「今日のひとしな」8月の担当は「musubi(むすび)」の坂本眞紀さん

今日のひとしな
2017.07.31

新宿から中央線に乗って約30分。のどかで閑静な住宅街・国立(くにたち)は、「フードムード」や「カゴアミドリ」「黄色い鳥器店」など、素敵なお店がいくつも点在する街です。そして、その中のひとつが明日から1か月間、デイリー連載「今日のひとしな」を担当してくださるお店「musubi(むすび)」です。今日は一足先にお店に遊びにいったときの様子をリポートしまーす。

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50年以上前からあるという古い商店街の一角に、ゆるっと馴染んで建っている一軒家。この1階が、暮らしと道具の店「musubi」です。

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オープンして6年目。ほんのり懐かしさを感じる、かわいらしい店構え。

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お店の看板とは別に、ささやかに掲げられているこの看板は……? あ、なるほど、この素敵な建物は、お店だけでなく設計事務所も兼ねているのですね。店主・坂本眞紀さんのご主人が設計したのだそう。さっそく引き戸を開けて中に入ってみると……

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むむ? 奥のほうにキッチンらしきものがあるような?

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「こんにちは~」と、店主の坂本さんが出てきました。もしやここは、坂本さんのご自宅でもあるのですか?

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「そうなんです。実際にお店に置いている道具や雑貨を、どのように使っているか自然な形で見てもらえるような場所をつくりたくて、お店と自宅のダイニングキッチンがつながっている間取りにしました。いつもこの場所で、家族3人でごはんを食べています」

お店、設計事務所、自宅と3つの要素が凝縮された建物なのですね! 一見、懐かしい雰囲気だなーなんて思っていたら、実はなんとも新しい発想でつくられたお店なのでした。

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お店の片隅には、ご主人が今までに設計した家の模型と、「暮しの手帖」のバックナンバーがズラリ。声をかければ、店内で読ませてもらえるそうですよ。

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そして店内には、機能美あふれる日用品や、知る人ぞ知るブランドの雑貨たちが並んでいます。以前は大手インテリアショップで、北欧をはじめ国内外の雑貨をセレクトするバイヤーとして活躍していたという坂本さん。年間の3分の1は仕事で家を空ける日々。とても楽しく貴重な経験だったものの、実際の暮らしともっと密接に向き合いながら仕事をしたいと強く思うようになったそう。

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そんな、もやっとした思いを抱えていた頃、娘さんの出産により休職。その後、当たり前のように会社に復帰しようと考えていた坂本さんに、「どうして会社に戻るの? 仕事の仕方はもう知っているのだから、国立で自分のお店をやったらいいじゃない!」と言ってくれたのは、国立に暮らすご近所さんたちでした。

「いま考えたら近所の友人たちはみな、デザイナーや建築家、ショップの店主など、フリーで仕事をしている人ばかりだったんですよね。この街には、自由なスタイルで仕事を楽しむ人が多いような気がします。そんなありがたい後押しもあって、その雰囲気というか流れのようなものに乗せてもらう形で、小さなお店を始めることにしました」

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とはいえ、小さな娘さんがいることもあり、今までのように海外へ買い付けに行くのは難しく、必然的に取引先は国内に。

「岩手出身ということもあり、子供のころから身近だった東北の手仕事のものや、日々使っていて信頼している道具を中心にセレクトしています。多くの数を安定的に作ることが難しい職人さんの作品や、一点ずつ風合いが違うレザーものなど、小さいお店だからこそ扱えるものってあるんですよね。でも、自分のセレクトに対する責任は、以前よりはるかに重い。そんなこともあって、今はすべての商品において、まずは自分で使い込んでみて、本当におすすめしたいと思えるようになってからはじめて、作り手さんやブランドさんに会いにいき、取引をお願いすることにしています」

と、いろいろなお話をお聞きしていたら、するすると階段をおりてきたのは……
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お客さまがやってくるたびに、ご挨拶にきてくれる看板猫のトトくんです。まんまるおめめがキュート!

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このトトくんの前にいた猫がきかっけで生まれたオリジナル商品が、写真右端にあるレザーの首輪。「布製のものはすぐに切れてしまうし、ペットグッズショップにあるレザーは、ファンシーなデザインのものばかりで……」と困っていたら、近所の「モリサキ靴工房」森崎さんが、坂本さんの意見を聞きながら何度も試作を重ね、作ってくれたそう。

「シンプルで丈夫な迷子首輪を探している方、すごく多いと思うんです。こういう形で誰かの暮らしのお役に立てるのって、お店をしているからこそで、素敵なことだなあと実感しています」

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「バイヤーのときは外に出て人と会う仕事だったけれど、今はお店に来てもらう立場。お店という場所を作ったことで、そこに来てくれた人や物がつながる瞬間や、何か新しいものが生まれる瞬間に立ち会えることに感動を覚えます。『musubi』=『結び』は、始めるときになんとなく付けた店名でしたが、だんだんそこに近づいている気がしてうれしいですね」

musubi(むすび)

普段の暮らしに、ささやかだけれど美しく、しっかり寄り添ってくれる日用品や雑貨をセレクトしたお店。「今日のひとしな」の執筆は、店主の坂本眞紀さん。

 

東京都国立市富士見台1-8-37
TEL:042-575-0084
営業時間:12:00~18:00
定休日:日、月曜
http://www.musubiwork.jp/
https://www.facebook.com/musubiwork/
https://www.instagram.com/musubi_work/

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