「EB.A.GOS」のバッグが生まれるところ(後編)

特集
2018.05.30

20周年記念書籍『EB.A.GOS バッグ ヲ ツクル』発行記念specialインタビュー


「ナチュリラ」や「暮らしのおへそ」読者の皆さんにもファンが多い、バッグブランド「EB.A.GOS(エバゴス)」が昨年、誕生から20年という節目を迎えました。直営店もホームページもなく、その全貌をなかなか知ることができない「エバゴス」の物づくり。この春、20年の歩みを書籍にまとめたというデザイナーの曽我部美加さんに、じっくりお話しを伺いました。

 

前編はこちらから

 

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”コウジョウ”の棚に並べられたサンプルの数々。これまでコレクションで発表してきた全てのサンプルは倉庫に保管しているそう。書籍ではその貴重なアーカイブを見ることができます。

 

デザイナーである曽我部さん自身が手を動かし、まず頭に描いたものを形にする。そこから社内で微調整を繰り返して最終形ができ上る──「エバゴス」のもの作りは、デザイナーが描いたデザイン画を元に型紙を起こし、サンプルを作るという、従来の作り方とは真逆の方法でした。

 

「後戻りせず、とにかく前だけを見て」イメージを形にするからこそ、人を惹きつけるエネルギーが宿るのでしょう。ただし、曽我部さんは「作家」になろうとは思わないのだとか。

 

「私は“作る”ことは決して上手ではありません。『これでいい! これがいい!』というサンプルができたら、商品化するときには、更に高い技術で美しいものを作りたいんです。それに、私がファーストサンプルを作るときには、後の工程を考えずに頭に思い描いたものを自由に形にするので、手でやらないとできないことがたくさん出てきます。きっと、バッグの専門工場だと「できない」と言われてしまうでしょうね。細かい修正を繰り返してサンプルを作ることもそうですが、実際に商品化する上でも、仲間である“つくり手”の存在が欠かせません」

 

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展示会が終わると、いつ、誰が、どの工程を手掛けるか綿密に生産計画を練る。「エバゴス」の物づくりの根幹を担い、曽我部さんが全幅の信頼を置く、コウジョウチョウのヤマグチさん、チームリーダーのハスイケさん、アベさん。

 

誕生から20年という節目を迎え、曽我部さんはこの春、1冊の本を作りました。『EB.A.GOS バッグヲ ツクル』と名付けたその本には、歴代のコレクションアーカイブをはじめ、展示会ごとのテーマついて、紅籐、レザー、オリジナルのテキスタイルなどの素材ついて、その素材を探す毎年の旅……と、「エバゴス」の物づくりの核心がギュッと濃縮されています。

 

「本を作ることは、数年前から考えていました。実は4年前に一度、自分で文章を書いたことがあるんです。ところがちょっとやってみたら、『これを始めたら100年かかる!』と断念しました。でも20年間やってこれたのは、“つくり手”である仲間たちのおかげ。だから一度、真面目に『ありがとう』と伝える意味でも、本という形にして残したい、と重い腰を上げました」

 

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20周年記念書籍『EB.A.GOS バッグ ヲ ツクル』。限定1000冊でシリアルナンバー入り。立ち上げ初期のコレクションから現在まで、20年の歩みが網羅されている。

 

直営店も、ホームページもなく、全貌が見えにくい「エバゴス」というブランド。卸先のショップにも「通販はしないでください」とお願いしているそう。それは、自分たちが作るものに責任を持ち、目が届く範囲で仕事をしたい、という願いからです。

「今、本づくりの舞台裏をフェイスブックで公開しているのですが、これも社長と私、ふたりでコツコツ作業をしています。こういうことが得意なスタッフに頼めれば良いのだけれど、本来の仕事である“生産”が滞ってしまうでしょう? 今日も書籍に入れるシリアルナンバーを押すところを写真に撮ったところです。近日中にアップしますよ」

 

そう言ってコロコロと笑う曽我部さんはとても楽しそう。小さなステッチひとつから、SNSに載せる写真まで、ここで起こるすべてのことに責任を持ち、仲間を信頼し、誇りに思う様子が伝わってきます。それを象徴する文章が書籍のエピローグにありました。少し長くなりますが、引用してご紹介します。

 

「エバゴスには今、30代から70代までのつくり手たちがいます。活力と優しさにあふれ、どの世代の情報も欠かさず共有し、それぞれが支えあい、助け合い、尊敬し合い、自分たちがつくる物に愛情を持ち、エバゴスのバッグを毎日使っています。それは良い物をつくるうえでなくてはならない大切なことだと感じています。

 

大きな問題にぶつかって眠れない夜を過ごすこともありますが、物づくりにおいて、日々お付き合いさせていただいている方々は、何があっても決して背を向けずまっすぐ前を見て一緒に解決してくださいます。エバゴスのアイテムを置いてくださるお店の方々は、お知らせしなければいけない問題が起きてしまい、怒られても仕方がないことでも「大変だったね! がんばってね!」と励ましてくださいます。そういった心ある方々のおかげで、バッグをつくり続けることができました。

 

楽しくないわけが、ありません。」(『EB.A.GOS バッグ ヲ ツクル 』エピローグより)

 

 「楽しくないわけが、ありません」。

自分の仕事をそう言い切れるのは、なんと幸せなことでしょう。「エバゴス」のバッグを手にするとワクワク、ドキドキするのは、このハッピーのバトンを受け取るからだと、曽我部さんの笑顔を眺めながら思いました。

 

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板状のかごと、キャンバス生地を組み合わせた”タタメルカゴシリーズ”。紙袋のようにたためて重ねることができ、スーツケースに入れて旅に持っていくこともできる。

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クラシックなバッグをモチーフにしながら、「エバゴス」らしさを追求した”ハンドバッグシリーズ”。パーツと工程の数が、どのバッグよりも多く、日々研究を繰り返しているそう。

 

photo:岡 利恵子

 

『EB.A.GOS バッグヲ ツクル』発売を記念して、イベントが開催されます! 

◎6/16(土)〜6/27(水) 「メリーゴーランドKYOTO」
 京都府京都市下京区河原町通四条下ル市之町251-2 寿ビルディング5F


◎7/3(火)〜7/8(日) 「森岡書店」
 東京都中央区銀座1-28-15 鈴木ビル1F

*出版記念に合わせて、特注のミニバッグのオーダー会を予定。
イベントの詳細は、決まり次第「エバゴス」のフェイスブックでお知らせします。

EB.A.GOS
info@ebagos.com

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書籍やイベントについての問い合わせは、上記メールアドレスまで。

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