〜総合美容食の海藻をバリエーション豊かに楽しむ献立〜 茂田正和さんの食べる美容 料理教室レポートvol.12【前編】

食べる美容 料理教室
2026.05.01

健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート! 耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。


 

食べる美容』料理教室、2クール目の最終回となる今回は、肌の水分保持を助けるフコイダンやバリア機能の維持に必要なミネラル、そして腸内環境を整えるのに必要不可欠な食物繊維をたっぷり含む“海藻”にフォーカスした美容食養生を学びました。


「多くの海藻の旬はちょうど今、4月〜5月頃です。スキンケア視点で言うと、海藻に含まれる栄養素の中で最も重要なのはマグネシウムだと僕は思っています。エアコンの使用や夏の紫外線量の増加によって、年々、慢性的な乾燥肌を訴える方が増えている中で、体の内側からの話としてはマグネシウムの欠乏が乾燥肌を助長することがわかっています。ドラッグストアとかでセラミドという成分名を目にしたことがある方は多いと思うのですが、このセラミドやコレステロールなどの脂質は、肌の水分の蒸発を防ぐために必要な細胞間脂質の主成分です。角質細胞の間を細胞間脂質が埋め尽くすことで、肌のバリア機能が働いてうるおいがキープされているんです。で、このセラミドの生成を促してくれるのがマグネシウムなので、マグネシウム不足は肌の乾燥に繋がるわけです」


冒頭で、美肌づくりにおける海藻の有用性を解説してくれた茂田さん。また、現代の日本の食事情は慢性的にミネラル摂取が不足しがちというお話も興味深かったです。

「日本は連作で野菜を栽培しているので、畑の土がどんどん痩せていって、昔と比べて圧倒的に野菜の栄養価が下がってしまいました。中でも、カリウムやマグネシウムなどのミネラルは含有量がかなり下がってしまった。だから、野菜だけで昔と同等のミネラル量を摂ろうとすると、もの凄い量を食べないとならないんです。その点、海で育つ海藻はミネラルの宝庫なので、効率よくミネラルを摂れます。とはいえ、海藻を料理に使うとなると、お味噌汁にワカメを入れるとか、昆布で出汁を取るくらいが関の山というか。それで、もう少し活用の幅を広げられないかと思って、海藻をさまざまに活用する沖縄料理に着想を得て今回のレシピを作成しました」


茂田さんのアシスタントさんの中には宮古島出身の方がいることから、今回は宮古島から取り寄せた本場の食材も使用。もずく鍋、昆布とにんじんのしりしり、ひじきと鴨のジューシー(炊き込みご飯)、うどとあおさのチャンプルーの4品を、沖縄民謡をBGMに調理しました。

 

もずく鍋



もずく鍋に使うのは、茂田さんがプロデュースした器としても使える直火鍋、HEGE。鍋を軽く温めてから大白ごま油をひき、豚バラ肉を中火で炒める。両面に軽く焦げ目がついたら、中火のまま水を加えて強火に。沸騰したらアクを引き、ひと口大に切った里芋を入れ、粉鰹、みりん、塩麹、塩、醤油の順で入れて味つけをしたら、ふつふつとする火加減で10分ほど煮る。


「調味料を入れるのは“さしすせそ”の順で、とよく言われますけど、これって甘みのあるものから塩気の強いものという順番になっているんです。甘さの成分は浸透しにくいので、先に入れると甘みがしっかりと食材に染み込みます。今日は連続で入れましたが、煮物を作る時などは、調味料それぞれを入れる間隔を数分ずつずらせばより味に深みが出ますよ」


10分ほど煮込んだら、沖縄の豆腐、おぼろ状のゆし豆腐を入れる。軽く煮て火を通したら、沖縄もずくを上にのせて芽ネギを散らしていただく。

もずくのみずみずしさ、ゆし豆腐の軽い口あたり、そして塩麹や鰹出汁を使ったスープのおかげか、豚バラ肉の脂のクドさが和らぎさっぱりと食べられる鍋料理です。

「豚肉はビタミンB群を豊富に含む食材。ビタミンB群は糖質、脂質、タンパク質の代謝に必要な補酵素なので、豚肉と海藻は栄養的にも相性の良い組み合わせです。それから、僕の料理では粉鰹をよく使っていますが、粉鰹は鉄分などのミネラルやアミノ酸を摂れて、あらかじめ出汁を取るよりも楽なので、鍋物をさっと準備したい時にすごく便利ですよ」

 

昆布とにんじんのしりしり

ボウルにみりん、醤油、鰹味噌を入れてよく混ぜ、合わせ調味料をつくっておく。温めたフライパンに焙煎ごま油を引き、太めの千切りにしたにんじんを強火でさっと炒めたらすき昆布を入れ、準備しておいた合わせ調味料を加えてさらに炒める。

器に盛りつけ、炒りごまを振って完成。焙煎ごま油、醤油、味噌などの香ばしさが食欲をそそり、ご飯が進むひと皿です。

「鰹味噌は、宮古島の食卓で愛されている鰹の出汁が入った味噌です。ほど良く甘みがあるのでにんじんとの相性もぴったり。にんじんしりしりは冷ますとより味がしっかりなじんで美味しいので、つくり置きのおかずにも最適。2〜3日は冷蔵保存できます」

「ひと口に海藻といってもいろんな種類がありまして、トサカノリやフノリなどの紅藻、昆布やワカメなどの褐藻、あおさやアオノリなどの緑藻があります。紅藻は高タンパク、低カロリーで、寒天の原材料であるテングサなども紅藻。熱に弱いという特徴があるので、刺身のツマなどによく使われています。褐藻はフコイダンというぬめり成分が豊富で、この成分は近年抗アレルギー作用が注目されています。先ほど使ったもずくも褐藻の仲間です。緑藻はマグネシウムがとくに豊富で、この後に使うあおさはビタミン類もバランス良く含んでいるので僕はよく使います」

後編では、褐藻の仲間であるひじきと鴨のジューシー(炊き込みご飯)、そしてうどとあおさのチャンプルーの調理の様子をお伝えします!

 

→【後編】へ続きます

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

『HEGE』φ250直火鍋 1.0(木蓋付)

『食べる美容』


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Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド「OSAJI」を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ「enso」(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド「HEGE」のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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