デンマーク王室も愛用、色あせない「Kay Bojesen」のカトラリー

今日のひとしな
2020.01.10

~ 糸と樹より vol.10 ~

少し大げさになるかもしれませんが、究極のデザインというものがあるとして、それはいくつもの時代を経ても使い続けられる機能や美しさを持ったものだと思います。あらゆるカトラリーの中で、そこに一番近いのは「Kay Bojesen(カイ・ボイスン)」のカトラリーだと私は思っています。

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1938年にデザインされ、1951年にミラノの国際的なコンテストで最優秀賞に選ばれたこのカトラリーは「Grand Prix(グランプリ)」と名付けられました。デザインされた時から80年以上が経っていますが、私にとっては未だにカトラリー界のグランプリのままです。

そもそも「カイ・ボイスン」とはデンマーク人デザイナーの名前で、木製で手足の動く猿をはじめとする動物のオブジェのデザイナーとしてもよく知られています。彼は1886年生まれで、調べてみると石川啄木や谷崎潤一郎と同年の生まれ。もちろん啄木の詩も谷崎の小説もまた現代まで生き残っているわけですが、この数十年で劇的なライフスタイルの変化があったにもかかわらず、形あるものが懐古的な意味でなく、“ただ単に良いから”という理由で使い続けられていることに驚きを感じます。

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普段使いしやすく日常の空気に溶け込むような普通さがあるのに、デンマーク王室や各国のデンマーク大使館でも愛用されているというのは有名な話で、王室御用達の証として全てのカトラリーに王冠のマークが入っています。私たちが気兼ねなく家庭やカフェで使うカトラリーを、ヨーロッパの王族も同じものを使っているなんて不思議な気がしませんか。

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ちなみにカトラリーのメインとも言えるスプーン、フォーク、ナイフには2サイズあります。少し大きめの「ディナー」と少し小さめの「ランチ」があります。(スプーンとフォークは「デザート」と表記されることも)

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私たちの家では「ディナー」を使っていますが、手の小さな女性には最初は少し大きく感じられるかもしれません。私たちも使い始めは同じように感じていましたが、慣れたこともあり今では何の違和感もなく使えています。

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日本のカトラリーサイズに近いのはおそらくランチの方で、当店ではわずかな差ではありますが、ややランチを選ばれる方が多いのかなといった印象です。

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グランプリシリーズには数多くの種類があり、少しずつ買い足されていく楽しみもあります。私たちもまずは先ほどのディーナーのスプーン、フォーク、ナイフをそろえ、次にケーキフォークとティースプーンといったように徐々に増やしている最中。今度はスープスプーンを買い足そうか、と相談したりしています。

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こぼれ話のようになりますが、1991年から確かな技術を買われて日本の新潟県燕市で製造をされています。そこから全世界へと出荷されているわけですが、実は日本製ということもあり世界的な価格に比べてだいぶお安くなっています。さすがにそれはまずいということで、近年その差は徐々に小さくなってはいますが、それでもかなりお得なことには間違いありません。色あせることのないデザインで、普通に使えば恐らく一生使えると考えると、とてもありがたいことだと思います。

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糸と樹

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