「歩く」が、こんなに楽しいなんて!vol.1

からだ修行
2020.07.03

今月の先生:黒木公美さん(イハナ ノルディックウォーキング)

フィンランド生まれの「ノルディックウォーキング」は、両手にポールを持ってリズミカルに歩くことで、全身の筋肉をくまなく使いつつ、心もリフレッシュできる健康法。今回の「からだ修行」では、都内の公園で女性限定のクラブを主宰する黒木公美さんに、ノルディックウォーキングの魅力について伺いました。

photo:砂原 文 text:田中のり子


新型コロナウィルスによる自粛生活中、みなさんはいかがお過ごしでしたか? 私の場合、健康(主に「心」の)を支えてくれたのは、「散歩」でした。突如不安におそわれてモヤモヤする日でも、しばらく歩くと、いつの間にかすっきり気分転換。ちょうど新緑の季節だったこともあり、光や風を感じられるのが気持ちよく……しばらくはただ、漫然と歩くだけでしたが、「これにもっと、運動性を高められないかな…?」と思ったときに、思い出したのが「ノルディックウォーキング」でした。


友人が体力づくりと健康維持のために、しばらく前から始めていたノルディックウォーキング。「すごく気持ちよくて、すっきりするよ~」と、大絶賛していたのです。彼女から紹介してもらったのが、今回の黒木公美先生です。

背筋がすっと伸び、笑顔がキラキラの黒木さん。いかにも健康的な雰囲気の女性ですが、意外なことに、大学卒業後から十数年は、特に運動もしないまま、家事や子育てに追われる日々だったとか。ところが今から10年前、次男が小学校に進級した36歳のとき、「このままじゃいけない!」と、ずっと始めたかったランニングをスタートします。

「最初は5分走るのもヘトヘトだったんですが、続けるうちに体力もついて、風邪もひきにくくなり、何より考え方が前向きになってきました。子育て中はどうしても悩みが多く、自信がなくなりがちでしたが、走ることは、頑張った分だけ結果が出る。それがとても楽しかったんです」

ランを始めてから1年半後には、何とフルマラソンにも挑戦! その後計7回もフルマラソンを完走したというから、やはり並みならぬ根性の持ち主だったのでしょう。やがて、黒木さんは、「まわりの友人たちにも走ることを楽しんでもらいたい」と、コーチとインストラクターを招いて、ランニング&ヨガサークルを運営するようになります。サークルは4年間続きましたが、コーチが多忙になったことと、参加者からも「走るのが体力的にきつい」という意見も出るようになり、解散に。


そんな中「年齢的に、走るのがきついのよね」「ウォーキングなら、やってみたい」「公美さん、自分で教えるのもやれば?」などなど、周囲の声もあり、かつて体験レッスンを受けたことのあったノルディックウォーキングのインストラクターの資格を取得したのが、2014年のことでした。

「それまでの日本におけるノルディックウォーキングというと、どちらかというと、高齢者の運動不足解消のための運動で、参加者も男性中心、黙々と歩くイメージ。でも私は、仕事や子育てに忙しい、同世代の女性にこそ、すごくいいフィットネススポーツだと思ったんです」


ノルディックウォーキングは専用のポールを使用し、地面を押し出して歩きますが、そのため、下半身だけでなく上半身の動きが加わり、全身の約90%の筋肉を動かす全身運動に。通常のウォーキングよりもエクササイズ効果を高めてくれます。

またポールを使うことにより、胸が開き、腹筋・背筋が伸びたきれいな姿勢になり、猫背や腰痛の改善も。関節や筋肉への負担も軽減されるから、ただ歩くだけよりも、長距離のウォーキングが可能に……つまりは有酸素運動が行いやすくなって、内臓脂肪や体脂肪が燃焼もスムーズになるというわけです。さらには二の腕やウエストの引き締めや、バスト&ヒップアップ効果も期待できる、まさに女性にいいことづくめ! なのです。

ノルディックウォーキング発祥の地・フィンランドでは、就学前の小さなお子さんからご老人まで、幅広い年齢の人々が、それぞれのペースで無理なく楽しんでいるとか。老人施設や介護施設ではよく玄関の壁にポールが掛けられていて、それを持って自然の中を自由に散歩したり、リハビリにも活用されているそうです。

「マラソンにのめり込んでいたときには、少しでもタイムを縮めるためにと、ハードなトレーニングをしたこともありました。タイムやスコア、上手い・下手、早い・遅い、勝ち・負け……そういう価値基準の中にいた人間からすると、『何だ、このしあわせ感!』『ただただ歩くのが、こんなに気持ちいいなんて……』と、驚きました」


ノルディックウォーキングは、緑豊かな公園や緑道、川辺や自然歩道など、自然とふれ合いながら歩くのが特徴。「しあわせ感」には根拠があり、歩くうちにさまざまな脳内ホルモンが分泌され、中でも「しあわせホルモン」と呼ばれるセロトニンが増え、歩き終わった後も数時間、その効果が持続するのだそう。また、がんやウィルスを撃退してくれる白血球の一種、「ナチュラルキラー細胞」も、どどーんと活性化。まさにノルディックウォーキングは、これからの時代にぴったりなエクササイズと言えるのです。

「参加した生徒さんたちは、しばらく歩くとみんな口々に『何だか、楽しくなってきた!』と言い出すんですね。『よしよし、出てきた、出てきた』って(笑)。そして、『家に帰ってからも、何日間か体の中に“楽しい”感じが残っています』と言ってくれるのです。まさにセロトニンやナチュラルキラー細胞が活発化した証拠ですよね」


都会で忙しく過ごす同世代の女性が、何かしらの不調を感じて「運動しよう」と思い立ったとき、いきなりマラソンは体力的な負担が多く、けがの心配もあるので、誰にでも勧められるわけではありません。「フィットネスクラブでヨガ」というパターンも多いけれど、人工的な狭い空間で、人と人との距離も近く、施設によっては音がガンガンとうるさかったりします。

「むしろ普段そういう場所にいるからこそ、体調を崩すことが多い気がしませんか?『室内は空調が効いているから、体がラク』という声もありますが、太陽の光を浴びながら、暑いときはしっかり汗をかき、寒くなったら毛穴を閉める。そういうことを定期的に自然の中で行うからこそ、自律神経は整っていくのですよね」


年齢や運動神経のあるなしに左右されることがなく、誰でも気軽に健康的に楽しめる。ノルディックウォーキングの魅力を聞けば聞くほど、ワクワク感がつのってきました。次はいよいよ、実践編です!


→vol.2へ続きます

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Profile

黒木公美

Kumi Kuroki

東京生まれ、東京育ち。2014年ノルディックウォーキングのインストラクターとジュニアスポーツ指導員の資格を取得。2016年女性限定のノルディックウォーキングクラブ「IHANAノルディックウォーキングクラブ」を立ち上げる。砧公園・駒沢公園のレギュラーレッスンほか、各地で日帰りプログラムを開催し、年間延べ600名が参加。漢方上級スタイリストの資格も持ち、心身ともに健康な女性を目指すアイデアを提案している。
https://ameblo.jp/kumikuroki/

 

田中のり子

Noriko Tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』『こころとからだを整える』(ともにエクスナレッジ)が好評発売中。

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