服部みれいさん、ロングインタビュー

服部みれいさんと「エムエム・ブックス みの」vol.5
2019.02.15

text&photo:編集者、「呼吸ラボラトリー」「amine」主宰 アマミヤアンナさん

 

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月曜日からお届けしてきた1週間特集「服部みれいさんと『エムエム・ブックス みの』」で、最後にお届けするのは、服部みれいさんのロングインタビュー。東京から美濃に移住して約4年、仕事や暮らしがどう変化していったのか。今の心境から美濃の魅力、今年やりたいことまで、たっぷりお届けします!

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うだつの上がる町、美濃。奥に見える小さな山が見えると、守られているようでほっとします。

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“うだつ”とは、江戸時代に屋根の両端に作られた防火壁のこと。当時、立派な“うだつ”は豊かさの象徴だったそうです。

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「エムエム・ブックス みの」がスタートして3年半。お店はすっかり美濃の町になじんでいます。『マーマーマガジン』や服部みれいさんの著書の読者さんが全国から訪れる一方で、地元の人も立ち寄り、買い物をしていく。さまざまな人が出入りしながら、エネルギーが循環する拠点となっています。

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「昨年は展示会が多かったから、お客様も増えましたね。日本だけでなく、海外からも読者さんが来てくださって。特に『iai』展はすごい人で、本当にびっくりしました。美濃みたいな田舎の町で『コズミックワンダー』『えみおわす』『iai』……といったブランドの展示会ができるのがすごく楽しい。田舎でハイパーなものを扱うのは、イマドキな感じがします。みなさんにはわざわざ来てもらうことになり申し訳ないのですが、ぜひここでしか吸えない空気を味わってもらえたらって思います」

高地で育ったアルパカの毛でからだをあたためる衣服や小物を作る「プエンテ」の展示会には、地元の人もたくさん訪れたそうです。みれいさんが発信していることを肌で感じ取り、素敵な人を紹介してくれたり、ご近所の女性たちは冷えとりをはじめたり。

「女性スタッフの中で、花粉症がきっかけですぐに冷えとりを実践した方がいて、すぐにめんげん(好転反応)が出て、それまで花粉症の薬を飲んでいたのが飲まなくてもよくなりました。美濃で生まれ育っている人はからだが素直なのか、めんげんが出るのも早い気がします」

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「近所の人とは、お互いの店や家を行き来しているうちに自然と仲良くなっていきました。よくおしゃべりするし、ものの交換も激しいし、いわゆる田舎の普通の付き合いをできるだけやるようにしています。美濃は1300年以上の歴史があるからか、たとえ数十年住んでいても地元の人とはみられないという人もいるけど、人によるんじゃないかな。来たばかりのときは、ほんの少しだけ大丈夫かな? と感じることもありましたが、でも忍耐強く“よいところ”を見るようにしていたら、あっけなく解決したということもありました。移住を考えている人も多いかと思いますが、その土地のネガティブなところに焦点をあてたら、どこに行ってもうまくいかないと思う。どこでも合わないものや風習ってあるから、そこにフォーカスしないことですよね。とはいえ、自分を変えてでも迎合することもなくって、やれる範囲で、自分に嘘つかずにうまくやっていく方法って絶対ある。人間的な魅力とか、人を大事に思う気持ちとか、そういうのが普通にあれば、やっていけると思います」

みれいさんの視点は、移住ということでなくても、たとえば職場や学校、地域での人間関係、家族の間でも生かせそう。

「もちろん好ききらいはあると思いますが、自然が豊かな田舎は、人のこころとからだに悪いわけがない。基本、過ごしやすいし、生きやすいのかなと思います。また、古い風習だったり、都市にはない感覚もたくさん残っているけれど、今の自分にとっては、あまりに都市と違うからおもしろいし興味深く感じています。地元に息づいている習慣のすばらしさに、積極的に目を向けるようにしています。もちろん都市的な感覚から見ると、びっくりするようなこともあるけれど、決して無理もしないように。無理すると、怒りがたまってきたり……何より、続かないですよね。田舎や地方のよさを充分に感じながら、でも、都会的な感性のよいところも失わずに暮らす。それが自分にとっては、すごく新鮮に感じるし、たのしいことなんですよね。美濃は空間と時間と経済がゆったりとしていて、とにかくその恩恵がすごいです。その中で、おもしろいことをいろいろと工夫して、実験しながら実践している感じです」

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美濃柴犬のまりもちゃん。美濃柴犬は全国で200頭にも満たないそう。とても人懐こくて、やんちゃ盛り。編集部の庭を飛び回っています。

美濃に来て、違うモードに切り替わったというみれいさん。今まで着なかった黒い服も着るようになったそうです。
「都会では黒い服を着ようとは思わないのですが、美濃では、町の暗さとかしっとりした感じになじむから、墨黒みたいな色の服も着るようになったんですよね。岐阜の人からすると、自分は東京っぽいのかもしれないけど、自然とか、町とか、出会う人の年齢層とか、いろんなものに影響を受けていて、気づくと自分が変わっていってる。自分の世界で生きてるというか。昔はそれが、狭くて田舎者で格好悪く見えたかもしれないけど、むしろその感じをおもしろがってる。美濃に来て芸術的なことに目覚め、ピアノやダンスをはじめましたが、今年は歌を歌おうかなと思っています」

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「エムエム・ブックス みの」では、今年もすでに展示会の予定が目白押し。田んぼで展示会をやるとか、夏の間はお店を閉めて民泊やカフェをするとか、長期で休みをとるとか、あたらしい働き方もいろいろと試してみる予定。

「こっちの人は口癖みたいに『岐阜はなんにもない、美濃はなんにもない』っていうけれど、わたしにとっては、その『なんにもない』ことが誇りです。とりたてて特別なものはないけれど、美濃は自然が豊かで山や川がきれい。当たり前にある山とか川とか橋とか、ふと目に入る日常の風景がきれいで、空気も水も本当にいい。別の場所に出かけて帰ってくるたび、窓開けて深呼吸しちゃう! 楽に呼吸できるし、空気がいいことに下支えされています。来てもらったら、きっとそのよさを、からだでわかってもらえると思う。何がって、うまく言葉にはできないけれど、それを味わってもらいたいかな。空気とか微生物の多様さとか、目に見えない部分が自慢です」

余談ですが、いつだったか岐阜を訪れた折、深夜にホテルに到着したことがありました。ぐったり疲れていたので、大浴場でお風呂に浸かり、布団(これもポイントかも)で眠ったら、翌朝、半年以上続いていた肩の痛みがなくなっていて! 「岐阜は空気と水がいい」というみれいさんの言葉を体感したのと同時に、からだっておもしろいなとつくづく感じました(東京に戻ったら、徐々に痛みも復活……)。

岐阜・美濃には、まだまだご紹介しきれていないスポットがいっぱいあります! ぜひ、あそびにいらしてくださいね。

→1週間特集「服部みれいさんと『エムエム・ブックス みの』」

→1週間特集「アマミヤアンナさん カラダとココロを整える方法」

→からだ修行「自分の本当の状態に気付く呼吸レッスン」

エムエム・ブックス みの

岐阜県美濃市俵町2118-19
TEL:0575-46-8168
営業時間:12:00~17:00
定休日:火~木(祝日は営業)※展示期間中は火曜定休
http://murmur-books-socks.com/?mode=f3

Profile

服部みれい

Mirei Hattori

『マーマーマガジン』編集長、文筆家、詩人。2015年春、岐阜・美濃市に編集部ごと移住し、8月にショップ「エムエム・ブックス みの」をオープン。『毎日新聞・日曜くらぶ』でエッセイ「好きに食べたい」を連載中。『murmur magazine for men 第4号』(エムエム・ブックス刊)を発売したばかりで、詩とインタビューの雑誌『まぁまぁマガジン 23号』も今春、発売予定。また、『天然生活』で2016~2018年に連載していたエッセイが1冊の本に。『みの日記』(地球丸)。2月下旬発売です。
http://hattorimirei.com
http://murmurmagazine.com

 

アマミヤアンナ

Anna Amamiya

「呼吸ラボラトリー」、手編み靴下ブランド「amine」主宰、編集者。いくつかの出版社を経て、2011年秋『マーマーマガジン』編集部へ。2015年春にフリーランスとなり、さまざまな活動をしている。
「呼吸ラボラトリー」http://kokyulaboratory.com
「amine」http://www.amine-teami.com

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