京都編 vol.12 自然のままに、季節の草花が持つ美しさを伝える花屋「みたて」

地元のおしゃれさんの わたしの街
2017.02.25

京都在住ライター・大橋知沙さん

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photo&text:大橋知沙

 

本来用途が異なるものを、文脈の中で必要なものになぞらえる「見立てる」という手法。古い時代から茶の湯をはじめ、和歌、庭園、落語など、さまざまな表現で日本人は「見立てる」ことのおもしろさに心奪われてきました。「みたて」は、そんな日本人らしい感性で選ばれた、四季折々の野生の草花を扱う花屋。古びた長屋の扉を開くと、今まさに山から摘み取ってきたかのような、野趣あふれる花や木々が迎えてくれます。

 

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小上がりの畳に並ぶのは、「山野草」と呼ばれる山の植物や、独特の形に枝葉を広げた季節の枝ものなど。古道具や陶器を鉢に見立てて植えられた山野草たちは、朴訥な佇まいながらもハッとするような余白の美を醸し出しています。

 

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土間の壁にしつらえた棚には、季節の飾りや、花入れにもなる骨董の道具、作家もののうつわなどが並びます。本来は鉢や花入れではない道具たちも、野の花を生ければ不思議としっくりなじみ、調和が生まれるから不思議です。

 

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店主の西山隼人(にしやま・はやと)さん、美華(みか)さんご夫婦は、洋花をメインに扱う花屋で働くうちに、いつしか和の花や山野草の美しさに惹かれていったと言います。市場に出回る花の多くは温室栽培で、一年中楽しめたり、シーズンを先取りして出荷されるものがほとんど。「山の草花にはその年、その季節、その土地にしかない力強さや美しさがあるんです」と美華さんは言います。「自然のままの姿を大切にしたい」という思いから、花材は市場などで仕入れるのではなく、苗の生産者や山採りの専門家から直接譲ってもらうなど、独自のルートを開拓してきたのだそう。改めて店内を見渡すと確かに、どの植物も直線的に整えられたものではなく、自然のままに曲がり、伸び、あっちこっちを向いた、自然のエネルギーに満ちたものばかり。

 

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洋花と違って飾るのが難しいのでは? と思いがちですが「枝ぶりがおもしろいものが多いので、植物本来の形を生かせば1本でサマになることも」と隼人さん。今まさに野山に咲いている植物がほとんどなので、飾るだけで空間に季節の息吹が吹き込まれるそうです。

 

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店頭の苗や枝は1点から求めることができ、予約をすれば寄せ植えや花束、日本の風習にちなんだ飾りものなどもオーダー可能。4寸の木箱に季節の風景を切り取って盛ったかのようなアレンジメント「季節の木箱」など、まるで和菓子の菓子折りのような花の贈りものもオーダーすることができます。

 

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「見立てる側も、それを見てくださる側も、同じ美しさに共感したり、発見できたりするのが『見立てる』おもしろさ。伝統の型を学びながらも、いったん情報をリセットして“初めて作るような気持ちで”取り組むことも大切にしています」と隼人さんは言います。

 

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見慣れた姿のなかにも新しさを、新鮮な驚きのなかにも懐かしさを感じる「みたて」の花。季節の訪れに自然と言葉を交わすときのように、美しさと物語を共有できる一輪がきっと見つかるはずです。

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みたて

MAP:
京都市北区紫竹下竹殿町41
TEL:075-203-5050
日曜・月曜休
12:00〜17:00
http://www.hanaya-mitate.com

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