3年ぶり!伝説のデザートの店「歩粉(ほこ)」が京都にオープン【前編】

ニューショップのお知らせ
2018.11.12

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「おかえりなさい、歩粉」。
10月11日、京都市北区・大徳寺の北、「あぶり餅」で有名な今宮神社へ向かう通り沿いに、デザートの店「歩粉(ほこ)」がオープンしました。オーナーは磯谷仁美さん。東京・恵比寿で営んでいた同名のお店は、焼き菓子好きな人たちの間では伝説的な存在でしたが、建物の都合で2015年2月に惜しまれつつ、閉店。そして3年半の充電を経て、京都の地で再開したのです。

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お店は確かに新しいのですが、ずっとその場所にあったかのような落ち着きがあって、恵比寿時代を知るお客さまからすると「何だかなつかしい」、そして「おかえりなさい」と声を掛けたくなるような、「歩粉らしさ」が随所にちりばめられています。

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倉庫として使われていた古い建物を改装したというお店は、ハッとしつつも古都の街並みにもなじむ弁柄色(赤みを帯びた茶色)がアクセント。建物に関する規制が多い京都ですが、指定された色の中から、この印象的な色を選びました。予算を抑えるため、ペンキ塗りではDIYにも挑戦。真夏にクーラーのない中で、磯谷さん自ら汗だくになりながら塗り続けたそうです。

「休職中に暮らしたカリフォルニア州バークレーの住宅街に、くすんだあずき色でペイントされた可愛い家があり、それが妙に印象に残っていて。お店の設計を担当してくださった『ドイデッサン分室』のドイヤスヒロさんに写真を見せながら相談して、この色に決めたんです」

恵比寿のお店が閉店したあと、まず磯谷さんが向かったのはオレゴン州ポートランド。「語学を学びながら、ついでにアメリカンベイキングを学べるといいな」という思いでしたが、ひょんなご縁から、「アメリカで最も予約の取れないレストラン」として知られる、カリフォルニア州バークレーにある「シェ・パニーズ」のペイストリー部門で、インターンを1年間経験することになりました。アメリカのローカル&オーガニックフードの先駆者、アリス・ウォータースが経営する伝説的レストランです。

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約2年半に及ぶ磯谷さんのアメリカ生活は、今年春に発売された『歩粉のポートランド&バークレー案内』という書籍にも詳しく記されていますが、磯谷さんはこの2都市での生活を通じ、食や仕事について、さまざまなことを学びました。

「ポートランドもバークレーも、オーガニックフードについてとても関心が高く、地元の食材を使う『地産地消』の考え方が根付いていました。それらは単に食の嗜好というより、ライフスタイルと密接に結びついたもの。日々の『食』の選択が、自分たちがこれから暮らしていきたい街や世界をつくっていく、そんな意識が強かったです」。

最近は「買って応援、食べて応援」という言葉もポピュラーになってきましたが、ある食品を買うことは、その生産者を応援することにつながります。住む場所に近い生産者のものを選ぶことは、運送コストも低く抑えられ、街や地域の応援にもなるのです。

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「以前のお店では、オーガニックのアールグレー紅茶をお出ししていましたが、国産ではありませんでした。スコーンに添えるジャムやはちみつも、外国産のもの。原価を考えると本当に大変なのですが(苦笑)、アメリカでの経験をふまえて、新しいお店では、国産の良心的な生産者と、長くじっくり関わっていきたいと考えました」

メニューはかつてのお店と同じく、「デザートフルセット」(定番の1皿目、月替わりの2皿目のコース)、「デザートSセット」(スコーン、葛もち、月替わりのお菓子のセット)、「スコーンセット」が柱。お菓子をのせる器類は、兵庫県に工房を構える「ムシメガネブックス」の熊淵未紗さんが制作したもので、カトラリー類は磯谷さんがアメリカ時代に少しずつ買い集めたビンテージを活用しています。

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デザートフルセット1皿目のスコーンプレートはこんな感じです。「歩粉」の代名詞とも言うべき、全粒粉が効いたザクザク食感のスコーンに、ジャムとはちみつ、ホイップクリーム。豆乳葛もちには、あんずのコンポートと、小豆ペーストが添えられています。甘いもの続きのお口直しには、エッグクラッカーサンド。

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「ポートランドの大好きなカフェ『Sweedeedee』では、いつも季節のジャムを手作りしていて、私もそうしたい! と考えました。今は、和歌山『あさみ農園』さんから送っていただいたいちじくを、ジャムにしています。はちみつは、岐阜と北海道を行き来して、養蜂を続けていらっしゃる『小森養蜂場』さんのものを。クラッカーは市販品を使っていましたが、こちらも手作りするようにしました。前はアンチョビバターを使っていましたが、近所の大徳寺の名物『大徳寺納豆』を刻んでバターと混ぜたものを塗っています。コクがあって、おいしいんですよ」

紅茶は静岡の「丸子(まりこ)紅茶」。「ストレートでもミルクティーでもおいしく、力強い味わいのお菓子にも負けないコクのあるものを……」と、何種類もの国産有機紅茶を取り寄せて飲みくらべ、ようやく出会えたものだそう。

→【後編】へ続きます

photo&text:田中のり子

歩粉(ほこ)

京都市北区紫竹西南町18番地
TEL:075-495-7305
営業時間:10:00~18:00(L.O.17:00)
定休日:月~水曜
http://www.hocoweb.com/

Profile

磯谷仁美

いそたに・ひとみ

カフェやレストランでデザートを担当したあと、2006年10月東京・恵比寿にデザートの店「歩粉」をオープン。焼き菓子好きな人々に圧倒的な支持を受ける。建物の都合で閉店後、2015年3月に渡米、ポートランドとバークレーに滞在し知見を広める。2018年10月京都・北区にお店を再オープンする。著書に『歩粉の焼き菓子レシピノート』(主婦と生活社)、『朝食おやつ』(文化出版局)がある。

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