明けましておめでとうございます
「うつわと暮らしの用品 ツナグ。」高見さんvol.1
京都宇治にて、うつわと暮らしの用品の店「ツナグ。」というちいさな店の店主をしております、高見と申します。
今月いっぱいこちらのコラムを担当させて頂くことになりました。
みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
「器店主のある日の朝ごはん」をテーマにとお話を頂いた時は、正直悩みました。
常日頃、朝からあまり食欲のわかない私。
いつも鉄瓶で沸かしたお白湯だけ!とか、お弁当のおかずを台所で立ったままつまみ食いとか、通勤の車の中でおにぎりをパクッ!なんて日も多いので、本当にこんな私でも大丈夫なのかと。
でも、主婦歴28年の経験と、これまで食に関わる仕事を続けてきた私なりに、いつも作るごくごく普通のごはんでも、つくり手の想いがつまったうつわや道具を使うことで、毎日台所に立つ楽しみが増えたり、楽しい食卓に繋がるということをお伝えすることができるのなら、、と連載のバトンをお受けすることにしました。
新しい年が始まったばかり。
さすがにお白湯だけ!はあまりにもさみしいので、いつもよりちょっとだけ特別感のある我が家の食卓の風景をお届けしたいと思います。
といっても、何日もかけてつくる手の凝ったものではなく、ありきたりのいつものおかずの延長なのですが。。
でも、そんななんてことのないいつものご飯が1番ほっとする。
そんな気がしています。
◾️うつわの紹介(左上から時計回りに。参考までに料理の名前を載せてます)
⚫︎黒の取り皿:盆皿 小(辻口康夫)
⚫︎鶏のくわ焼き(辻さゆり)
⚫︎栗きんとん (小山乃文彦)
⚫︎梅と八角形の箸置き(冨部咲喜子)
⚫︎漆碗(川勝五大)
⚫︎お重 (谷野明子)
⚫︎白三島皿(井上茂)
⚫︎海老 盆皿 大(辻口康夫)
⚫︎黒豆 (冨部咲喜子)
⚫︎刺身(掛江祐造)
お酒はあまり詳しくはないけれど、実家のある兵庫県の蔵元 富久錦さんのお酒が好き。
中でも、「Fu.」と言うグリーンのボトルに入ったお酒はワインのような芳醇な香りでさらりと飲みやすく、帰省するたびに買いに行くほど、気に入っています。
お正月と言えばお雑煮。
我が家のお雑煮は、するめと昆布で出汁をとって、白味噌を合わせます。
少し変わっているけれど、岡山県出身の祖母から母へ、そして兵庫県で生まれ、今は京都に住む私に受け継がれたレシピのひとつ。
これ、おいしいのです!
年末年始、昆布やするめもたくさん店頭に並ぶ時期なので、ぜひぜひお試しあれ。
漆のお椀は、京都の花背という美しい集落に暮らす川勝五大さんのもの。
これまでいろんな漆器の展示を見に行きましたが、毎日の普通のごはん、みそ汁をよそうのに使うには、私には少し敷居が高くて、なかなかえいっと踏み出せなくて。
でも、そんな時、五大さんの漆の作品に出会った瞬間これだ!と。
おおらかな形、柔らかな色。
漆器というより、「木でできているんだな」と感じることができるその感覚と手にした時のぽってり感がたまらない。
五大さんの器には漆器にしては珍しい「桐」の木が使われています。
山で桐を育てるところから始まり、林業をされている弟さんの協力を得て切り出し、80歳を超えて今もなお現役のお父様と五大さんで轆轤(ろくろ)をひき、漆を重ねるところまで、すべて一貫して川勝家の中で完結しています。
漆の木も育て始めたそうなので、いずれは自家製の漆を使って、いつの日かall川勝ファミリー産となる日もやってくることでしょう。
五大さんの暮らす花背の保育園では、五大さんの漆のうつわで給食を頂くそう。
木の器だから、ちいさなお子さんにも安心。
「気をつけて」とか「割らないで」なんて声をかける心配もなくなります。
なにより、ちいさな頃からよいうつわを使うことで、モノを大切にすることや、育てる楽しみを自然に感じることができるようになるのでしょうね。
はじめての漆のうつわは、ぜひ五大さんのうつわを。おすすめです。
五大さんのうつわたち
ひとつずつ揃えていっているお椀
五大さんの工房
今年の干支、うさぎのプレートは、陶芸家 井上茂さんの作るうつわに、長年井上さんに寄り添いながらずっとサポートしてこられた奥様の千鶴さんが絵付けした、まさに夫婦合作の作品。
年度末のお楽しみにと、井上さんご夫妻が考えて届けて下さったものです。
毎年新しい年を迎えるのが楽しみになるようなうつわ。
また今年も新しい子がやってくるといいな。今からとても楽しみにしています。
鏡餅のうつわは、福岡のお茶の産地 八女にて作陶される橋爪香代さんのもの。
今は茶器を主に作られている香代さんがずっと以前に作られていた作品のひとつです。
これ、すごいのです。
見た目は鏡餅なのですが、ひっくり返すとうつわとしても使えて、しかも入れ子で収納ができる優れもの。
紅白の色使いもきれいで、お正月やお祝いの席にはとても重宝するうつわです。
年末から年始にかけて、しめ縄飾りを新調します。
我が家は毎年、宮崎の日之影町で、親子3代に渡ってわら細工を制作されている「わら細工たくぼ」さんのものです。
店をopenする際、友人からお祝いで贈られたたくぼさんのわら細工の清々しい香りと神々しい佇まいに感動し、宮崎の工房まで訪ねてご縁を頂いて以来、毎年店でもご紹介させて頂いています。
一般的なしめ縄飾りは、どんど焼きで燃やしてしまうことが多いですが、たくぼさんの暮らす日之影町では1年を通して飾る習慣があるそう。長い期間楽しめるってやっぱりうれしいですね。
最初は青青しかった稲わらから、色が落ちて、そこからまた少しずつ育っていく経年変化をお楽しみ頂ける素晴らしい作品だと思います。
最後になりましたが、今年もみなさまにとって、笑顔溢れる一年となりますよう、ちいさな鶴さん亀さんに願いを込めて。
来週も、我が家の食卓の風景や、私のお気に入りのうつわたち、お世話になっているつくり手のみなさまの作品たちを少しずつ紹介させていただきますので、どうぞお楽しみに。
それではみなさま、また来週土曜日にお会いしましょう。
京都府宇治市宇治妙楽32 中宇治yorin西棟2F
営業時間:11:00-17:00
open : 不定休
JR宇治駅から徒歩6分
京阪宇治駅から徒歩7分
※営業日や企画展などの最新情報は、
Instagram @tsunagu_utsuwa にて更新しています。
https://www.instagram.com/tsunagu_utsuwa/
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