忙しい人の家事も心もサポートする「第二のお母さん」に弟子入り【後編】
沼津の雑貨店「hal」店主・後藤由紀子さんが、その道のプロに教わりながら、大人の知恵やワザを身につけアップデートしていく連載企画。今回は、「第二のお母さんのように、家事や暮らしをやさしくサポートしてくれる!」と評判の、ご家庭支援サービス「東京かあさん(きらりライフサポート)」の看板お母さんに一日弟子入りしています。【前編】に引き続き、ベテランお母さん・早苗ママの出張ご家庭サポートをお手伝い。
夕飯の支度は
1時間で終わらせるのが目安
玉子豆腐入りがポイントという出汁巻玉子のあとは、いよいよ、メインのブリの照り焼き。ふたをしたフライパンで弱めの火で焼くことで、しっとりした仕上がりになるそう。
早苗ママ(以下、早):「長年の経験で、調味料の加減も自然とできるんですよ」
後藤さん(以下、後):「本当に手際が良くて、頼もしいですね~」
もう一品、里芋の出汁煮もパパっと完成。ポイントは自宅から持参した早苗ママ特製の味噌だれ。
早:「基本的には行く先のお宅にある調味料で作りますが、この料理にはこの味噌じゃないと、というものがあって、そういう時は事前にご相談したうえで、こうして持ってきたりするんです。」
後:「味のカナメ、頼りにしている調味料ってありますよね」
そういって、お味見する後藤さん。「うん、甘みとコクのバランスが絶妙!」
そうこうしているうちに、全料理が完成しました! ささみと大根おろしの酢の物、大根の皮のきんぴら、出汁巻き卵、里芋の出汁煮、ぶりの照り焼きの全5品。かかった時間はきっちり1時間。台所は「始まった時よりきれい!」とAさんがいうようにピカピカです。
早:「温めて食べられるように、レンジ対応の保存容器に入れておきます」
後:「お仕事から帰ってきてすぐ、手作りのおいしい料理が食べられるなんて、こんな幸せはないですね!」
小学生の娘さんが帰宅したら
お話し相手に
料理の出来上がりを待っていたかのように、ちょうど娘さんが帰宅。「おかえり~」と迎える早苗ママと後藤さんの存在に、とても嬉しそう!
「今日の給食は何やった?」などと、話がはずみます。お孫さんがいるという早苗ママは、子どもとの会話もとても自然。
後:「こんな楽しい『お母さん』が待っていてくれたら、お子さんもご両親も安心ですね。家族以外の大人と触れ合う機会があるのは、社会勉強にもなりそうです」
料理を手早く終え、余った時間で洗濯ものをたたむ早苗ママ。
後:「臨機応変に家のことをしてくださるなんて、本当に家にお母さんが来てくれたみたい」
早:「せっかくだから、できる限りのことはしたくなっちゃう。タオルのたたみ方はホテルたたみがいい? 普通がいい? とか、好みも聞けますよ」
ご家庭サポートの仕事を終えたら、スマホアプリで報告。何か困ったことがあっても、スマホからすぐに運営事務局に相談できるので、「お母さん」たちも安心なのだとか。
60代70代になっても
人から求められる仕事の場を
今回、「東京かあさん(きらりライフサポート)」代表の小日向えりさんにもお話を聞かせていただきました。
後:「家事代行の枠を超えた、お母さん的サポートの発想は素晴らしいですね。いい意味のお節介、こういうのを求めている方は多いと思います。サービスの受け手はもちろん、『お母さん』である早苗さんも、『この歳になって求められて仕事をできることがとても幸せ』とおっしゃっていました」
小日向さん(以下、小):「ありがとうございます。在籍している『お母さん』の平均年齢は65歳で、主にシニアの方々。豊富な経験を活かして、活躍してほしいという思いで立ち上げたサービスなんです」
後:「何かきっかけがあるんですか?」
小:「80歳まで現役で働いていた元気な祖母が、退職した途端元気がなくなったことがきっかけです。働くことが元気の原動力だったんだな~って」
後:「そこで、シニアの方々が輝ける仕事の場を考えられたんですね!」
早:「本当に、おかげさまでとっても楽しく働かせていただいています。『お母さん』たちが集まるイベントを企画があったり、横のつながりもできるんですよ」
後:「愛がある会社ですね。サービスの受け手も送り手もみんな幸せって最高ですね」
小:「ぜひ静岡支部を作って、後藤さんに活躍していただかなくちゃ」
後:「ぜひ、お願いします!」
その後、ご家庭サポートをしたAさん宅から、当日の夕飯の写真が送られてきました。
Aさん:「バラエティに富んだ献立は、自分では作らないお料理ばかりで、何を食べても本当においしかったです。皮むきが大変な里芋は冷凍のものを使うと便利とか、大根の皮を厚めにむいてきんぴらにも転用、とか、暮らしの知恵もたくさん詰まっていました。助かるだけじゃなくて、それを参考にして自分のライフスキルも上がるから、本当に『第二のお母さん』のような存在ですね」
……と大好評。後藤さんの「第二のお母さん」姿、早く見てみたいですね。
text:鈴木麻子
※2024年6月より「東京かあさん」は、サービス名が「きらりライフサポート」に変更されます。
Profile
東京かあさん(きらりライフサポート)
家事代行の枠にとどまらず、もう1人のお母さんを持てるサービス。熟練主婦の経験と知恵を活かした、提案型のサポートが受けられる。
サービス提供エリア:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
https://kasan.tokyo/
Instagram:@tokyokasan
後藤由紀子
静岡県・沼津で器と雑貨の店「hal(ハル)」を営む。最近は「出張hal」として日本各地で期間限定の出店も。二人の子供は社会人となり、子育てもひと段落。暮らしの工夫や気づきを綴った飾らないエッセイも好評。近著は『雑貨と私』(ミルブックス)。
Instagram「@gotoyukikodesu」
YouTube「後藤由紀子と申します」
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