第24回 ベルギーらしい野菜といえばこれ!チコリで作る「チコリのタルトタタン」
こんにちは、料理家の栗山真由美です。
今冬は、ベルギーらしいグレーの空がひときわ多いと思います。
一方、昨年の3月は晴天が多かった記憶があります。天候が良いとバルコニーごはんをするのですが、通常は5月とか6月あたりに始めるところ、昨年は3月が多かった。今年も昨年のような、暖かで晴天の3月を願ってやみません。
さて、みなさんは、ベルギーらしい野菜というと何を思い起こしますか? チコリはお好きですか? チコリの
ベルギーに越してきた頃に驚いたのは、その値段。日本では昔は高級スーパーでしか入手できず、1株ずつパッケージされたチコリは400円ぐらいしたと思います。
ベルギーでは、写真のチコリはビオ系スーパーで2.37€。日本円で約300円です。料理の都合で小ぶりなものを選んだとはいえ、6本で300円とはうれしい。
チコリは微かな苦みがあるものの、加熱するとそれがほとんどなくなります。和洋中、何にでも使える素材と言っていいと思います。日本の感覚だと白菜やキャベツのように使うイメージです。逆にベルギーでは、白菜はとても、キャベツもまあまあ高いです。
先日、友達とレストランに行きました。そこはベルギーでは珍しく、小さめのポーションの料理をいろいろ選んでシェアしていただくスタイルでした。
その中ですごくおいしかったのが、「チコリのタルトタタン」。深く考えずにオーダーしましたが、なるほど、りんごのタタンではなくチコリのタタンです。キャラメリゼされたチコリが、ほのかに甘く香ばしく、体験したことのない味でした。写真の「チコリのタルトタタン」の上には、羊のチーズとマスタードリーフがのせられていました。
一方で、ベルギー料理の本といえばコレという、ベルギー人なら誰でも知っている本があると聞きました。既にバイブルとして持っている本はあったのですが、話をしていた夫がクリスマスにプレゼントしてくれました。
そして、この本に「チコリのタルトタタン」が載っていました。私はあのレストランのオリジナルメニューだと思っていました。再現したいと想像を膨らませていたので、本のレシピを元に作ってみました。材料は写真の通りです。
作り方は特に難しくないのですが、大きく分けて4工程に分かれます。チコリをバターで炒めて、ヘーゼルナッツと混ぜます。
りんごもスライスしてソテー。仕上げにタイムをふるのがポイント。
型にチコリ、りんごを順に詰め、最後に加えているのは豆腐。水きりした豆腐をほぐして、フィリングの一部にするのです。
あとは、パイシートをかぶせてオーブンで焼き、取り出します。
結論。レストランのものとは別物ですが、おいしかったです。レストランの「チコリのタルトタタン」には、りんごや豆腐は入ってなかったと思います。もう少し甘みが立っていて、お菓子みたいなのだけれど、チーズやリーフと合わせておかずっぽくなるおもしろさがありました。
しかし、今回作った本の「チコリのタルトタタン」は、これだけで成立しています。調理途中でバターをたっぷり使うこともあり、私はチーズを加えるとくどいような気がしたのではずし、リーフも気に入っているスプラウトを使いました。ナッツは他の種類でも可能、バターは植物性のオイルに変えてもいいと思います。組合せを変えていろいろ試したくなりました。
これがベルギーで最も有名なベルギー料理の本『ONS KOOKBOEK』です。翻訳すると、私たちの料理本。
この本の始まりは1927年の初版からで、料理の進歩や現代化に伴って、随時改編され、販売され続けている本です。その内容は伝統料理から、現代の流行を取り入れたものまで。
レシピは追加と改訂を繰り返しているので、本はどんどん厚くなり、背表紙は現在5㎝もあるとても重い本でもあります。対象は料理の初心者からプロまで、全編オランダ語です。
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【栗山さんのベルギーおいしいもの通信㉓】はこちら
Profile
栗山真由美
料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/
Instagram: mamicastanha
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