足もみで、全身を活性化! vol.2

からだ修行
2020.04.09

今月の先生:杉田佳枝さん(Kapoの足もみ)

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足もみの前に、まずは足裏の状態をチェック。
「ところどころ固いですね……鼻のところと、甲状腺。そして子宮のあたりもちょっと固いかも。そして頭痛はありますか? 頭と首が固いですね……」

そうそう、もともと鼻が詰まりやすく、甲状腺や婦人科系も、家系的・体質的に弱点なところ。そしてパソコンに向かうし、考えごとをする仕事なので頭と首は酷使しています。まるで占い師のように(笑)、私の弱点をピタリピタリと当てていきます。というか、「足裏には、そんなにきちんと状態が出ているんだ!」と、驚きました。


「でも田中さん、結構ケアされていますね? 爪の状態もいいですし、足裏の皮膚もやわらかい。棒などを使ってマッサージをしていなくても、足に手をかけてあげることは、反射区にも影響すると私は信じているんです」

以前「からだ修行」で取材した「ミウラネイルクリニック」の三浦さんも「東洋医学では、手足の爪は気の出入り口」と語っていらっしゃいました。それ以来、何となく足まわりのケアを気にするようになっていたのですが、そんなところも褒めていただきました。

いよいよ足もみのスタートです。まずは「赤棒」と呼ばれるマッサージ棒で、足首、すね、鼠蹊部、お尻までをほぐしていきます。



「足の裏をもむ前に、準備運動的な感じで、脚全体の血行をよくしておいて、足裏と各器官との通り道を作っておくんです」

杉田さんのほぐし方を参考に、自分でもマッサージ棒を体に押しあててみると……痛たたた!! この時点で、すでにもう痛い。ぎゅっと押し込みながらもんでいくと、かなりピタッとリンパを刺激でき、痛い、気持ちいい、でも痛い……と、妙にクセになります。脚がむくんで、お風呂に入ってもなかなか解消されないときなど、かなり効果がありそうです。


「そうそう。夜寝る前とかに、赤棒で全身をほぐすと、かなり気持ちいいんですよ~~。まだ寒い時季は、体全体が縮こまっていたりするから、背中とか肩甲骨とかに使ってもいい。肩こり解消にもおすすめのグッズなんです」


さらに足指を前後に伸ばしたり、軽くもんだり。「これから、もみますよ~」と、足裏にお知らせような感じです。そして、すべりをよくするクリームを塗ったら……


「グリグリ棒」を親指で固定させるように持って、いよいよ足もみのスタート。心臓がある左側から始め、肝臓のある右側へとつないでいくのが基本です。

「反射区表を見て、位置を確認しながらいきましょう。まずは足裏のほぼ中央、腎臓からスタートします。とにかく垂直に。骨に向かって垂直に棒を挿してください」


ぎょぎょぎょ! 足裏がふかふかの杉田さん、かなり深く棒がささっております。そ、そんなに入るものですか? 私も恐る恐る押してみると、「いえいえ、もっと入りますよ(ニッコリ笑顔)」と杉田さん指導。ぐぐっと押されて……「い、い、いだいいいいいいいーーーー!ひーーー(笑)」。あまりの痛さに、何だか逆に笑ってしまいます。


「そうそう、これぐらい行っちゃってください。笑って発散するのは、力が抜けて、とてもいいですよ。腎臓のあとは、土ふまずとかかとの間あたりに斜めに下がっていくと、膀胱になります。痛くても息は止めないで、吐いて逃すような感じを意識してください」

膀胱から少し上がって尿道、ここまでが基本ゾーンです。次に親指の脳下垂体、鼻、頸椎、首などを順にほぐしていきます。そのたびに「いだーーーい!」「イテテテ」と、一体この「痛い」という単語を、何回発したことか(笑)。時折、杉田さんがポイントを容赦なく押してくれて、そのたびに、雄叫びを上げる田中でした。


自分が可愛いせいか、自分ではつい力を加減してしまい、なかなかぐっさりと行くことができませんが、それでもだんだん、「痛いことが気持ちいい」という感覚が分かってきます。そして「痛いところほど、滞っているところであり、自分がもむべきところ」だということも。

もんでいるうちに、だんだんハイのような感じになって、これって気の合う友人3~4人で集まって、一緒にもみっこしたりするのも楽しそうだな……と思えてきます。この細いグリグリ棒があるおかげで、ほどよい面が押さえられるので、素人でもコリを逃さず拾えるのも素晴らしい。

足もみのいいところは、思考が止められることなんですよ。悲しくて落ち込むことがあったり、どうしようもないイライラがあったりしても、足をもむと、痛さで足裏に集中せざるをえないので、それらを忘れてしまうんです(笑)」


自分を癒しながら、頭をからっぽにして、開放していって……それってまるで瞑想のよう。カメラマンの砂原さんからも「足もみを“痛い瞑想”と名づけましょう!」と提言もあり、盛り上がります。ちなみに痛さは、その日の体調などによっても、感じ方が違うそう。

親指から小指までいったら、親指の付け根をぐるっと囲む甲状腺、指の根元の僧帽筋、その横の肺と気管支、土踏まずにある胃から十二指腸、少し横に移動して心臓、脾臓。さらに小腸、大腸へ。


「今はウィルス関係が心配な時期ですから、免疫関係に関係がある大腸は特によくもんでおきたいですよね。お客さまからは、『真面目に3~4日くらい大腸をもんでいたら、宿便が出た』なんていう体験談もよく聞きます」


宿便がーー? それはすごい。さらに内外のくるぶしまわりにある子宮と卵巣へ。そして脇の骨に沿って、グリグリ棒を寝かすように使いながら、胸椎、仙骨、尾骨と骨に沿って刺激していきます。


さらに甲側も。骨と骨の間には、胸部リンパ腺、胸、三半規管、肩甲骨などの反射区があるそうです。最後に足裏に戻り、副腎をじわーーっと押して、基本の腎臓から尿道までをもう一度もんで終了です。


裏も表ももみ終わったら、しっかりほぐれて、足もポカポカ! 血行がよくなったことが、じわじわと体感できます。もんだ左足と、もんでいない右足、違いが分かりますでしょうか(写真右手が左足になります)。

血色がよくなって、ツヤが出てきたのはもちろんのこと、心なしか、左足のほうがふわふわとして、サイズまで大きくなっている気が! 杉田さん曰く「ペターッと薄い足は、スタミナ不足」。元気がある足は、ふっくらと厚みがあるものなのだそうです。杉田さんのふくよかな足を見ていると、その言葉に妙に納得です。

photo:砂原 文 text:田中のり子


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Profile

杉田佳枝

Kae Sugita

出産や母の病気をきっかけに足もみに興味を持ち、2017年に「官足法」指導員の資格を取得。以来、自宅への出張足もみ施術やイベント出店、グループでの足もみ教室、マンツーマンレッスンなどを行う。スケジュールはインスタグラム「@kapo_ashimomi」で確認を。

 

田中のり子

Noriko Tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』『こころとからだを整える』(ともにエクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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