十和田(青森)編vol.2 なつかしさと新しさ、自然とアートが混ざり合う、十和田まちなかさんぽ

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2026.03.14

青森県十和田市は青く澄んだ湖面が美しい「十和田湖」や国の特別名勝および天然記念物に指定されている「奥入瀬渓流」などの雄大な自然に加え、「アートを通した新しい体験を提供する開かれた施設」をコンセプトに開館した十和田市現代美術館を中心に、通りにもアートが溶け込み個性溢れる「アートのまち」としても知られています。
編集者の長嶺李砂さんが2024年に十和田市の商店街にオープンした本屋「TSUNDOKU BOOKS」は毎月1日から15日までの月の半分だけオープンするユニークな本屋として注目を浴びています。そんな長嶺さんに徒歩で周れるコースを教えていただきましたので、ゆっくりと街を散策してみてくださいね。
 


photo&text:長嶺李砂

じつは、十和田市には駅という駅がありません。JRも通っていなければ、在来線もありません。最寄りは七戸十和田駅。十和田市ではなく、おとなりの七戸町にある駅です。そこから30分ほどバスに揺られると、十和田市街地の中心部「十和田まちなか交通広場」に到着します(TSUNDOKU BOOKSもこのバスターミナルの目の前にあります)。

十和田市といえば、もちろん「奥入瀬渓流」と「十和田湖」のすばらしい自然が外せないのではありますが、今回はあえて、レンタカーなしでも楽しめる“まちなかさんぽ” を中心にご紹介します。わたしの日常的なリフレッシュコースでもあります。


アートのまちとして知られるようになった十和田市ですが、建築物もまたとても注目されています。建築を学んでいる学生のみなさんはもちろん、ヨーロッパなど海外からやってきた建築家のみなさんともよく会います。
まず、十和田まちなか交通広場から歩いてすぐ。地域交流センター「とわふる」があります。設計は藤本壮介さん、2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務めた建築家です。2022年秋にオープンした新しい施設です。そこからさらに数分歩くと、隈研吾さんが設計した市民交流プラザ「トワーレ」もあります。



商店街エリアにある、このふたつの建築物をめぐりながら、ぜひ「ストリートファニチャー」も探してみてください。ストリートファニチャーというのは、十和田市現代美術館のアート作品のひとつ。
「これも作品なの?」と驚くほどに、まちの景色のなかに自然に溶け込んでいます。気が付かずに通り過ぎてしまうかもしれません。
アートがアートとしてそこにあると同時に、周りの景色までもがアートに見えてくるのがこのまちのおもしろいところ。商店街のお店だって立派なアート。アーケードだって、アートです。


市街地の道は「碁盤の目」をしていることで有名です。つまり、どの道を通っても、必ずどこかにつながっている“行き止まりのないまちなか”なのです。歩道もゆったりしているので、ぜひ、ぐんぐんと自由に歩いてみてください。
そして歩き疲れたら、ぜひコーヒーブレイクを。十和田市には大手コーヒーチェーン店がありません。その代わり、個人店がまちにしっかりと根付いていて、小さくとも個性の立っているお店がいくつもあります。ぜひ、カフェや喫茶店もそのときの感性で探してみてください。一期一会です。


さて、今度は商店街エリアから、官庁街通りへ。といっても、道はちゃんとつながっています。なんといっても、碁盤の目のまちですから。
官庁街通りにある『十和田市現代美術館(げんび)』へ立ち寄る前に、まずは野外アートを堪能するのがおすすめです。わたしのお気に入りは「ファット・ハウス」と「ゴースト」。とくにファット・ハウスは、声を持ち、おしゃべりをする不思議な作品。家の中に入ると、ファット・ハウスの哲学的な “ぼやき” を聞くことができます。何度聞いても、味わい深いアイロニーです。


これらの作品たちはなんと24時間、野外で展示されています。これは世界的にも、かなり珍しいことだと思います。アートがこんなにも身近にありながら、だれもいたずらをすることなく、そこにある。わたしはここに暮らすものとして、とってもうれしく思っています。

桜の木が立ち並ぶこの通りは、春がやってくると、本当に気持ちのいいコースです。「これも作品?」「あれも作品?」と楽しみながら歩くことができるのですが、カメラを片手に出掛けると、さらに楽しいかもしれませんよ。



そのまま官庁街通りをぶらぶら。安藤忠雄さんの設計による十和田市民図書館も、本好きにはお立ち寄りいただきたいスポットです。このあたりはその昔、軍馬補充部だった場所。そのため、馬をモチーフにした作品もたくさんありますが、それらを眺めるたびに平和を願ってやみません。


そしてげんびへ。
げんびのおもしろいところは、展示室が作品ごとの小さな白い箱の連なりになっていること。外から見ても、アシンメトリーで遊び心を感じます。その上、屋内に入ったはずなのに、作品を見ながら屋外に出たり、中に入ったかと思ったら、窓がまるで額縁のようにまちなかの四季折々の景色を飾っていったり。まちなかの春夏秋冬そのものがアートのように感じられるんですよね。敷地の境界線がゆるやかなげんびの存在が、このまちをもっと自由に、もっと風通しよくしてくれるにちがいありません。

 
十和田は、まちごと美術館のよう。

なつかしさと新しさ。自然とアート。日常と非日常。いろんなものが混ざり合って、歩けば歩くほど、じわじわとたのしくなってくるまちなんです。vol.3へ。

 

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地域交流センター「とわふる」
青森県十和田市稲生町16-1

 

市民交流プラザ「トワーレ」
十和田市稲生町18-33

 

十和田市民図書館
青森県十和田市西十三番町2-18

 

十和田市現代美術館
青森県十和田市西二番町10-9 

 

 MAP:A

日本、〒034-0011 青森県十和田市稲生町14−52

日本、〒034-0011 青森県十和田市稲生町16−19

日本、〒034-0011 青森県十和田市稲生町18−33

日本、〒034-0081 青森県十和田市西十三番町2−18

日本、〒034-0082 青森県十和田市西二番町10−9

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