい天然素材。特にリネンのシワ感が好きで、展示会には毎回洗いざらしの服を並べます。自分の服も、洗ったあとすぐ体になじむよう、あえてシワになるように干します」
デザインは、学生のころから好みであるメンズライクをベースにしたシンプルで着やすい服。甘くなりすぎない塩梅のギャザーなどで、ほどよく女性らしさを添えて。
「アトリエでの作業が終わっても、気づけば家でボタンつけをしたり、外でも服のことを考えていて、やっぱり服づくりが私の天職だなあ、と感じています」
photo:atelier Rough atour text:増田綾子
Profile
atelier Rough atour
細野友視さんは岐阜県出身。高校卒業後、医療事務の仕事などを経て2008年に「アトリエ ラフ・アトゥール」をスタート。今年は6月に埼玉、9月に大阪で展示会を予定。
https://roughatour.com/
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