シマイのおへそ 「cimai(シマイ)」大久保真紀子さん、三浦有紀子さん

暮らしのおへそ
2019.08.27

性格もペースも違うけれど
互いの「違い」を正そうとせず
「違い」を生かす働き方を。

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お店の外壁は、左官屋さんと一緒に自分たちでしっくいを塗り、アンティークの扉をつけてもらった。毎朝5時半にお店に来て仕込みを始める。店内にはイートインスペースも。


埼玉県幸手市に「シマイ」というパン屋さんがあります。営んでいるのは、大久保真紀子さんと三浦有紀子さん姉妹。11年前のオープン以来、姉の真紀子さんが天然酵母のパンを焼き、有紀子さんがイーストを使ったパンを焼いてきました。

ところが昨年、創業以来初めてのピンチを迎えました。真紀子さんが出産。お店を手伝えなくなったのです。

実は、ふたりはそれぞれのパンの作り方を誰にも教えていませんでした。

「姉妹とはいえ、自分以外の人に作って欲しくなかったんです」とふたり。ここで初めて、真紀子さんは天然酵母のパン作りを有紀子さんに伝えました。

「それがまた感覚的で、さっぱりわからない(笑)。最初は姉の言うことを読み解いて数値化し、データを作ることから始めました」と有紀子さん。

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右の黒糖くるみパンが、真紀子さんが天然酵母で焼いていたもの。左のバゲットと栗のベーグルが、もともと有紀子さんがイーストで焼いていたもの。


無事長男碧己くんを産んだ真紀子さんは、今では子どもと一緒に過ごす一日が何より愛おしいそう。

そんな姿を見て有紀子さんはこう教えてくれました。

「私は、20代でまだやりたいことを十分やりきれていないときに出産したので、家にずっといると、私だけが取り残されたようで。8か月後には友人たちとフードユニットを組み、イベントを始めたんです」

おっとりとテキパキ、マイペースと段取り上手。性格も違ううえ、家族と仕事のバランスの取り方も違う……。普通なら、「こっちが正しいでしょ!」と、相手を自分のなかへ取り込むことに躍起になりそうですが、互いの違いを無理やり修正しないで、そのまま受け入れたのがふたりのすごいところ。

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姉妹でも、夫婦でも、友達でも、隣にいる人との「違い」を受け入れてみれば、自分のなかに「なかったもの」が新たな力となって、思わぬ方向へと飛んでいけるのかも。ふたりに教えてもらった「違い」を生かすおへそは、なかなか応用力がありそうです。

「暮らしのおへそ Vol.27」より
photo:有賀 傑 text:一田憲子


明日8月28日(水)から日本橋三越本館7階でスタートする「おへそ的、買い物のすすめ展」にて「cimaiパン」のパンが限定販売されます! 8月28日(水)14:00~のみの販売となります。お買い逃しなく!

 

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Profile

大久保真紀子/三浦有紀子

Makiko Okubo / Yukiko Miura

大久保さんは「アフタヌーンティー・ティールーム」のベーカリー部門などを経て、東京・富ヶ谷の「ルヴァン」で天然酵母のパン作りを学ぶ。三浦さんは数多くの職を経験後、「アフタヌーンティー・ティールーム」「パティスリーマディ」パン部門でイーストのパン作りを学ぶ。2008年に埼玉県幸手市にパン屋「cimai(シマイ)」をオープン。

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