子育ても、人生も自分らしく。小さな「選択」を投げかけて Vol.1 主婦・柴田寛子さん

暮らしのおへそ
2017.12.20

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「ねえ、ねえ、お母さん、早く〜」

「はいはい!」

パンパン、トントン、パチパチ。
15歳の桜子ちゃん、11歳の晴喜くん、9歳の桃子ちゃんは、
毎朝玄関で、「アルプス一万尺」の要領で、
お母さんの寛子さんの手とタッチし、
ぎゅっと抱きしめてもらったら、
「行ってきま〜す」と元気に駆け出します。

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「どんなに叱っても、機嫌が悪くても、コレで、
すべてがリセットされるんです」と寛子さん。

 ここから時計を巻き戻すこと30分。
柴田家の朝食は、自分が食べたいものを、
お母さんに「オーダー」することから始まります。

「さーちゃんは、パンに何のせる?」
「う〜ん、ミートソースとチーズ」。
「はっくんは、パン何枚食べられる?」
「え〜っと、1枚」といった具合。

 パンの枚数、トーストするかしないか、
卵の料理方法まで。3人3様のオーダーに
寛子さんは耳を傾けます。
「面倒くさくないのですか?」と聞いてみると、
こう答えてくれました。

「小さな子供が、自分の意志で選べることは、
生活のほんのわずかな一部です。『お砂糖入れる?』
「何飲みたい?」など……。私ができる小さなことだからこそ、
あえて投げかけてそれに答えてほしい。
言うとおりになるとは限らないし、
時にはふてくされてしまう子もいるけれど、
しばらくすると、気持ちに折り合いをつけて、
家族の輪に戻ってきてくれます。家庭以外の場所で、
自分の思い通りにいかなくても、
日々小さな選択と向き合っていれば、
きっと、叶わなかったときのダメージを最小限にできるはず。
それによって次の一歩を踏みさせればいいなと思って」

 なるほど、自分が食べるパン1枚の中にも、
選択、決断の種が隠されているのだと感心させられました。

Vol.2に続く

photo:枦木功 text:一田憲子

『暮らしのおへそVol.23』より

Profile

柴田寛子

SHIBATA HIROKO

大学を卒業後、日本航空国際線予約センターに就職。退職後、飲食店でアルバイトをしながら、祐成陽子クッキングアートセミナーに通う。25歳の時にイタリアへ語学留学。帰国後結婚。専業主婦を経て、現在は週に5日パートタイムで働きながら、パンやお料理の教室に通っている。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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