第30回 夏が旬のヨーロッパならではのフルーツ!酸味が強いグースベリーで作るチーズケーキとミニバーグ

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2022.08.03

こんにちは、料理家の栗山真由美です。
これまで、ベルギー原産の野菜やくだものをいくつか紹介してきました。私自身、ヨーロッパ在住ならではの素材は探究心が湧きます。以前からアイルランドに住む友人から度々聞いていて、気になっていたグースベリー。彼女は、野生のグースベリーを摘みに行くことを年に1度のお楽しみと言っています。

一方で、この春イギリス人の友人を訪ね、料理好きでグルメでもある彼に「嫌いな食べ物はある?」と聞くと、ほとんどないけれど、強いていえばと答えてくれたのが、グースベリーでした。驚いたと同時に、逆に興味がもっと湧きました。そんな経緯もあって、今回のテーマはグースベリーです。


ある日、スーパーのくだもの売り場で見覚えのない果実を発見。オランダ語でStekelbes、これグースベリーじゃないかな?と翻訳アプリでチェックして、そう、正解でした! この時期、レッドカラントやホワイトカラント、ブルーベリー、チェリーも旬で、それらは目にもおなじみ。なんか知らない子がいる!と思ったのが、グースベリーでした。


グースベリーを追っていてわかったのですが、旬がとても短いのですね。一般に、初夏から夏までとされています。少し驚いたのが、世界のグースベリーの生産量を調べてみたら、ベルギーは8位(2020年度)! この小国で、珍しいことだと思います。

日本ではマルスグリやオオスグリと呼ばれていて、北海道など寒冷地では採れるそう。原産はヨーロッパから西アジアとされています。私たちにとってより身近な、赤スグリ(レッドカラント)や黒スグリ(カシス)も同じ“スグリ”科になります。

そのグースベリーの使い道は、ジャムが圧倒的に多く、ベリー類などと混ぜて使う場合もあります。タルトやケーキに入れる場合も、単体もあればミックスの場合も。グースベリーのいちばんの特徴は酸味が強いことで、他の素材と混ぜることでやわらいだり、バランスがよくなることがあるのでしょう。

収穫間もない時は黄緑色で、徐々に褐色がかってきて、最終的にはワインレッドになります。酸味は黄緑の頃が非常に強く、徐々にやわらぎ、褐色が強くなってくるとぶどうのような味に変化していきます。
そのままでもおいしいです。調理するのは初めてしたが、香りの記憶がありました。お菓子やドリンクで体験はしていたのだと思います。

私はグースベリー初心者なので、シンプルに味わえるお菓子を作りたいと思い、チーズケーキにトライ。写真はチーズケーキの本体に加える、グースベリーを煮たところ。

グースベリーは皮も、内部にある種も食べられます。参考にしたレシピでは、冷ますだけで続きの工程に進みます。しかし、生食では気にならなかった種が、舌に残ります。どうにも気になり、迷った挙句、濾しました。

数種類のチーズと砂糖を混ぜたベースに、グースベリーピュレを加えます。色合いは濾してよかったかな?完全に混ぜると、淡いピンクに変わりました。

砕いたビスケットを土台にし、その上に、グースベリークリームチーズを平らにのばします。
冷蔵庫で冷やし固めたら、できあがり。生のグースベリーをトッピングしました。

グースベリーを煮た後、濾したことで全体の容量は減りました。皮や種が入ったままだったら、もっと厚みが出たかもしれません。が、なめらかなチーズ生地に混ぜたら、種ばかりが目立ってしまいそうで、全体のバランスとしては濾して正解だったと思います。甘酸っぱくて爽やかなおいしさでした。

おいしい食材に出会ったら、何か料理に活用できないかと考えます。生ハムやナッツ類とも合いますね。
グースベリーの特徴である酸味。酸味のある料理で大好きなのが、中国東北地方の酸菜白肉鍋。豚肉ときっと合う、でも、切って加熱すると果肉が流れる系なので…とひねり出したのが、“お弁当おかず“の仕事を彷彿とさせるミニバーグ。


一口でパクッと食べられて、口の中で酸味が広がる。豚肉とのマッチングも大正解でした。
旬が短いグースベリー、いろいろと活用できそうなので、見かけたら試してみては? 迷っているうちに店頭から消えてしまいそうなので、即決で。

*写真の無断転載はご遠慮ください*

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Profile

栗山真由美

MAYUMI KURIYAMA

料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
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Instagram: mamicastanha

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