自分を知った大人服 小林桃子さん 書家

大人になったら、着たい服
2016.02.09

ベースはシンプルに

おしゃれの楽しみは

足し算すること

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「私ね、着ているものは、いつもほとんど同じなんです」と笑う小林さん。パンツはスリムかジョッパーズ。トップスは白Tシャツか白シャツ……とほぼ決まっているのだとか。このシンプルな装いになったのは、10年ほど前から。それまでは、花柄ワンピースや、ピンクのシャツなど、いろいろな服に袖を通してみた時代もあったそうです。

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幼いころ、病弱だったこともあり、お母さまの実家で暮らしていたという小林さん。

「同居していた叔母はオートクチュールで洋服を作っていたので、美しい生地で洋服を縫ってもらうのが楽しみで。あのワクワク感が、私のおしゃれの原点かな。その後、実家に戻ってからは母も、私が社会人になるまで洋服を縫ってくれました。手をかけて“誰かのために作る”ということが、こんなにも人の心を幸せにすることを、教えてもらいましたね」

今は書家として活躍。東京、神奈川、埼玉などあちこちの教室を飛びまわって教えています。そんな中で、アクセサリーやバッグなど、ものづくりをする人たちと出会うようになりました。

「作り手の意図を感じるものを身につけると、なんだかパワーをもらえるようで。そんな個性が宿る小物を生かそうと思ったら、洋服がどんどんシンプルになっていったんです」。

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 実は、結婚して7年目から認知症になったお義母さまの介護をしてきたそうです。

「介護といっても、重ねた鍋の中から母の財布が出てきたりと、笑いが絶えない日々で。『要介護5』になり、施設に入居していく姿を見たとき、私も新しく頑張らないと、と思いましたね」

自分に何ができるか、何だったら、伸び代があるか……と考えたとき、新たに向き合ったのが、ずっと教えてきた「書」でした。あらためて表装を学び、「書」をインテリアとして飾る提案を始めたのだと言います。

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「部屋に書をしつらえることと、おしゃれは似ているんです。どこに落款を押し、どんな空間に飾るか。それは、シンプルなシャツにピアスを合わせるか、チョーカーにするか、といったバランスと同じですから」

シンプルな服に小物を効かせること、空間に書を飾ること、周りの人を幸せにすること。一歩引くことで、「何か」を輝かせることは、おしゃれも仕事も人生もきっと同じです。

 

『大人になったら、着たい服 '15-'16秋冬』より

photo : 和田直美 text : 一田憲子

Profile

小林桃子

Momoko Kobayashi

1958年生まれ。近所の人に請われて自宅で書道を教え始め、口コミで評判が広がる。パネルに「書」を仕立て、現代の暮らしの空間に「書」や「墨」が息づくような毎日を提案。5年前から釣り好きのご主人の希望で海により近い街で暮らし始めた。

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