「天童木工」 〜日本人のくらしを映すジャパニーズモダン〜

今日のひとしな
2023.11.16

~「Am's」より vol.16~

 

現在では想像しにくいことですが、80年ほど前の日本では椅子があまり普及しておらず、畳に座る生活が一般的でした。戦後の急激なくらしの西洋化を追いかけるように、日本人の生活にマッチするデザインの椅子が次々と考案されました。
今日は日本の家具デザインを牽引してきた山形県の家具メーカー「天童木工」と、ジャパニーズモダンの椅子についてお伝えします。

山形県天童市は昔から木工が盛んな地域です。第二次大戦後の復興で家具の需要が増え、天童木工では当時最先端の「成形合板」の技術を導入します。成形合板は1mm程度の薄い板を重ね、プレスして接着するため、曲線的な形状を作りやすく、薄く丈夫で軽いなどメリットが多くあります。

同時代に意欲的な建築家や工業デザイナーが多く誕生し、積極的に新たな加工に取組む天童木工と連携して、次々に新しいデザインの家具が生み出されました。剣持勇、長大作、磯崎新など、今では巨匠と呼ばれる誰もが知るデザイナーや建築家が名を連ねています。
11/10にご紹介したデザイナーの柳宗理も、多くの椅子をデザインしています。なかでも「バタフライスツール」は成形合板のメリットを活かしたシンプルな構造で、彫刻のような美しいスツールとして有名です。

生活が西洋化した今でも和室を備えた家は多く、日本人にとってやはり安心してくつろげる空間です。西洋をそのまま模倣するのでなく、日本独自の生活習慣やしつらえに馴染むようカスタマイズしていく、そんな姿勢がジャパニーズモダンのスタイルをつくりました。

当時板倉準三建築研究所に所属していた長大作がデザインした「低座イス」は1960年に発表されました。脚がソリ状になっていて、畳を傷めません。和室では目線を低くして座ったほうが落ち着きますし、広い座面はあぐらをかいて座りやすくなっています。床座と椅子座の中間のようなスタイルは、まさに日本独自のデザインです。

「スポークチェア」は、イギリスの伝統的なウィンザーチェアの構造にヒントを得て、1963年に豊口克平によりデザインされました。どっしりとした座面に向けて広がるスポークの優雅さは本家を凌駕します。あぐらで座り、もたれかかると、背中を包み込むようなカーブに支えられゆったりくつろげます。

天童木工のカタログに並ぶ家具の多くが60年以上のロングセラーです。時を経ても古びない芯のあるデザインと丁寧なものづくりの賜物といえ、令和のライフスタイルにも馴染み、若い世代のお客様のインテリアとしても選ばれています。

 

←「Am's」の今日のひとしなはこちらから

←このほかの「今日のひとしな」はこちらから

Am's(アムズ)
鳥取県鳥取市行徳1-155

TEL/0857-22-0505
営業時間/10:00~19:00
     年中無休(1月1日、2日を除く)

HP https://ams-tottori.jp/
online storehttps://ams-tottori.shop-pro.jp/
Instagram https://www.instagram.com/amsno1/
Facebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100024590567673

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ