足もみで、全身を活性化! vol.1

からだ修行
2020.04.08

今月の先生:杉田佳枝さん(Kapoの足もみ)

台湾旅行に行ったりすると、必ず体験する「足裏マッサージ」。どうやら足の裏が体の各器官とつながっているということは知っているものの……詳細は知らずじまい。友人から「すご~く痛い足もみの先生に定期的にお世話になっていて、すこぶる体調がいい」と噂を聞きつけ、さっそく今回の先生・杉田佳枝さんに取材させていただきました。

photo:砂原 文 text:田中のり子



出張足もみ、足もみ教室などを通じ、足もみを伝える活動を続けている杉田佳枝さん。彼女が足もみに興味を持ったのは、2012年。作家・吉本ばななさんのブログで紹介されていた『元気回復 足もみ力』という本を見たのがきっかけだったそう。


東日本大震災のあった2011年に出産、ほぼ同時にお母さまに病気が発覚。杉田さんも30代以降、体調や心の変化を感じていたり、まわりから不妊や病気などの悩みを聞く機会も増え、自分自身にも、家族やまわりの友人のためにも「何か体にいいことがしたい」と思い、手にした本でした。手術後、お母さまは根気よく足もみを続けていたところ、何と数か月後の検査では症状がかなり改善されていた(!)のだとか。

「『これって足もみのおかげだよね。足もみってすごい!』と母と感激して、その後も自己流で続けていたんです。その後だんだん友人の足ももんであげるようになって……。『普通、痛いと言われたら、そんなに思い切りもむことはできないよ。それ、何かに生かしたほうがいいんじゃない?』と、何人にも言われて(笑)、それならきちんと学ぼうと思ったんです」

そこで杉田さんが門をたたいたのが、「官足法(かんそくほう)」。台湾生まれの官有謀(かん・ゆうぼう)氏が世に広めた、「血液循環をよくするための、足もみ健康法」です。


こちらが官先生の著書。『足の汚れが万病の原因だった』というタイトルとイラストのインパクトに驚きますが、1986年の発売以来、170万部を突破し今も売れ続けているというベストセラーです。この本によると、「足をもむと健康になる」という考えは、今から5000年以上も前から、中国大陸では鍼やお灸とともに、知られていました。漢の時代には「足心道」という治療法として体系化され、やがてアメリカ人医師たちが20世紀初頭に「足裏反射区治療法(リフレクソロジー)」として発表、全世界に知られることになりました。


足の裏に体の各器官が配置されているこの図、きっと見たことがある人も多いのではないでしょうか。台湾には、スイス人宣教師が信徒にリフレクソロジーを施したことから広まり、官氏はさらに独自の研究を重ね、「官足法」を確立して、日本にもその健康法を伝えたのです。台湾であれだけ足もみが普及していたので台湾発祥だと思っていたのですが、何とヨーロッパ経由だったのですね! そして杉田さんは、さらにみんなが取り入れやすいよう、流派や足もみの知識だけにこだわらず、日々進化していきたいと考えているのだそうです。

「足もみの仕組みは、すごくシンプルです。足にある反射区をもんで刺激を与えると、その痛みが神経を伝わって脳に届き、その器官を活性化してくれる。また、もみほぐすことで静脈のわきを走るリンパ腺の刺激にもなって、体に抵抗力をつけてくれるんです

足もみで重視しているのは、足裏のしこりのようなコリをほぐすこと。グリグリともみほぐしていくと、ところどころに骨とは違う、固まりのようなコリが発見できます。このコリが、もむと「痛い!」と感じる部分。このコリは、老廃物が結晶化したもの。心臓から遠く離れた足は、汚れ(老廃物)が混じった血液が滞りやすい場所で、それらを解消しないでそのままにしておくと、足裏全体が固くなり、さらに血流を滞らせ……という悪循環になってしまうのです。

血液がサラサラと体中を巡ることは、健康への大前提。足もみは単発で行うのではなく、毎日の習慣にしてもみ続け、理想としては赤ちゃんの足のような、ふわふわなやわらかさを目指していくそうです。


さて、いよいよ杉田さんの足もみレッスンの開始です。道具は、足首やすねなどをもむ「赤棒」、足裏をもむ「グリグリ棒」、それに専用のクリーム。足もみを始める前、終わったあとに守るルールは、以下の3つ。

① 食後1時間以上経ってからもむこと
② 必ずクリームを使うこと
③ もんだあと、ゴクゴク飲める温度の白湯を500mlほど飲むこと

食べた直後にもんでしまうと、消化のための血液が全身に巡ってしまい、消化不良を起こしてしまうのだとか。そしてクリームをぬると余計な摩擦がかからないので、皮膚を傷めません。「白湯を500mlも?」と驚くのですが、大人の膀胱の平均容量がこのくらいの量だそう。終わったあとにその量を飲んで、ザバーッと尿から老廃物を出す、という仕組みです。


まずは杉田さん、足に軽くふれながら、足裏の状態をチェックしてくれます。もともと冷え症で血行が悪い私。取材日は春先のまだまだ寒い日だったので、靴下をぬぐと青紫色で、いかにも冷えていそうな感じです。

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Profile

杉田佳枝

Kae Sugita

出産や母の病気をきっかけに足もみに興味を持ち、2017年に「官足法」指導員の資格を取得。以来、自宅への出張足もみ施術やイベント出店、グループでの足もみ教室、マンツーマンレッスンなどを行う。スケジュールはインスタグラム「@kapo_ashimomi」で確認を。

 

田中のり子

Noriko Tanaka

衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』『こころとからだを整える』(ともにエクスナレッジ)が好評発売中。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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