理想の朝食

器店主の朝ごはん
2017.06.25

「神楽坂 暮らす。」はるやまひろたかさん vol.4

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こんにちは。

6月の「器店主の朝ごはん」を担当しております「神楽坂 暮らす。」のはるやまひろたかです。早いもので、気がつけばこの連載も最終回。拙い文章と写真ではありますが、今回も最後までお付き合いいただきますよう、お願いいたします。

 

photo & text : はるやまひろたか

 

既に連載第一回目で白状している通り、普段は、器屋を名乗るのがちょっと恥ずかしくなるくらい、簡便な朝食を摂っている僕。

今現在の三食の質と量を不等号で表すならば、間違いなく「朝<昼<夕」。でも、人間の一日の活動パターンを考えるなら、よく言われる通り、「朝>昼>夕」もしくは「朝=昼>夕」というのが、正しい食事の摂り方でしょう。わかってはいるんですけどね。わかってはいるんだけど…(笑)

そういったわけで、今回は、これまでなかなか実現できずにいた理想の朝食というものについて考えてみたいと思います。

 

日本の朝食の雛型として思い浮かぶのは、やはり、バランスがとれた旅館の朝食ではないでしょうか。一汁三菜に土地の名物料理などを加え、器も含めて美しくしつらえてくれるので、おなかが満たされるだけではなく、同時に心も満たされ、豊かな気分になるものです。

僕自身、これまで泊まった温泉旅館やクラシックホテルの朝食の記憶を反芻してみると、自分の普段の朝食がいかに貧弱なものであるかがよくわかります。朝食の比重をもっと大きくして充実させれば、それに伴って、一日の活動の質(生活の質)は変わってゆくかもしれません。

 

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この日の献立は、ごはん、豆腐とオクラの味噌汁、焼き鮭、だし巻き玉子、きんぴらごぼう、茄子の煮びたし、アスパラの味噌漬け、冷奴。

朝になって調理したのは、焼き鮭とだし巻き玉子。味噌汁は前夜の豆腐の味噌汁を温め直し、電子レンジで加熱したオクラを刻んでトッピングしただけ。ごはんと他のおかずは、完全に前日の残り物です。

朝からきちんと和食を作るのは大変だという印象があり、これまでは避けて通りがちだったけれど、こうして見ると、そんなに大仰に考えることでもないような気がしますね。

今回、焼き鮭(グリル)とだし巻き(コンロ)とオクラ(レンジ)は同時進行。確かにいつものパン食と比べると準備時間が少しだけ長くなってしまうけれど、段取りをあらかじめ頭の中で整えておけば、実際にかかる時間は15分くらいのものです。

 

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これまで朝はパンと洋食が多く、フォークを使ってきたけれど、朝からお箸を使うというのはなかなか素敵なこと。

食べ物をグサッと刺して口に持っていくのではなく、口に入れる分量を丁寧に挟んで口に持っていくやさしい動作。お米の国の人としては、朝からそういう食事のマナーをきちんと守ることで、背筋がすっと伸びるような気がします。

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日本的な朝食を摂るのであれば、器についても日本の伝統を感じさせる手仕事を使ってみたいものですね。

僕は全やきものの中で伝統的な染付磁器が一番好き。有田焼や波佐見焼など絵付け磁器の基本中の基本である染付は、青の濃淡だけで美意識を体現する単色の芸術。器界の水墨画と呼んでもよいかもしれません。そこに宿るミニマムな色彩感覚には、これまでずっと心惹かれてきました。

クラシックなイメージが強い染付は、どちらかと言うとご年配の方に好まれる傾向がありますが、若い人たちにもこの器の魅力に気付いてほしいなあと思います。色彩学の観点から言っても、青は食材を引き立てる色ですし、ね。

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器屋という稼業を選んだだけあって、同年代の男性に比べると、料理は比較的好きな方かもしれません(上手かどうかは別にして)。

連載の一回目から三回目までは普段の食事を再現しただけですが、最終回は「こうやってゆったりと朝食の時間を過ごしたいものだ」という願望を含んだ回にしたかったため、僕なりに頭を働かせて、基本に忠実な朝食を組み立ててみました。おかげで、今一度自分の食生活を見直すよい機会になったと思います。

読者の方のために朝食の器使いを提案しなければならないのに、自分自身に対して提案してしまったという…(笑)

 

町の片隅でひっそりと器屋を営む冴えないおじさんにこういう貴重な機会を与えてくれた編集担当のOさんに、この場を借りて感謝したいと思います。

そして、四回にわたって読んでいただきましたみなさま、本当にありがとうございました。器屋としてまだまだ語らなければいけないことがあるような気もしますが、このあたりで「器店主の朝ごはん」、終了の時間とさせていただきます。

 

みなさま、よい朝食を。

それでは、いつかまたどこかでお会いしましょう!

 

使った器

・池田大介さんの三島手飯碗

・村上修一さんの木地呂多用椀と団子箸

・工房禅の染付しのぎ皿

・鬼丸豊喜窯の飛びかんな皿

・宮田竜司さんの白磁輪花鉢

・鈴木努さんのガラス皿

・土本訓寛さんの象嵌手塩皿

 

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神楽坂 暮らす。 by room+J design
東京都新宿区矢来町68 アーバンステージ矢来101

TEL&FAX:03-3235-7758

営業時間:12:00-19:00(日曜/祝日は12:00-18:00)

定休日:毎週月曜/火曜(祝日の場合は営業)

最寄駅:東京メトロ東西線・神楽坂駅から2番出口から徒歩約2分、都営地下鉄大江戸線・牛込神楽坂駅A1出口から徒歩約8分

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