ワタナベマキさん 近頃の気づき&学び【後編】

ワタナベマキさん 近頃の話
2022.12.02

←前編はこちらから

06
近頃、少しずつ落ち着いてきた
新居での暮らし


今年、久々の引越しを決行! 転居先は、子どもの頃過ごしていたという懐かしい場所です。
「前のマンションにとくに不満はなかったのですが、10年以上暮らしていると、気分を変えたいという気持ちが大きくなって」
そこまで遠くに移ったわけではないのに、“暮らす街”が変わると、何もかもが新鮮。小学生みたいに自転車であちこち冒険しています。先日は、近所にぶどう園を見つけたそう。


「実は、家の中はほとんど変わっていないんですけれどね。前の家から使っているものを、ほとんどそのまま、レイアウトも変えずに移動したので」
とくに、“ほぼ変化なし”なのがキッチン。
「仕事柄、動線もきっちり考えて組み立てていたので、そのまま持ってくるのがベストだったんです。キッチンを変えたら、きっと気分もガラリと変わるけれど、仕事であたふたしちゃいそう。使いやすいように少しずつブラッシュアップするくらいで、大きな変化はこの先もないかな? と思っています」

 

07
近頃、断捨離で学んだこと

引越しは、思い切った断捨離ができるチャンス。というわけで、使わないけれどなんとなく持ち続けていたものを手放すことに。
「とりあえず収納されている状態だと、『まあ、差し当たって困っていないから、いいか』と手放せないものなんですよね。とはいえ、収納は “余裕”が大切。家や物の状態って、心のありようみたいなものを表しているんじゃないかなと思いあたって」
物を整理したことで、余白があるからこそ、いいものを吸収するゆとりが生まれることを実感しています。
「環境も暮らしも心の中も、“循環”を意識するようになりました。余白を作って、いつでもスムーズに巡るようにしておく。それは、何かに出会ったときに、パッと動ける軽やかさをもっておくことなんですよね」


「“いい出会い”があったときにスムーズに受け入れられるよう、食器棚には意識して空きスペースを作りました。収納だけでなく、自分の心や仕事のスケジュールにも余裕をもたせておくことが大事だと感じています」

 

……ちなみに、まだ手放せていないものは?
「旅行用の服です。旅先でしか着ない、10年以上着ているユニフォームみたいなセット(笑)。さすがにもう手放そうかなと思っているのですが、そう決意して取り出すたびに、『軽いし動きやすいし、旅には最高なんだよなあ』と躊躇してしまって、結局クローゼットに戻してしまうんですよね」

 

08
近頃始めた、家の手当て


引っ越してきた先のマンションは、以前住んでいたところよりも築年数が古く、 “手当て”が必要な箇所がちらほら。
「ドアからギーギーと音がしたり、クローゼットの中の棚板が外れたり。人間と同じで、歳を重ねるとあちこちガタがくるんだなあ、なんて」


以前はあまり出番のなかった工具箱も、引っ越し後は登場回数が増えました。
「トンカチで釘を打ち込むのも大変だから、電気ドリル、そろそろ買おうかなあ」

 

09
近頃の息子

手取り足取り教えたわけではないけれど、高校生の息子さんは、いつの間にか料理ができる男の子に。
「土鍋でごはんを炊いたり、お肉を焼いたり、あれこれ作っていますね。幸い、家にはお仕事させていただいている料理雑誌がたくさんあるので、それらを見ながら作っているようです。私のレシピにはあまり興味がないみたいですが(笑)」。


近頃、凝っているのがパスタ。バイブルは、『しみじみパスタ帖』(誠文堂新光社)。
「著者のひとりである萬田康文さんからいただいたんです。『きっと、好きだと思うよ』と渡したら、まさにハマッたみたいで。そばで見ていると、『料理中は火のそばから離れないで〜』とか、『その作業をしている間にお湯を沸かしておいたほうがいいのに』とか、あれこれ言いたくはなるけれど、それはぐっとがまん。とにかく料理を楽しんでくれればいいな、と思っています」

 

10
近頃の気分転換


いま一番のお気に入りの場所は、多くのグリーンを育てているルーフバルコニー。
「外出する時間はないけれど、気分転換したい。そんなときは、ここにキャンプ用の椅子を出して、本を読んだり空を眺めたり。それだけでも十分リフレッシュ。ぼうっと遠くを眺めていると、ゴミゴミしていた頭の中がクリアになって、ちょっとしたデトックスになります」


キャンプ好きのワタナベさん一家。元々、炭を起こして使うバーベキューグリルは持っていましたが、この夏、電気式のグリルも購入(写真は炭のグリルのほうです)。
「『今日、テラスで食べようか?』がとても気軽になり、よくここでバーベキューをやるようになったら、立ち上がりの早い電気式のものが便利で。遠出をしなくても、空の下で食べるごはんって、それだけでおいしさが増すんですよね」

 

text:福山雅美

 

→その他のワタナベマキさんの記事はこちらから

Profile

ワタナベマキ

Maki Watanabe

グラフィックデザイナーを経て、「サルビア給食室」として料理家の活動をスタート。独立後は、雑誌やテレビなど活躍の場を広げ、レシピ本も多数出版。
instagram「@maki_watanabe

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ