なかしましほさんの『まいにち食べたい“ごはんのような“クッキーとビスケットの本』/1回目

料理本製作の裏側〜よもやま話
2020.12.01

こんにちは、編集部の足立です。料理編集者歴17年、今まで作った料理書は、だいたい120冊ほど。料理編集部の中では、いちばんの古株となります。

見返してみて「ひやーっ」と恥ずかしくなるもの、我ながら「(中身が)ものすごく詰まってる…」と思うものなどいろいろですが、それらの製作裏話などをご紹介していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

まずは、バターを使わないお菓子といえばこの方! foodmoodでおなじみのなかしましほさんの『まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとビスケットの本』(2009年発行)。

なかしまさんとの出会いは、仲良しのライターさんに誘われて行った代々木上原のカフェ「ルシァレ」でのイベントでした。なかしまさんが初めての著書『もっちりシフォン さっくりクッキー どっしりケーキ』(文化出版局)を出されてすぐのことで(小さい横長の判型、黒い表紙がインパクト大で格好よかった!)、国立のfoodmoodのお店を始められる何年か前のこと(懐かしい〜)。

そこで、なかしまさんのあのふわふわ、しっとりのシフォンケーキを初めて食べさせていただき…「ななななんておいしい!」「クリームなんて添えなくても、最高にしっとり!」と、いたく感動したのです。

すべてが直感勝負の私の本作り。これはもう「本を出させてもらうしかない!」と、その場でなかしまさんに猛烈アピール。当時はまだ実店舗を持たず、シフォンケーキのネット販売で大人気を博していたなかしまさん。「えええ…???」と怯む姿もなんのその、ライターさんとともに詰ぐいぐいっと詰め寄り(おばさん2人に怖いモノなし)、なかしまさんが考えるシフォンケーキについて、がっちり取材させていただいて帰ったのでした。

そうして生まれたのがこちら、“ごはんのような”シリーズの1冊目である『まいにち食べたい“ごはんのような”シフォンケーキの本』(2008年発行)。なかしまさんのご主人である中島基文さんがブルーの万年筆で描いてくださったイラストがかわいくて、何度見てもなごむ1冊です〜。

そもそも“ごはんのような”というインパクトのあるキャッチコピーは、なかしまさんがご自身のお菓子につけていたものですが、「それを書名に入れるのはどうか…?」という意見も社内ではありました。

でもね、それがかえっていいんじゃないかな、と思ったわけです。そう、あまのじゃくです。3姉妹のまん中っ子、かなりひねくれています。誰もやったことがないことをやってみたいんです(今よりまだ少し若かったからでしょうか!?)

それでも、その後本を買ってくださった読者の方から「ごはんのように毎日焼いています」「ごはんのような気軽さで作れます」という声を聞くたびに、あれでよかったんだなあ、自分を曲げなくてよかったなあと心から思います。

話が脱線しました。クッキー本の製作裏話でした。

撮影は夏まっ盛りの8月、撮影場所はなかしまさんのご自宅の2階にある工房で。秋発売が多いお菓子の本は、たいてい真夏のいちばん暑い頃に撮影となるのが常ですが、部屋はオーブンの熱でムンムン、そんな中でのお菓子(特に粉感たっぷりの焼き菓子)の試食は、うれしいの半分、辛い気持ちも半分。。

ところが!なかしまさんのクッキーはまったく違ったのです。バターを使わないから味わいもぐっと軽く、いくらでも食べられてしまう!これはすすすごい!!と、スタッフ一同大変驚いたのです。

さて、そのスタッフの中のおひとりといえば、料理写真の大ベテラン・(有)東京料理写真の木村拓さん。料理写真に関しては誰よりも厳しく、しっかりとしたポリシーを持っていて、私自身ご一緒するたびに毎回いろいろ学ばせていただいているのですが…。おっと、この話は少し長くなりますので、次回に続きます。

【料理本製作の裏側〜よもやま話②】はこちら

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