大事なのは、自分以上になろうとしないこと Vol.1 陶芸家 大谷哲也さん、大谷桃子さん

暮らしのおへそ
2017.05.24

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真っ白なのにどこか温かく、どこにでもありそうなのにここにしかない。
それが大谷哲也さんの作る白い器です。のびやかなバナナの葉。
凛と立つ蓮の花。自然の勢いを宿した桃子さんの器は、
料理と絵がひとつになって、おいしい風景を生み出してくれます。
信楽で、夫婦で器を作り続けるふたり。

「僕らには、そんな突出した才能なんてないんですよ」と飄々と語る哲也さん。
「ふたりとも、ずっと同じような器を、作り続けています。
続けていたら上手になるんですよね」と桃子さん。

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 どうやら、ふたりが見ている方向は、人気作家になることでも、
有名ギャラリーで個展を開くことでもないよう。

 子供の頃は、建築家か車のデザイナーになろうと心に決めていたという哲也さん。
貿易会社に勤めるお父さまの影響で、
幼い頃からナイフとフォークを使って食事をしていたそう。
今、手がける洋食器と和食器の中間にあるような器は、
そんな幼い頃からの食卓の延長線上にあるのかもしれません。

「車のデザイナーにはなれなかったし、
大学卒業後はワーキングホリデーでオーストラリアに行ったり、
ぶらぶらしていました」

 帰国して、滋賀県信楽の窯業試験場に就職。
デザイン学科の教師をしながら焼き物の研究を手がけていたそう。
その時の生徒のひとりが桃子さんです。

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 地元信楽で陶芸家の両親の元で育った桃子さん。
「海外で暮らしたい」と、アメリカに留学。美術史を学んでいたそうです。
「インドネシアにある姉妹校に通っていた時期もありました。
そこで見たのが熱帯の植物です。蓮の花があそこで咲いて、
ここで枯れている。再生エネルギーのすさまじさと、
美しさを肌で感じたんですよね」

 帰国後、何をしよう? と考えたとき、
やっぱり手にしたのは両親が作り続けてきた器でした。
そして、あの力強い葉っぱを描いてみたくなったそう。

 

Vol.2に続く

『暮らしのおへそVol.22』より

text:一田憲子 photo:岡田久仁子

Profile

大谷哲也 大谷桃子

Otani Tetsuta Otani Momoko

哲也さんは、大学の工芸学部卒業後オーストラリアへ。帰国後滋賀県立信楽窯業試験場勤務を経て2008年に「大谷製陶所」を設立。桃子さんはアメリカのオレゴン州立大学で美術史を学び、在学中インドネシアに留学。帰国後、信楽窯業技術試験場で陶芸を学び、卒業後作陶を始める。3人の娘とともに5人暮らし。

大谷製陶所http://ootanis.com

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